当主×高専♀ 8後日。
夏油と家入のクラスは、急遽自習になった。
特別真面目でない2人は、用意されたプリントそっちのけで駄弁っていた。
夏油は家入にも、誰にもお見合いのことは話していなかった。楽しいイベントでもないし、五条の愛人の振りをしつつ交流があることを知っている家入たちには、お見合いをしていることをなんとなく知られたくなかったのだ。
するとふいに教室のドアが開いた。
教員かと思い二人が振り返ると、見知らぬ男性数人が立っていた。
先頭に立つ男は夜蛾と同じくらいの年頃で、質の良さそうな着物を着ている。他はそこそこ屈強な体格をしており、お付きの者といった格好と雰囲気だ。
彼らは家入を素通りし、座っている夏油の前に立ち、先頭の男がじろりと見下ろした。
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