Our Princess悟が家族の待つ自宅に着いたのは、早朝だった。
出張と教員寮泊まりが続き、帰ってきたのは実に1週間ぶりである。
同じ寝室の傑は起こして抱擁を交わし、別室の娘は起こさないでおこうとしたが、悟に似て勘が鋭いのか、察知能力が優れているのか、起きてきて久しぶりに再会した父に飛びついた。
それから悟は眠りについたが、娘の話し声で目が覚めた。時計を見たら9時を過ぎた頃だった。
今日は日曜日であるので、娘は休日である。
リビングに入ると、ソファに身体ごと横に向けて座っていた傑と目が合った。
「悟おはよう。早いね」
「おはよ」
「お父さん、おはよー!」
傑の背後からぴょこっと娘が顔を出した。まだ小学生で成長途中であるので、身体を丸めていると、高身長の母のうしろにいると殆ど隠れてしまう。
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