―生徒Aの場合―
「ウィーズリー先生が新しい後見人?」
彼は驚いたように聞いたばかりの言葉を繰り返した。それから数秒だけ考えこんでわかりましたと答える。
その表情には前任の後見人を惜しむ寂寥感と、僅かに安堵が見える。
「もちろんあんたが他の先生に後見人になって欲しいなら」
「いえ、大丈夫です!」
彼はこちらの言葉を最後まで待たずに深く頭を下げる。
「ご迷惑をお掛けするかも…でも先生なら安心です。よろしくお願いします」
「六年生ともなれば進路のことも考えなきゃいけないからね。相談したいことがあればいつでもおいで」
そう言葉をかければ彼はホッとしたように笑って、
「ありがとうございます、ウィーズリー先生。何かあったらすぐに相談させてもらいます」
と再び頭を下げる。
彼の信頼を感じ、ウィーズリーは責務に対する気持ちを引き締めるのだった。
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―生徒Bの場合―
「ウィーズリー先生が新しい後見人?」
彼は訝しむように片眉を持ち上げ聞いたばかりの言葉を繰り返した。それから数秒だけ考えこんでわかりましたと答える。
その表情には不信の色はなかったが同時に安堵もない無表情だった。
「もちろんあんたが他の先生に後見人になって欲しいなら」
「いえ、大丈夫です」
彼はこちらの言葉を最後まで待たずに軽く頭を下げる。
「ご迷惑はお掛けしません。1年と少し、よろしくお願いします」
そう言葉をかければ彼は少しも表情を替えずに、
「ありがとうございます、ウィーズリー先生。何かあったらすぐに相談させてもらいます」
と再び儀礼的に頭を下げる。
彼の諦観を感じ、ウィーズリーは責務に対する気持ちを引き締めるのだった。