友を得る目が見えないことがやたらと同情を誘うらしいと気づいたのは、ホグワーツに入ってすぐだった。足を引っ掛けて転ばしても、
「見えなかったんだ、すまない」
と言えば、彼らは決まって気まずそうな顔をして怒りを引っ込め、それどころかこちらの悪意すら疑わなくなる。
見えていないのはどっちだ?
これだけの人がいても、ごくつまらない人間が大半だと気付いて正直ガッカリした。だから、
「嘘をつくなよ。ゴーント家だかなんだか知らないけれど、僕は売られたはケンカは買うぜ」
なんて啖呵を切ってくれる彼の反応が嬉しくて、思い切り肩を殴られて尻餅をついたけれど、思わず笑ってしまった。
「わざとって気付いたのは君が初めてだ!」
彼はキョトンとして、
「そうなのか? バレバレだっただろ。みんなどこに目をつけてるんだろうな」
「どこにもついてないのさ。あいつらはなんにも見えちゃいない」
「なかなか言うね」
意地の悪い笑い声を上げながら、彼は僕に手を差し伸べる。
「僕とアンで今度少し大掛かりなイタズラを考えてるんだ。君も乗るかい?」
「実行役は任せてくれ。言い訳ならバッチリだ。何しろ僕は目が見えない」
そう返しながら彼の手を取ると、彼は大輪の笑顔で答えてくれた。
「知ってるだろうけど、僕はセバスチャン・サロウだ。よろしくな、オミニス!」
「よろしく、セバスチャン」
そうして、ついに僕は友を得た。