葉流圭(主・智)。前編 どんな時だろうと、いつも太陽を向きなさい。
そうすれば────
こんなモンは屁理屈だと一笑していた単純(シンプル)な精神論が、予想を裏切って抜群に効果を発揮した。
目に見えて清峰の調子は上がり、面白いほど順調に強くなっていく。
かけた"魔法"は簡単だった。
以前からずっと渡され続けてきた清峰からの"好きだ"へ、要・智将ともに応じたのだ。
実際は、その"簡単"が最も難しかったのだが。
「おい、清峰。最近調子上がりっぱなしじゃねーか。球走りまくってるしよ」
部活終わりの空気が賑やかな更衣室で、藤堂が出し抜けにエースへ褒めを寄越す。
確かに、ここ最近の清峰の調子の良さは誰が見ても小気味良いほどだった。
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