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    ゆうや

    @asbiusagi

    ぶるろ垢
    馬狼、國神右派の総受けそう愛され大好き人間

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    ゆうや

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    第5回ngbrワンドロライ

    お題
    (やきもち)
    未来捏造
    同棲済み




    「おはよう…チョキ、今日は良く晴れるみてぇだぞ」

    布団の中から馬狼の柔らかい声が聞こえる。
    俺の友達と言っても過言では無い存在にカーテンを開けながら話しかける馬狼の表情は慈愛に満ちて、柔らかくて伏せられた瞼の下、向けられる視線も心なしか優しい気がする。
    時々いる子供のファンに見せる表情に似ていて、それは俺には見せてくれないものの一つで、いつか俺に向けられたそれを見てみたい。
    ぼんやりとした思考の中で、一緒のベッドで寝ていた恋人には何も無し?なんて思いながら、まだ重い瞼をなんとか押し上げ枕を抱き寄せる。
    頬を預けたそれからは干したての良い匂いがしてまた睡魔が引き戻されそうになり、重ったるい舌を動かして恋人の名前を呼ぶ。

    「ねぇ…俺には?」
    「あ?」

    俺が起きていることに気付いていなかったのか驚いたように振り返って穏やかだった眉間に皺が寄る。
    朝一番の作りたての皺だ、と寝惚けた頭の中で乾いた笑いを上げて怪訝な表情を浮かべる馬狼をじっと見つめる。

    「俺にもおはようって言ってよ、王様」
    「はぁ…ふざけた事言ってねぇで起きてんならサッサっと準備しやがれ、練習だろうが」

    俺の言葉に呆れたように溜息を吐いた馬狼が俺の顔を枕に押し付けてさっさと寝室を出ていってしまう。
    すげなく断られたことに多少落ち込んで、日光が当たるよう陽当たりのいい場所に置かれたチョキに目を向けていいなぁ、お前、なんて独り言が溢れる。

    今日は馬狼も練習日なのかベッドでぐだぐだしていれば朝ごはんの良い匂いがしはじめて、それに吊られるようにダイニングに顔を出せば1人分の食事が置いてありキッチンで練習用のドリンクを作る馬狼から早く食えよと声が掛けられる。

    「王様の分は?」
    「もう食った。」
    「今日は何時まで?」
    「6時」
    「ふーん」

    椅子に座って箸を手に取りながら質問すればポンポンと短く答えが返ってきて、物足りなさを感じる。
    ほかほかの白米と綺麗な卵焼きを食べながら、馬狼の動きを目で追う。
    飲み物なんて、一応クラブでも準備してあるはずだけれど馬狼は自分用のドリンクを作って持って行く。
    そういう拘りは青い監獄の頃から変わらない。

    「王様特製ドリンク俺も飲みたい」
    「うっせぇ、誰が作るか、俺はもう出るからな。ちゃんと飯食って歯と顔洗って忘れ物せずに余裕持って出ろよ」
    「うぇぇ…やること多すぎ。めんどくさぁ」

    テキパキと準備し終わった馬狼がバックを肩に担いで車の鍵を持ってしまえば、引き止めることも出来なくて仕方なく行ってらっしゃいの言葉を馬狼へ投げ掛ける。

    同棲するにあたって家はお互いの拠点の中間地点にするのが妥当だとなったけれど、最終的に馬狼が俺の性格を考慮して俺のチームの拠点に近いところで良いと言ってくれて今住んでいる場所に決まった。
    陽当たりが良くてチョキが嬉しそうだし、セキュリティも秘匿性も抜群にいい場所は馬狼が見つけて来た。

    馬狼の作ってくれた朝ごはんはちゃんと味わって食べて汚れた皿はきちんと洗って干す。
    俺がこれをしてると馬狼は少し驚いてからちょっとだけ笑う。
    その顔が見たくて面倒くさくても最近は少し頑張ってる。

    練習に行く前に水分補給でもしておこうと冷蔵庫を開けると俺の使ってるボトルが鎮座していて、口では可愛げないことを言っていてもちゃんと特製ドリンクを作って置いておいてくれているところがすごくアイツらしくて、所謂ツンデレだと思う。
    ちょっとだけ練習に行く気分が上がって、ボトルをバックに押し込み家の鍵を掛ける。

    練習中に飲んだ特製ドリンクはやっぱり美味しくて、やる気が漲ってくる気がする。
    嬉しくなってボトルを持って自撮りした写真を馬狼へと送りつけてやる。
    "ありがとう、美味しい"
    言葉と一緒によく使うスタンプを送れば、暫くして軽い音と一緒に"ちゃんとボトル持って帰ってこいよ"と送られてくる。
    なんの面白さも無い文章だけれど、それすら嬉しくて、返信を考えていれば名前を呼ばれてしまい仕方なくスタンプだけを送って練習に戻る。

    練習が終わってすぐに携帯を確認したけれど当たり前にスタンプに返信は無くて、ちょっとガッカリしながらボトルを来た時と同様にバックに押し込む。
    家に帰って暫くソファでダラダラしていれば、玄関から音が聞こえて手の中のゲームを一旦やめて身体を起こす。

    「帰った」
    「おかえり」

    ソファの背もたれ越しに顔を覗かせて馬狼に声を掛ければ短い声が聞こえて来て、直ぐに手を洗う音とうがいの音が聞こえてくる。
    この後は寝室に行って着替えを持って浴室に篭る。
    そのルーティン通りに馬狼が寝室に行くのを見送れば、またゲームの画面に視線を落とす。
    集中しなくても出来るゲームを始めてすぐに寝室から音がして勢い良くドアが開く。

    「おい、凪、チョキがいねぇ」
    「え…、今俺の名前呼んだ?」
    「はぁ?今そんなのどうだって良いだろ、チョキがいねぇんだよ」

    驚いて顔を上げれば眉を寄せた馬狼と目が合って、その口から名前が呼ばれたことにまた驚く。
    名前を呼ばれてちょっとだけ嬉しさを感じたのに当の本人は気にしてないのかまた同じ言葉を掛けてくる。
    もしかして意外にも焦ってるんだろうか…。

    「どうでも良く無いし〜…、チョキなら玲王に渡したよ。」
    「はぁ?」
    「大きくなってきてたから、植え替え頼んだ」
    「…そうかよ」

    微かな抵抗でぼそりと呟きながら、今日鉢植えごと玲王に渡した事を伝えれば、突拍子すぎたのか眉間の皺が一層深くなる。
    もし俺が何も言わずに家をあけたらこんなに不安そうにしてくれるんだろうか、なんて思いながら馬狼から視線を逸らさずにいれば、不満気に舌打ちした馬狼の紅い瞳がスイっと逸らされる。

    「…今度は御影じゃなくて俺に言え」

    残念そうな寂しそうな馬狼にモヤモヤしていれば小さく落とされた言葉に思わず声が漏れそうになる。
    ちょっとむくれたようなあまり聞かない声色に驚いてる俺を横目に、馬狼は逃げる様に浴室に向かってしまって、言葉に出来なかった気持ちがぐるぐると喉元に停滞する。
    玲王に嫉妬した?自分でやりたかった?チョキには優しいじゃん。なんて思うことはいっぱいあって、集中しなくても出来るゲームですら画面にゲームオーバーの文字が浮かび上がる。



    「ねぇ、馬狼、明日休みでしょ」
    「ヤらねぇぞ…さっさと寝ろ」

    お風呂も入ってご飯も食べて歯も磨いて、後は寝るだけと言わんばかりに布団に潜り込んだ馬狼の後を追って、馬狼の腰あたりに跨り上から覆い被さってマウントを取る。
    俺の言いたい事を察したのか苦々しい表情をする馬狼が唸りながらぼそりと呟く。

    「なんで?」
    「…疲れてんだよ」
    「ふーん、俺より体力ないんだ、そっか、へろへろなお前抱いても楽しくないし、じゃあ良いや」

    今考えました、みたいな断り方をする馬狼にわざと煽るように言って身体を起こせば、癇に障ったように眉を寄せる恋人がむっと唇を尖らせる。
    煽られ耐性の低いちょろい男は低い唸り声を上げたかと思えばどすの利いた声でふざけんなよとぼそりと呟く。
    言われてムカつくけど自分から抱けとは言えないのかキッと睨みつけてくる紅色が揺れていて面倒臭い性格してるよなと改めて思う。

    「王様なのに体力無くてへばっちゃうから満足にセックスも出来ないのか〜」
    「ッ、ンの野郎、貧相なお前のフニャチンから搾り取ってやる!」
    「えー?」
    「ッ〜、俺が抱いてやるっつってんだよ!」

    グッと胸ぐらを掴まれて引き寄せられれば、一気に馬狼との距離が縮まって視界いっぱいに引くに引けなくなった恋人の顔が広がる。
    ああ、また引っかかったな…なんて思いながら引き寄せられた勢いそのままに尖った唇にキスをする。

    何ラウンドしたか、面倒臭くて数えてすら無いけれど快感でどろどろに惚けた馬狼に俺の名前を呼ばせることには成功して、それでまた興奮した。
    最後の方なんて"ヘタクソ、遅漏、クサオ、死ね、アホ、バカ"なんて幼稚な悪態を並べて吐きながら俺の肩に指先を立てて気絶してしまった馬狼を明日怒られないようになんとか綺麗にして、抱き締めてベッドで眠る。

    目が覚めた時、まだ馬狼は俺の腕の中で気持ち良さそうに寝息を立てていて、内心で両手を挙げてやったーなんて声をあげるくらいには喜んだ。
    寝ている馬狼の目元が少し赤くなっていて、泣かせ過ぎちゃったかなとほんのちょっとだけ反省して、起こさないように気を付けながら目元を撫でる。
    俺の手にぴくりと震えた瞼はそのまま持ち上がることなく、気持ち良さそうに頬を寄せられてきゅっと心臓が締め付けられる。
    思わずうわぁ…と声が漏れてしまいそうで慌てて片手で口を覆う。
    シーツの合間から行為中に付けた痕が健康的な肌に散らばって見えて、それだけでまた煽られる欲をなんとか押し込めながら今しか味わえない寝顔を堪能する。

    特に何もせずうとうとしながら馬狼が目を覚ますのを待っていれば、小さく身じろいだ馬狼の瞼が震えて持ち上がりゆっくりと紅色が見えてくる。

    「おはよう、馬狼」
    「……う、ン?」

    ぼやっとした視線がゆらゆらと動いて、目が瞬く。
    いつもは俺よりも早起きする馬狼のあまり見ない様子に、可愛いかも、なんて思いながら、馬狼の寝ぼけた頭でも分かるように視界の中に映り込んでもう一度声を掛ける。

    「おはよう」
    「ん、おはよう…」

    まだしっかり頭が働いて無いからか、たどたどしく素直に俺の言葉を鸚鵡返しのように返してきて、その言葉にぽかぽかと暖かくこそばゆくなる。
    まだ暫く動きたく無いなと思っていれば、馬狼が布団から抜け出そうとするから腰を抱き寄せて、足を絡める。

    「まだごろごろしてよーよ、王様、どうせ動けないでしょ」
    「…、っ、お前の、せいだろうが」
    「うん、俺のせい」

    びくりと身体を跳ねさせた馬狼の眉間に皺がよって、寝起きの頭が働き始めたのか、掠れた声で責められて俺しか映し出さない紅い瞳に気分が良くなる。
    …馬狼を独り占めしてる。
    抱き寄せた身体は暖かくて、諦めたように伏せられた目元はまだ変わらずに赤い。

    「馬狼」
    「?」

    名前を呼べばちゃんと俺のことを見てくれる恋人に多幸感を感じながらぎゅっと抱き締める。
    胸元を押される感覚を無視しながら、どこにもやりたくなくて逃がさないように抱き込めば、くぐもった悪態が漏れて聞こえてきて思わず笑ってしまう。



    end.
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