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    rollinggorochan

    @rollinggorochan
    大岡です🥳
    とりあえずサンプルとかの収監場所にしようかと思いますが、どうやって使おうか思案中〜🙄

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    rollinggorochan

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    バレンタインですねー!
    今原稿中のせいか筆が早いっぽいのでサクッと軽めのをひとつ書きました!
    イチ若、365日幸せでいてくれー!
    いつも通りの生存if
    同棲中というか、なんならもはや結婚してるイチ若です

    #イチ若
    ichiwaka

    2月14日、日曜日。
    いつもより少し遅めの起床。
    休日は若にも休んで欲しいから、メシの係は俺。
    トーストを焼いて、卵とかウインナーとかに適当に火を通して、野菜を千切る。
    温かいコーヒーも入れて、若を起こすこと三回。
    低血圧で本当は朝に激弱な若が、いつも早起きして弁当を作ってくれてることに改めて感謝する。
    半分夢の中なぼんやり顔を見ながら朝メシを食って、ソファーで二度寝した若を起こさないように洗濯物を干す。
    少し曇ってるけど、気温も高くて春の気配がする。
    部屋に舞い込んだ花粉が若の鼻をくすぐったのか、クシュンってかわいいクシャミと共に若が目を覚ました。
    今度こそちゃんと起きた若がシャワーから出てきたら少し外に出よう。
    今にもつぶれそうなうみねこ坐を助けるのも勇者の務めだからな。
    お日柄的に『本当の恋を見つけるための538のルール』か『結婚指輪伝説~序章~』で迷うところだ。
    映画の後は浜北公園を散歩して、それから〆に美味いコーヒーだ。
    そしてそこで俺は若から例のアレをもらう。
    計画は完璧。

    なはずだったんだが……

    いつもの日曜日をほんのり恋人っぽく過ごして、いつも通り食材や生活必需品を買い込んで帰宅する。
    お持ち帰りしたデパ地下の総菜で晩飯を済まし、風呂の後はたっぷりエッチもして、その流れのまま寝落ちしそうになる胸の中の若を俺は慌てて揺り起こした。
    「ちょっ、若!待って!まだ寝ないで!」
    「ん……イチ、もう疲れた……寝る」
    「あのっ、なんか俺に言うことないっすかね?!」
    「……言うこと?」
    若が薄目を開けて怪訝そうに俺を見る。
    小首を傾げてひとしきり何か考えた後に、
    「……お前ちょっとねちっこいぞ」
    って、目元を赤くしてエッチのダメ出しをしてくる。
    ねちっこいのは仕方ない。
    だって若がかわいいから、それはもう仕方ねぇ。
    ヤダって言われても改めるつもりはねぇっていうか、多分無理だ。
    ただ今はそんな話をしている場合じゃねぇ。
    「いや、そういうことじゃなくて!」
    俺は語気を強めて若の両肩を掴んだ。
    「?」
    若はぽかんとした顔をして、またしても首を傾げている。
    「ほら、今日なんの日ですっけ?!」
    「今日?……思い当たることは特にないな。強いて言えば明日は燃えるゴミの日だから15分早く起きるってくらいで。だからもう寝るぞ」
    「若……」
    悲しい。悲しすぎる。
    俺は燃えるゴミより優先順位が低いのか。
    「なんだよその捨て犬みたいな顔は……俺お前に何かしたか?」
    「いや、何かしたっていうか、むしろ何もしてないっていうか……」
    「は?俺がマグロだって言いてぇのか!?」
    「違いますっ!そういう意味じゃなくて!」
    もうこうなったら自分で答え合わせしたいのをグッと堪えて、あらん限りの眼力を駆使して若に訴えかける。
    「じゃあ最後のヒント!2月14日ってなんの日でしたっけ?」
    若はまたまた首を傾げて何事か考えていた。
    「2月14日?バレンタインだな」
    「そう!それっす!それ!正解!バレンタイン!」
    気分はもはやクイズ番組の司会者だ。
    当初の目論見からは大分ズレてるような気もしたが、派手な効果音とか照明とか若に向かって当てたくなるし、副賞のハワイ旅行でも進呈したいくらいだった。
    それなのに若は無情にも、
    「バレンタインがどうかしたのか?」
    なんて、まだ首を傾げている。
    鈍いところのある人だと解ってはいるものの、あんまりな仕打ちだ。
    こうなったらもう答え合わせをするしかない。
    俺はにへら~っと笑いながらできるだけ下手に出つつ、若に例のアレを要求する。
    「ほら、若、なんか俺に渡すの忘れてねぇかな〜って」
    「特に忘れてないが」
    「……」
    「だから、なんなんだよその捨て犬顔は!辛気臭いからよせ!」
    若はもしかして俺をからかってるんだろうか。
    しょんぼりしながら、人差し指と人差し指を合わせてツンツンしながら上目遣いで若を見つめた。
    「いや、だってバレンタインすよ?若のチョコ楽しみにしてたのに……」
    「チョコなら向田さんや鎌滝さんにもらっただろ?」
    「あれは義理っすよ。義理。さっちゃんに至っては3倍返しの要求付きっすよ?鬼かよ」
    「もらえねぇよりマシだろ」
    「そりゃそうっすけどね!男としては好きな人から本命チョコもらいてぇじゃないっすか!」
    若が青木遼だった頃、若の事務所にはトラック何台分とかいうレベルでバレンタインの贈り物が届いたらしい。
    隠れてコソコソ読んだ青木遼のインタビュー記事にそう書いてあった。
    そんな若からしてみたら、バレンタインなんてお返しが大変なだけで雑務が増える面倒な行事なのかもしれねぇ。
    でも一般男子の俺としては、好きな人にもらう本命チョコとかロマンの塊でしかない。
    「ちょっと待て。なんでお前が俺からもらう前提なんだよ。その理屈で言ったら俺だって男なんだから、お前からもらったっていいわけだろ?」
    なんという正論。
    まさに若のおっしゃる通り。
    確かにその通りなんだけど。
    「そりゃまぁそうっすけどぉ〜……」
    イジイジといじけながら合わせて人差し指をくるくる回してると、若がハァっと大きなため息を吐いた。
    「だから、その顔やめろ。チョコ……そんなに欲しいのか?」
    「欲しいっす!」
    若の言葉に瞬時に蘇った俺は満面の笑みで若に飛びついた。
    「ちょっと待ってろ」
    「え、あるんすか?!」
    裸のままベッドを降りて、若はキッチンの方に向かっていった。
    用意してるのに素知らぬフリで隠してるとか、まったく人が悪い。
    あの若がどんな顔をしてバレンタインの特設会場とかで女の子に紛れていたのか。
    考えただけで、嬉しくて幸せでにやけてしまう。
    あれこれと妄想しながらベッドの上で転がりながら若の帰りを待ってると、眼鏡なしの若がドアの角におでこをゴツンとぶつけながら戻ってきた。
    「あ、若、おかえりなさい!」
    不機嫌そうな顔でおでこを押さえたままの若を、満面の笑みで飛び起きて恭しくも正座で迎えた俺は、その両手が空っぽなことに気付く。
    はて?とばかりに今度は俺が首を傾げる番だった。
    無言で近づいてきた若がベッドに乗ると、ギシリと音をたてて若の重みの分だけスプリングが沈む。
    「若?」
    若の両腕が俺の首に回り、グイっと引き寄せられたと思った瞬間、甘い吐息が口唇に触れた。
    舌と一緒に入ってきたのは小さな小さな甘いそれ。
    口唇が離れると若が恥ずかしそうにボソッと言った。
    「キスチョコしか買い置きなかったから、今日のところはそれで我慢しろ」
    いや、キスチョコって商品名なだけで、別にキスしながら食うもんじゃないっすよってツッコミは若のくれたチョコと一緒に飲み込んだ。
    本気のド天然なのか、俺を黙らす巧妙な計略なのか。
    定かじゃないが、実際すっかり黙らされてしまった俺は、壊れた猿のオモチャみたいにウンウン頷きまくるしかなく。
    「来年はちゃんと用意しといてやるから」
    口角を上げてあでやかに微笑った若があんまりきれいで、来年もこれでいいかなぁなんて思ったりした。
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    rollinggorochan

    DONEバレンタインですねー!
    今原稿中のせいか筆が早いっぽいのでサクッと軽めのをひとつ書きました!
    イチ若、365日幸せでいてくれー!
    いつも通りの生存if
    同棲中というか、なんならもはや結婚してるイチ若です
    2月14日、日曜日。
    いつもより少し遅めの起床。
    休日は若にも休んで欲しいから、メシの係は俺。
    トーストを焼いて、卵とかウインナーとかに適当に火を通して、野菜を千切る。
    温かいコーヒーも入れて、若を起こすこと三回。
    低血圧で本当は朝に激弱な若が、いつも早起きして弁当を作ってくれてることに改めて感謝する。
    半分夢の中なぼんやり顔を見ながら朝メシを食って、ソファーで二度寝した若を起こさないように洗濯物を干す。
    少し曇ってるけど、気温も高くて春の気配がする。
    部屋に舞い込んだ花粉が若の鼻をくすぐったのか、クシュンってかわいいクシャミと共に若が目を覚ました。
    今度こそちゃんと起きた若がシャワーから出てきたら少し外に出よう。
    今にもつぶれそうなうみねこ坐を助けるのも勇者の務めだからな。
    お日柄的に『本当の恋を見つけるための538のルール』か『結婚指輪伝説~序章~』で迷うところだ。
    映画の後は浜北公園を散歩して、それから〆に美味いコーヒーだ。
    そしてそこで俺は若から例のアレをもらう。
    計画は完璧。

    なはずだったんだが……

    いつもの日曜日をほんのり恋人っぽく過ごして、いつも通り食材や生活必需品を 2894

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