湿気と孤独真夏の昼下がり、天窓を開けていても
風通しが悪くジメジメとした研究室で今日も試薬品を調合している。
「次はキャラウェイ………」
目の前に並ぶ瓶の中にキャラウェイはない、薬品棚に入れてる。
ジョーリィにとられてなければ…と思いながら薬品棚まで移動してキャラウェイを探していく
「この辺に置いてたはずですけど…」
たくさんの素材が置いてある棚は一度定位置から外れてしまうと探すのが大変でみつけるのに手間取っていた。もしかしたらジョーリィが別のところにおいたのかもしれない…ハァ
……ギィ
戸か窓枠が軋むような音がする
鍵はいつも閉めているので誰かが入ってくることはない。
この館も色々ガタがきているのかもしれないと黙々とキャラウェイを探す。
とその瞬間後ろから強く引き寄せられてぐるりと後ろを振り向かされる
「?」
状況を理解する前に、唇が奪われていた。
強引に唇を押し当てられそのまま舌が入ってくる。呼吸がうまくできないほど激しくでもどこか寂しげで苦しげなそのキスにこちらも胸が詰まる。
しばらくなすがままにされて、意識が飛びそうな頃、甘噛みとは言い難い強さで唇を噛まれ意識が引き戻される。
独りにしないでとばかりに。
思わず唇を預けたままギュッと抱きしめて銀髪に触れる……するとハッとしたように体の強張りと口づけの勢いが緩やかになっていった。
「…………何かあったんですか?……って聞かれたくないのかもしれないですが」
「ン…………わかってんなら聞くなよルカ」
「こっちの身にもなってください!こんなことされてたら身体がもたないです!」
「部屋の鍵をかけ忘れてんのも、どーかと思うけどナァ」
「ッ❗️それはそうなのですが…」
皮肉な笑顔を見て彼が少しはいつもように戻っているようで安心する。
「今お茶を淹れますね」
「いやいい。俺はシエスタするからさ」
「ハァ…もうこれで用無しですか」
「お楽しみは夜にとっときたいだろ?」
「はいはい、わかりましたよ、暑いので涼しい場所で休んでくださいね」
「ルカちゃんはバンビーナだけじゃなく、俺にも甘ちゃんだなぁ」
ガタンと戸を閉めてカチャと音が鳴る
「?」
「デビトもしかしてこの部屋の鍵、もってます?」いまさら聞いても答えは帰ってない
「困った人です」
茶器の縁をなぞる
「あなたの孤独を癒す存在であり続けたいと思わずにはいられないのですよ。本当は孤独になんてさせたくないのですが。」