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    甘味処

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    甘味処

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    夢見が悪かったのを文章に起こしています。
    一応修正して、わかりやすくしたつもりなんですが難しかった。

    さまよう人「不快だ。殺してやろうとさえ思った」
    「殺してやろうだなんて、滅多なことを口にするんじゃあない。ぼくらは寛大な心を持って生きていかねばならないだろ」
    「随分な言い草だな、それは不快になった事の無いやつが言うことだ。些細なことで人は激昂するし、勢い余ってナイフを持つこともあるというのに」
    ややあって互いが口を噤んだ。


    いつかわかる時がくる


    昼間だというのに光を拒むうす暗い部屋でたった一人、ゴミに囲まれている。
    振り子時計の音がいやに響く。
    「いつかお前にもわかる時がくる」
    大人たちから教わった言葉を、老いたひとが繰り返し、自分に言い聞かすように
    呟いていた。

    あるとき、老いたひとは幼い子供であった。
    子どもは、好奇心が大勢で、自分の知らないことは全て知りたがった。
    どんなに些細な出来事でも、理由があると思ったからだ。
    特に子どもは、身近な大人たちの行動が不思議でならなかった。
    いつもの様に子どもは訊ねた。
    「どうして煙を美味しそうに吸うのか」
    父は言った。
    「子供のお前には分からない。大人になればわかる時がくるさ」
    子どもは理解できなかった。まだ幼かったからだ。子どもは、立派な大人になるまで辛抱しようと思った。

    子供はいつしか、少し大きくなった。
    子供と大人の狭間をさまよっていた。
    大人たちの言う、いつか分かる時が何時なのか、それすら分からず、見よう見まねでタバコをふかしたり、酒を飲むなどをしてみた。
    どれも口に合わず、何故大人はそれらを嗜むのか、それも大人になったら分かるのだろうか……。


    違うのだ!


    大人になったところで、分かるはずがない!
    子供は、大人になったら今まで知らなかったルールや、秘密が沢山あるのだと知った。そして、それらは待っていては知ることは出来ないのだと漠然とわかると、恐れた。
    大人たちの自然、と、そのうち、と言うのを鵜呑みにしている自分。まるで子供の身体が自然に成長することと同じように。精神までも受容の気持ちでいて、それらを分かるようになる日がくる、と受け取ってしまっては駄目なのだ、と。
    そしてその日、少年は闇夜の岐路に立った。


    老人は堰を切ったように泣き始めた。
    背を丸めて、枯れ木のような細い手を震わせて、顔を覆い、薄暗い部屋で子供のように泣きじゃくった。

    振り子がゆっくり揺れている。
    老人の時間を刻んでゆく。
    佇み、私はそれを見ている。
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