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    暖(はる)

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    暖(はる)

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    未成年mrくんと社会人tksgさん n番煎じネタ
    エイプリルフールのmrくんユニフォーム姿が凄かったので
    ネタは以前呟いたもの
    ※モブでおねぇキャラが登場しますが、差別意識はありません

    マッチングアプリからの恋「マッチしたのに何でなのよ~」
     見た目こそガチムチゲイファッションではあるが中身はフェミンとゲイの王道をいく男が、これまた胸板と肩幅がしっかりとした近くにある自動販売機よりも背の高い男に刃物を突きつけている。
     存外と腰が細いのだなとぼんやりと彼を待っていた高杉はその修羅場に参戦するつもりはない。
    マッチングアプリなど嘘の情報で塗り固められている。
     顧客を満足させいかにどこまで金を引き出すかが、運営者の狙いなのだから。
     スマホからアプリを削除すると高杉は、初めてきた二丁目から離れようとする。
     高杉はゲイよりもバイだ、男よりも女性の方が受けが良いという理由でお付き合いをしてはいるが、本命は男性だ。
     かわいい系よりも目の前にいる赤毛の青年ほど屈強な男を手玉に取りたいという願望が強いが、彼ほどの男はゲイの世界では海外のハリウッドスターに匹敵する。
     アプリを消してふと、彼のユニフォーム姿は残しておけば良かったなと後悔した。
     サッカーを嗜んでいるのか、ハーフパンツから見えるどっしりと筋肉質な太股と靴下、先ほどのように逞しい上半身、オマケに顔は眼光鋭く強面とも取れるがもう一枚、ややピントの外れた浴衣姿の写真からは柔和な表情もするのだと分かっている。
    「最近妙に絡まれると思ったらそいつかよ、めんどくせぇ」
     差されたというのに男はピンピンしている。
     一方、包丁を手にした男は正気に戻ったのか震え続けている。
     行き交う人々もそろそろこの茶番劇に飽きて三桁の数字を打ち出している。
    「もしもし坂本君、ちょっと依頼したいことがあるのだけど」
     ここより数駅離れた場所で探偵事務所を経営している坂本に連絡を取れば、上手いこと警察に話を付けていた。
     助けた恩返しに一晩とおとぎ話をを期待しているわけではないが、高杉は彼に興味を持ったのだ。
    **
    「……助けてくれて、ありがとうございます」
    「いや、何たまたまね。年も近いし、そんなに畏まらないで」
     男――森長可と一緒にホテルに入った高杉は親切そうな顔で彼の隣に座る。
     ゲイと云っても高杉はバニラだ。 
     挿入をしないアバンチュールな関係は、ゲイの世界では意外にも多い。
     元々挿入を前提に作られていない器官に長さと太さは人それぞれだかそこそこのブツが入るのだ。
     一夜だけの関係なら抜きあいの方が早い。
    「ほーん、じゃあ、てめぇもそっちなのか」
    「そっちって、ああまあね。安心して君と関係を持ちたくて助けたわけではないから」
    「そうかよ、」
    「坂本君から聞いたけど、勝手にアプリに入れられたのは災難だったね」
     あれから坂本が仲裁に入ると、どうやら森は悪意があるどころか彼も被害者であった。
     知らずに写真を使われマッチングアプリに登録され、見知らぬ男に声をかけられる。
     並の男なら精神が止みそうであるが、どうやら精神も図太いようでうまく躱したりしていたようだ。
    出会い系の写真にしては趣味が濃い写真ばかりだとは思った。
    「うさんくさい奴だけど、探ってくれるってよ」
    「彼確かにそういったところあるからね……でも、信用はして良いよ」
    「そうかよ……」
    「どうした?」
    「どういう知り合いだ」
    「大学の同期、誤解されたらイヤだから先に云っておく何もない」
    「……別に気にしちゃいないけど」
     気のせいだろうか森はホット胸をなで下ろした気がした。
     硬かった森の表情がそこから春が来たかのように明るくなった
     好みの男が顔を綻ばせるのだ、惚れないわけがない。
    「まずいぞ……」
    「何がだ」
    「その君、ノンケだろ……うん、後は坂本君に任せておけばいい」
     心臓の高鳴りが収まらない。今すぐこの空間から離れなければ取り返しが付かなくなる。
    「だからなんでだよ」
    「惚れた……! こんな玉砕前提の恋なんてしたくはない」
    「惚れたって俺に?」
    「そうだよ、軽蔑でも何でもしても構わないが」
    「惚れたならそれでいいだろ、恋なんて初めてするが悪くねぇな」
    「……同情」
    「するほどお人好しに見えるか」
    「見えない、」
     はじめてまじまじ森の瞳を見つめた高杉は螺旋の瞳に捕らわれる。
     それは蝶が蜘蛛の巣にかかったかのように、美しい蝶は始めから蜘蛛の手の中にあったのだ。
    「……そんじゃ、付き合うってことで」
    「よろしくお願いします、えっと、何?」
    「アプリは消しているのか」
     電話番号を登録しようとスマホを差し出せば森が、じっと高杉の顔を覗く。
    「勿論、」
    「ならいい、俺以外の奴と付き合うなよ」
    「……貞操観念しっかりしてる方」
    「してる、うちの大殿そういうの厳しいからな」
    「そうなの、束縛されるのも案外悪くはないかもね」
    ノンケとバニラの恋だ、きっとそこそこのところで別れが来るだろうと高杉はまだ森の独占力を知らない。
    「二十歳になったら攫いに行くから」
    「攫いって大胆……二十歳?、君今幾つだ」
    「十八、けどもうすぐ十九になるから。すぐだな」
    「はは、森君、お兄さんを揶揄うのは良くない、君だって」
    「アプリの情報なんて嘘っぱちだろう、高杉はで幾つなんだ」
    「ご想像にお任せします……」
    四捨五入で三十路と云えるはずがない。
    「だったらあの写真は、」
    「サッカーのは文化祭で撮ったやつ、コスプレ喫茶で着せられた」
     他にも警察官や王子様なんてのもあったようで高杉は想像しただけで、萎えた気持ちが少しだけ回復する。
     意外にも茶道部に所属していたようで、浴衣の写真はオーブンスクールで野点で茶を振る舞ったときの恰好のようだ。
    「まだまだ知らねぇことばっかだけど、全部吐かせて俺のもんにしてやるから」 
     食うのが楽しみだと云う声は、とても二十歳前の青年に色香だとは思えない。
    「……とんでもない男に惚れてしまった」
     今のところ手玉に取れそうな気配はない、だが森が云うようにお互いを知ることが出来れば、可能性はあるのだ。
     楽しみだなとふふと笑う高杉の唇を森が啄んだ。
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