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    SakuraK_0414

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    SakuraK_0414

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    譲介くんが出てこないタイプの譲テツ。あんまり品がない。女性の描写に力入れようかと思ったけどやめときました。

    #譲テツ

    若者は分かってくれない ドクターTETSUは闇医者である。その患者は政治家や極道、時には今を時めく銀幕のスターなど多岐にわたる。いずれも医者にかかっていることを知られなくない、弱みを知られたくない、そんな理由で大金を積んで闇医者にかかるのだ。
     そういうわけで。
    「……ED治療薬?」
     そういうことを望む患者もいる。
     ドクターTETSUは半ば呆れたような顔でベッドの上の小柄な老人を見た。
    「ンむ。この年になると勃ちが悪くてな」
     カカカ、と笑いながら毛布越しにポンと己の股間を叩いて見せるこの男はその気さくな言動に反して現役極道の組長である。15年間この患者を見ているドクターTETSUに言わせればヤクザ者というよりもクラブやキャバクラのオーナーという印象の方がよほど強く、実際かなりの色好みだった。抱いた数と同じくらい抱かれた、というのだから筋金入りだ。
    「最近しばらくドクターの世話にもなっていたしな、ご無沙汰だったんだがあいつが寂しがっていかん」
     あいつ、と言われてドクターTETSUはこの家の玄関で自分を迎えた女を思い出す。組長より30ほど年下の愛人。長いまつげでけぶった瞳が寂しげに見えて、年を経るごとにじっとりとした色気を増す女だった。
    「色と金で組長になったこの俺がそんな薬を使ってるなんざ知られるわけにもいかんからな」
     眉間にしわを寄せ、しかしどこか面白がるように笑う老人は、医者の反応がないのを見てからかうような声を上げた。
    「なんだ、ドクター。分からんなんて言いたそうだ。ドクターはまだお困りでないか」
     ああそうか、とにやりと笑って裏稼業の男は言った。
    「愚問だったか、たしかドクターは若い燕を囲っているとか。うらやましい限りだ」
     若い燕。それが誰を示すのかすぐに理解してドクターTETSUは低く唸った。
    「その舌と一緒にブツも引っこ抜かれてぇか?」
     鋭く睨みつけるが、そこはさすがに極道の長、カラカラと笑って挙句の果てに若いなァなんて言い出す始末。とんだ狸おやじだ、と舌打ちしたドクターTETSUはぞんざいに「薬は出す」と言い放った。
    「ただし、血行を良くして心拍数を上げるような代物だ。服用には注意しろ」
     もちろんだとも、と言う言葉は信用できた。そのあたり、真面目で几帳面な患者だった。それなら良しと患者の部屋を出て玄関に向かうと、あの女がひょこりと顔を出した。
    「ドクター、こちらつまらないものですけれどどうぞ」
     差し出されたのは高級和菓子店の紙袋だった。
    「あァ? いらねぇよ、報酬はもらってる」
    「いえ、そうではなくて。私の個人的な気持ちとして。その……」
     僅かに頬を赤らめて「お薬ありがとうございます」と丁寧に頭を下げられてさしものドクターTETSUもあっけにとられた。慎ましいようであけっぴろげなその態度に圧されて大人しく紙袋を受け取って玄関に置いていたブーツをはく。タイミングよく杖を差し出されたのはさすがに老人と長く暮らしているからなのだろう、と思ったところでふと自分の「若い燕」を思い出した。
     30も年上の相手に世話を焼いて欲情する、あの男。容姿も良いのになぜか自分に執着している。
    「あー……あんまり年寄りに無茶させるんじゃねぇぞ」
     今一番あの「若い燕」に言ってやりたい言葉をかければ、女はあら、と口元を覆ってそれからコロコロと笑いながら「分かってます」と返事した。
    (そりゃあ分かってない奴が言うセリフなんだよ……)
     分かっていない、散々無理だといったのに「いけるでしょう」なんて低い声で囁いてあらぬところを暴き立てたあいつは。でもそれで散々よくなってしまった自分の体のことが思い出されて、結局女に見送られながら黙ってハマーに乗り込んだ。
    「あー、くそッ」
     ひとつ悪態をついて、ハンドルを切る。向かうは我が家、和久井譲介の待つ家まで一直線。
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    SakuraK_0414

    DOODLE365日いつでもバニーを書いてよろしい、と神は仰せになった。なってない。でも今年はウサギ年だし9月はお月見だしそうじゃなくてもバニーを書いて良い。ということで、以前書いたバニーの譲テツ也宮添えの続きです。バニー衣装着るのが恥ずかしくてへにゃへにゃになってる自分の魅力に無自覚な闇医者。
    ちなみにバニースーツ餅つき、というのも二次イラスト的には可愛らしさと色気とポップさがあって良いなと思う。
    You're Bunny.「いや……これは、キツいだろ」
     さすがに、とドクターTETSUこと真田徹郎は独り言ちてそこらへんに置いていたカーディガンを羽織った。誰も見てないとはいえ、さすがにいたたまれない。特注品のバカみたいに大きな衣装一式が自分の体にぴったり沿うように作られているのもいたたまれない。衣装一式の入っていた箱に同封されたパンフレットの中で凄艶に笑うバニースーツを纏った美青年の姿が目に入って、もっといたたまれなくなる。
    (今より30若ければ、とは思いはしねぇが……)
     海千山千、天下の闇医者ドクターテツは危ない橋を渡りもしたし、死にかけたこともある。人生における大概の苦難と規格外の苦難を大方乗り越え、もう並大抵のことでは動じることも無い。
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    SakuraK_0414

    DOODLE譲→テツで、譲介くんがクエイドに行くぞ!となる話。細かいところはもう色々捏造してます。時間とか季節のこととかめちゃくちゃです。朝倉先生が診療所に来た頃のイメージで、遅れてきた七夕ネタでもあります。
    コンビニ店内でかかってる曲はモー娘。22の「Chu Chu Chu 僕らの未来」、譲介君がこの歌詞僕のことだ…ってなってるのはモー娘。19の「青春Night」です。参考しながら読むと楽しいかもしれない
    青春Nightに僕らの未来「……モー娘の新曲だな」
     コンビニの店内、隣に立つ譲介が、あの和久井譲介が呟いたので黒須一也はぎょっとして彼を見つめた。店内には確かに女子グループアイドルの楽曲が流れているが、こんな難しそうな曲、しかもワンフレーズを聞いただけでそれが分かったのか、と一也はますます目を見開く。
    「……なんだよ」
     じろりと譲介が睨んだ。あのハマー乗りの闇医者そっくりの長い前髪の合間から覗く左目の迫力に気圧されて一也は黙り込む。
    「お前だってモー娘。くらい知ってるだろ、僕らは世代だし、どこ行ったって流れてたし、ラブマシーンとか」
    「あ、いや、その、譲介はアイドルとか興味ない、というか好きじゃないと思ってたから」
    「別に興味はないし好きでもないぞ」
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    SakuraK_0414

    DONE譲テツのなんかポエミーな話です。
    譲テツと芸術と27階時代からアメリカ寛解同居ラブラブ時空の話になりました。
    最初のジャズは You’d Be Nice to Come Home Toです。裸婦画はルネサンス期の任意の裸婦画、文学は遠藤周作「海と毒薬」のイメージです。引き取ったなりの責任として旅行とか連れて行ってたテツセンセの話です。
    ムーサ、あるいは裸のマハ。副題:神の不在と実在について。ムーサ:音楽、韻律の女神。ブルーノート東京にて。

     いつだったかの夏。
     学校から帰ってくるなり来週の診察は譲介、お前も付いて来い、と言われた。家を出るのは夕方からだと聞かされてちょっと安心したものの熱帯夜の続く8月の上旬のこと、内心うんざりしたが拒否権は無かった。この間の期末テストで学年1位だったご褒美だ、と言われたからだ。
     成績トップのご褒美が患者の診察についていく権利って何だよ、と思いはしたがこのドクターTETSUという様々な武勇伝を引っ提げた色々とんでもない身元引受人が医学を教えるという約束を反故にしないでいてくれたのが嬉しかったのもある。
     当日の夕方の移動中ドクターTETSUは僕に患者の状態などを説明してくれたが、内心落ち着かず、どこに連れていかれるのか気になって話はあまり聞けていなかった。これを着ていけ、と上から下まで真新しい服一式を渡されたからだ。サックスブルーと白のボーダーシャツにネイビーの麻のサマージャケットをメインに、靴は通学に使うのとは違うウィングチップの革靴まで差し出されたのだ。普段は政界・財界に影響力を持つ患者の対応をいつもの制服で対応させるこの人がこんな服を持ってくるなんてよっぽどの患者なのか、と身構えてしまった。多分それは横にいる大人にはバレていたのだけれど、彼は指摘して叱るようなことはしなかった。
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