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    ぜんぜん進まんので、やる気出すために途中まで上げとくます。

    台葬 困ったことになった。
    ウルフウッドは煙草の煙をゆっくりと空に向かって吐いた。ゆらゆらと風に馴染みながら消えていく。煙が全部消えたのを見届けてから、また煙草に口をつけて胸を膨らませる。
     次の街までの道中。ようやく辿り着いた休憩所で各々体を休ませていた。ヴァッシュとメリルはお茶でも飲もうと火を起こし、ロベルトは車内で横になっている。あと1時間もしない間にここを出発して数時間もすれば次の街に着くだろう。
     でもそれでは困るのだ。ウルフウッドは頭を抱えたい気持ちを押し殺し、短くなった煙草を消して、新しい一本に火をつける。次の街に着かないことが1番だが、そういうわけにもいかない。分かっている。だが、着いてほしくない。どうにか言い訳を探しているが、ろくな言い訳もなく、逃げる方法も思いつかないまま、ここまで来てしまった。前回は酒を飲んで潰れて回避。その前は疲れて寝こけて回避。その前はたまたま怪我をして回避。その前は逃走した。延期する度に万全の体制を敷かれて、どんどん逃げ道がなくなっていることに、さすがのウルフウッドも気づいていた。
    「ウルフウッドさーん!お茶が入りましたわよー!」
    メリルの呼びかけに手を挙げて答え、大きく吸って吐いて、爪先まで煙が染み渡るようにもう一度吸い込んだ。緩慢な動作で火を消して、ゆっくりと歩みを進めた。できることなら行きたくないが、ここで頑なに行かないのも変だ。「もしかして気にしてる?」なんて後から聞かれでもしたら。考えただけでも腹が立つ。絶対に隙を見せるわけにはいかないのだ。
    「はい、ウルフウッド」
    「おおきに」
    湯気の揺蕩うマグカップをヴァッシュから受け取って静かに腰を下ろした。ハーブのような爽やかな香りにホッと息をつく。サングラスが曇るが今はこれがウルフウッドにとっての最大の防御だ。外すわけにはいかない。
    「ん、美味しい!変な色してたから不安でしたけど、なかなかいけますわね!」
    「メリル怪しんでたもんね」
    「誰だってそうなりますわよ!」
    2人の会話に耳を傾けながら一口飲むと柔らかい舌触りに続いて、また爽やかなハーブの香りが鼻を抜けていく。たしかに美味しい。ウルフウッドはあまりお茶は飲んだことないが、なかなか美味しい部類に入るのではないかと思った。この一時だけは息をついて、ヴァッシュの言葉を忘れられた。

    ―――次の街で君を抱くから








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    72ga11

    DOODLEぜんぜん進まんので、やる気出すために途中まで上げとくます。
    台葬 困ったことになった。
    ウルフウッドは煙草の煙をゆっくりと空に向かって吐いた。ゆらゆらと風に馴染みながら消えていく。煙が全部消えたのを見届けてから、また煙草に口をつけて胸を膨らませる。
     次の街までの道中。ようやく辿り着いた休憩所で各々体を休ませていた。ヴァッシュとメリルはお茶でも飲もうと火を起こし、ロベルトは車内で横になっている。あと1時間もしない間にここを出発して数時間もすれば次の街に着くだろう。
     でもそれでは困るのだ。ウルフウッドは頭を抱えたい気持ちを押し殺し、短くなった煙草を消して、新しい一本に火をつける。次の街に着かないことが1番だが、そういうわけにもいかない。分かっている。だが、着いてほしくない。どうにか言い訳を探しているが、ろくな言い訳もなく、逃げる方法も思いつかないまま、ここまで来てしまった。前回は酒を飲んで潰れて回避。その前は疲れて寝こけて回避。その前はたまたま怪我をして回避。その前は逃走した。延期する度に万全の体制を敷かれて、どんどん逃げ道がなくなっていることに、さすがのウルフウッドも気づいていた。
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