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    shizusato_xxx

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    Twitterでもんどり打ってた🎋🦩(社会人✕高校生)

    書きたいところだけ
    □2024/02/24 出会い
    □2024/03/27 学校 ※🎋出てこない

    #ヴェド

    社会人🎋✕高校生🦩□ 出会い □

     午前八時、電車が最も混み合う時間帯。

     サラリーマンやOL、学生が足の踏み場がないほどにひしめき合っている。ぎゅうぎゅうに人の詰まった車内は息をするのもやっとだ。
     押し込められた中で誰もが眉をひそめる中、ひとりの男は悠然と当たりを見渡していた。
     身長が185センチメートルを超えると、つり革が顔の真横に当たる。
     その男は幼い頃から光過敏の影響で濃い色の入ったサングラスの様な眼鏡をかけている。なので、つり革の近くに立つと、持ち手の部分がカチカチと眼鏡のフレームに当たってうっとうしくて仕方がない。
     しかし大きな身体を出入り口付近に置くと、せわしないく続く人々の乗降の妨げになってしまう。慣れない電車通学で、男は身の置き場に少々困っていた。
     ある日、次々に乗り込んでくる乗客に押し流され、車両の中央までたどり着いた時この位置が一番楽だと言うことに男は気が付いた。
     制服のブレザーに身を包みスクールバックを片手に俯いていた顔を上げると視界の先には乗客の後頭部が並んでいた。
     高身長のお陰でこの地獄のような満員電車内でも息がしやすい。その上、赤の他人と頬を寄せ合うほどに顔が近づかないことは大きなメリットだった。

     その日もドフラミンゴは満員電車に揺られていた。
     すし詰めの車内は高身長の自分でさえ不快極まりない。
     とくれば、この狭い車両内で押しつぶされている女性達のの辛さは想像するにもあまりある。
     同じ時間帯にも数人の女子校生が乗り込んでいる。高い位置からは周囲の様子がよく見渡せた。
     
     同じ学校の制服を着た女子生徒が、ごそごそと体を動かしていた。そのせいで肘が当たるらしく、隣にいるOLが迷惑そうに咳払いをする。
     少しの間動きは止まるが、しばらくすると女子学生はまたもぞもぞと体を動かしはじめる。
     どこか様子がおかしい。
     その女子学生が動き始めるとほぼ同時に、真後ろにいるサラリーマンらしきスーツの男も体をもぞもぞと動かしているのがドフラミンゴの位置からはよく見えた。
     泣き出しそうな少女の顔と自身の鼻息で曇ったサラリーマンの眼鏡。
     そこまで確認したところで、ちょうど電車が駅に到着し、降車する乗客の波に女子高生とサラリーマンが押し出される。
     まだ、学校最寄りの駅はまだ先だ。
     しかし、目の前で見た光景をそのままなかったことにはできずドフラミンゴは後を追うように電車のドアへ向かった。


    「おい、おっさん」
     電車を降りるなり、人混みのホームでドフラミンゴはサラリーマンの肩をつかむ。
     スーツの男はビクッと体を震わせて振り返る。
    「わ、私は何もしてな……、なんだ、ガキか」
     肩をつかんだ手の大きさに、一瞬ひるんだ男だが相手がまだブレザーに身を包んだ学生だと知ると、ほっとしたように語気を強める。
    「ガキだじゃねェだろう」
     学生とは思えない低音で高い位置から響く声に再度体を硬くするが、必死に体をよじって今度は逃げようとする。
    「な、何のつもりだッ、離せ」
     片手で押さえ込んでいるだけなのに、男の体はびくともしない。ドフラミンゴがあたりを見渡すと、例の女子高生はホーム近くでうずくまっていた。
     通勤途中らしい女性が数名、心配そうに背中をさすったりしている。
    「おまえ、こいつに何かされてなかったか?」
     その声に少女はビクッと体を震わせる。周囲の女性がそれを察して「大丈夫よ、安心して」と優しく声をかける。
    「えん罪だ、私は触ってない!」
     彼女が何か言う前に大声でサラリーマンがまくし立てる。その男の言葉に、うずくまっていた少女がはじかれたように顔を上げる。
    「……痴漢、そいつ痴漢!」
    「やっぱりな、俺は見てたんだよ。おっさん」
     痴漢とはっきり明言され、男は暴れるように腕を振り回す。
    「くそガキが。適当なこと言うなッ」
     その様子を目の当たりにして、少女に付き添っていた一人の女性がハイヒールだというのに、猛然とかけだし駅員を探しに行く。
     勇気を出した少女は、目に涙をためたままぎっとその男をにらみ続けている。男は状況が不利になったのを悟るとさらに暴れ始めた。
     大きく腕を振り上げる。ドフラミンゴは身軽に交わすが男を逃がすわけにはいかず、肘がみぞおちにぐっと刺さる。
    「こ、んの野郎ッ……ぐ」
     痴漢が逃げ出そうとした瞬間、人混みの中から長身の男が割って出てあっさりと捕獲した。
    「おいおい、冤罪なんだろ? じゃぁ、逃げることはないだろうが」
     ドフラミンゴよりもさらに背が高い男に、逃げだそうとした痴漢が「ひゅっ」と喉を鳴らして悲鳴を上げた。
     タイミングよく現れた駅員に、その長身の男が状況を手際よく説明する。
    「……と、いうわけであちらの少女が痴漢の被害を訴えている。こちらの男子生徒が様子を見ていたらしい。あってるかな?」
     自分も相手もサングラスをしてるので、ドフラミンゴからは男の表情は見えない。まるで見てきたように状況を整理して話す男に感心しつつ、こくりと頷く。
    「あぁ、違いない。……えっと、その」
     なんと呼べばいいのかわからず、眉を寄せると男はスーツの内ポケットから名刺入れを取り出す。
     革の手袋をした大きな男の手は器用に一枚の名刺を取り出してドフラミンゴに差し出した。
     落ち着いてよく見ると満員電車では、めったに見たことがないほど仕立ての良さそうなスーツだ。
    「……弁護士」
    「ヴェルゴだ」
     名刺に書かれた名前を名乗った男は、テキパキと駅員と話を進めている。弁護士の登場に完全に観念したように、男もあっさりと痴漢行為を認めた。
    「助かった、ありがとう」
     ドフラミンゴが礼を言うとヴェルゴは、面食らったように動きを止める。頭の先から足の先まで何度も視線を送った後に、ゆっくりと口を開く。
    「君、……名前は?」
    「ドフラミンゴ」
     名乗るともう一度、上から下までをゆっくりと確認してヴェルゴは大きく息を吐いた。
    「この件に関して、関わった以上は最後まで責任を持ちたいと思う。だから、連絡先をおしえてもらえるかな? さすがに、被害に遭ったばかりの彼女にまた俺みたいなのが連絡先を聞くのはちょっとまずいだろう」
     まるで弁護士答弁のような流れる口調でそう言うと、連絡先を交換する。
    「それに、君に暴行を加えたことは看過できない。必ず責任をとらせる。できれば、直近であって話ができると助かるんだが。今日学校は何時までかな?」
    「いや、俺の事はべつにいい」
     確かに男の肘がドフラミンゴのみぞおちに入って少々痛い思いをしたが、暴行と呼ぶほどではないとドフラミンゴは首を振るがヴェルゴは引かない。
    「いや、だめだ。責任はしっかりとらせる。何時に終わる?」
    「きょ、今日? 17時には終わると思うが」
    「よし、その時間に学校に迎えに行っても良いかい? 時間はとらせない約束する」
     ドフラミンゴに考える間を与えず、約束を取り付けたヴェルゴは「今日の17時、校門で」と何度も確認をして、最後にドフラミンゴの手を取ると一度ぎゅっと強く握ってから名残惜しそうに去って行った。

     小さくはない自分の手をすっぽりと包み込む革の手袋の感触と男の体温は、いつまでもドフラミンゴから消えなかった。



    □ 学校 □
     朝の騒動のせいでドフラミンゴの一日は忙しなかった。
     担任教師は遅刻の理由をネチネチと問うてきたがドフラミンゴは、詳細を話す気が全くなかった。今朝の出来事をつまびらかにすると、クラスメートが痴漢被害にあった事まで話さなければならない。
     本人の希望も確かめないままに、面倒だからと勝手に公にするのはポリシーに反する。
    「うるせェ、寝坊しただけだ」
     容姿が派手で目立つせいか、昔気質の教師に目をつけられがちだった。ことあるごとにドフラミンゴの粗を探そうと教師たちは躍起になるが、外見に反して優等生の彼は手強かった。
     成績は優秀、運度神経も抜群。同級生はもちろん他校生ともトラブルは起こさず無遅刻無欠席の優等生。
     同じように目立つ弟の方が、度を超えたドジをやらかしては学校を騒がせているくらいだった。その弟も成績は優秀で人当たりはよい。兄と同じく恵まれた容姿はは目立つものの、うまく学校に馴染んでいた。
     しかし教師が目をつけているドフラミンゴ自身は、際だって人目を引く以外は、生意気な雰囲気と口の悪さは有るものの大人しいものだった。
     その彼が、無断で遅刻をしてきたのだ。
     言葉通り鬼の首を取ったように、教師は遅刻して登校してきたドフラミンゴを昼休みに他のクラスメートの目の前で大声で咎めていた。

    「それで、何で遅刻してきたんだ」
    「しつけェ、だから寝坊しただけつってんだろ」
     いい加減嫌気がさしてきたドフラミンゴの語気が荒くなると、教師はほれ見たことかと余計に息巻く。元来こいつは粗野な奴なんだ。とその顔が物語っていた。
    「はぁ、もういいか? そろそろ俺も昼飯食いたいんだけど」
     面倒くさそうにそう呟いたところで、自分を蔑ろにされたと教師の顔が更に引きつる。
     勘弁してくれと、更に投げやりな言葉をかけそうになった瞬間、ドフラミンゴの背中にドンと勢いよく何かがぶつかる。
    「ドフちゃみ!」
    「ぐっ、……な、何だよっ」
     背中にすごい勢いでタックルをかましてきたのは、今朝電車で痴漢の被害に遭っていたクラスメイトだった。
    「先生、ドフちゃみ借りるね」
    「は?」
    「あ、お前は。お前も確か、遅刻しただろう。こいつが終わったら、お前からも話を聞くんだぞ、おいっ、勝手に行くな! おいっ」
     クラスメートは説明もないままに強引に手を引いてドフラミンゴを教室から連れ出してしまった。
     教師の怒号が背中に届き続けていたが、どんどん小さくなり終には聞こえなくなった。
     
    「おい、もういいだろ」
    「あ、ごめん。ごめん」
     言葉に反して悪びれた様子はなく明るい声の女子生徒に、サングラスの奥でその表情を確認しドフラミンゴは胸をなで下ろす。
     今朝は酷い目に遭ったのだ。しばらくは登校することも難しいのではと、心配していたからだ。
    「お前、大丈夫か?」
    「うん、ドフちゃみが助けてくれたから平気」
    「おい、さっきからなんだその“ちゃみ”ってのは」
    「可愛いでしょ」
    「あァ?」
    「友達は可愛い名前で呼ぶことにしてんの」
    「ダチって。おい、引っ張んなって」
     ドフラミンゴが低い声で唸ったとしても、もう彼のことをすっかり信頼しきっている女子生徒には効果がない。
     それどころか、手は繋がれたまま学校の奥へ奥へと女子生徒は引き摺っていく。状況が飲み込めない上に、あのうるさい教師のいる教室に戻るつもりがないドフラミンゴは、流されるまま後を追った。

     校内のドアにしては、随分と重々しく重厚な扉の上には、金色のプレートに黒い毛筆体で『校長室』と書かれていた。
     入学してから初めて入ったその部屋は、応接室も兼ねているのか豪華な作りだった。
     一番奥にアンティークの机、肘掛けのついたチェアーが設置されていて、机の上にはご丁寧に『校長 センゴク』とまるで国会議員のようにネームプレートまで設置されていた。
     部屋の中央には、石造りの長机を挟むように三人掛けの黒皮張りのソファーがどんと設置されている。 その真ん中に座った上品なスーツを着た男性が、ゆっくりと確認するようにドフラミンゴへ視線を向けた。 
    「以上が私が聞いた今朝の話だが、間違いはないかな?」
     特徴的なあごひげをまるで。お下げのように結わけた容姿は一見すると滑稽だ。それなのに威厳に満ちあふれた彼の様子と、誰からも尊敬される人柄から不思議としっくりと彼に馴染んでいた。
     今朝の顛末は、すでに警察と女子生徒から話を聞いているようで簡潔にまとめられている。他者の口から経由して聞かされた話は、まるで映画のように他人事に感じられて実感が沸いてこなかった。
     合間合間にドフラミンゴをドフちゃみと呼ぶ女子生徒が「それな」「ガチで」などと妙な相づちを打つので少々話が盛られている気もしたが、面倒だったのでドフラミンゴは素直にうなずいた。
    「まぁ、そんなところだ」
    「それで、一緒に彼女を助けてくれたという男性の事なんだが」
    「……男?」
    「彼女のご両親が、その方にもお礼をしたいと言っててね。君が親しく話してたときいて」
     校長の言葉をきっかけに、今朝であった長身の男の姿を思い浮かべる。
     年齢は、自分の父親と同じが少し若いぐらい。高そうなスーツを着こなし、特徴的な革の手袋をした低く甘い声。
     被害者の一人で目撃者という立場はあったにしても、年上の立派な男性にあれほど丁寧に扱われたことはドフラミンゴの人生で一度もなかった。
    「あぁ、弁護士と言ってたな」
     本当は名前も覚えて名刺までもらっていたが、なんとなく自分だけが知っていたくて、ドフラミンゴは言葉を濁す。彼のことを思い出すだけで、妙に胸がそわそわするのは事実だ。
    「なるほど」
     方々への連絡や、その後の段取りがよかったことに納得したらしい校長は笑顔でうなずいた。
    「ドフちゃみの友達?」
    「いや、初対面だ」
    「めっちゃ仲良さそうだったじゃん」
     誠実で面倒見の良さそうな男だった。みぞおちに軽い肘鉄を食らっただけだが、あの男はドフラミンゴ以上に腹を立て、責任を取らせると豪語していた。
     正義感の強い弁護士なのだろう。
    「俺も痴漢に殴られた。それを心配してくれてただけだ」
     少しだけだと付け加えたのに、同級生も校長も驚いたように声をあげる。
    「ドフちゃみに手上げたの? 許せない」
    「それはいけません」
     口々に二人が言い合うのを、大事にしたくないとドフラミンゴが止める。まだ二人は納得していないようだったが、その弁護士と連絡を取って彼女の親と繋げると約束するとなんとかその場は収まった。

     やっと解放されたドフラミンゴは昼食を取る時間もないまま教室へもどる。すでに午後の授業は始まっている時間だった。
     しつこく彼を叱責し続けていた教師はドフラミンゴの姿を確認するなり、ばつが悪そうに顔を反らせる。
     どうやら他の教師に、詳細を言って聞かせられ自分が見当違いの見立てで、無実の生徒をまくし立てていたと思い知らされたようだ。
     遅刻してきた彼がまさか痴漢からクラスメートを守っていたなど、思いもよらなかったのだろう。その後も、一切ドフラミンゴへ視線を向けることもなく授業は終わり、逃げるようにそそくさと教師は教室から出て行った。
     それから今朝の一件は、当の本人によって彼女のギャル友達に一気に広められた。ドフラミンゴはあずかり知らぬところで、救世主ドフちゃみとして輪の中に引きずり込まれてしまった。

     就業のチャイムが鳴り、ドフラミンゴが教室の壁掛け時計を見上げると16時半を回っていた。
     17時に件の弁護士は、校門まで迎えに来ると言ったが本当だろうか。
     授業が終わるなりにドフラミンゴの周りに集まってきたギャル達がきゃいきゃいと話し込むのを聞き流しながら、ドフラミンゴは窓の外をぼんやりと見つめる。
     グラウンドには、運動部の生徒がそれぞれ集まり活動を始める準備をしている。遠くの方からは、吹奏楽部が金管楽器をチューニングしている音が聞こえはじめていた。
     
     きっとあの男は来るだろう。
     名前と職業しか知らないほぼ他人の男だが、妙な確信がドフラミンゴにはあった。
     そして、またあの男に会える事に期待している事にはまだ気がつかないでいた。
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