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    Miruru_sweet

    @Miruru_sweet

    主に固定夢主ちゃんのお話載せます🧵
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    Miruru_sweet

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    Side story 02
    モモハさん宅夢主🚹お借りしてます!

    面倒な二人「……お」
    『あ、真鶴!』



    仕事帰り。空が茜色に染まった頃、懐かしの相手に遭遇した。手を振れば、彼は買い物袋を掲げてそれに応えた。一見すると一般人にも見える彼はポートマフィアの秘匿幹部___永瀬真鶴。私がポートマフィアに在籍していた時からの付き合いで、こうして偶に遭遇する。



    『久しぶりだね。元気?』
    「嗚呼、柳生も元気そうだな。坊ちゃんも変わりない。今日は何時もより早く起きていた」
    『Qのことは聞いてないんだよなぁ。元気ならいいけど』



    Q__精神操作の異能力を持つ為座敷牢に幽閉されている、夢野久作というポートマフィア構成員。真鶴はQの世話係だ。Qへの愛情はもはや世話係の域を超えていると云うか…Qのことになると急に饒舌になる。
    久々に会うので少し話そうと、隣に並んで足を進めた。



    『買い物?』
    「夕飯の材料と…坊ちゃんが最近気に入っている菓子があってな」
    『ほら出た坊ちゃん』



    袋の中身を見つめて小さく微笑んだ。真鶴の生活力の高さには純粋に尊敬している。私料理出来ないし。何度か手料理をご馳走になったが迚も美味しかったのを覚えている。
    煉瓦が敷きつめられた道を歩いていると、ふと煉瓦が外れかけている処を見つけた。真鶴の腕を引いて進路をずらす。



    『其処、足元危ないよ』
    「…悪い」



    少しだけ眉を下げて申し訳なさそうに謝ってきた。弱視なのは識っている。今更気を遣うような間柄でもないだろうに、と思いながら舗装された道へさり気なく誘導する。



    『別にいいって。送ってくよ』
    「拠点までか?近づいた瞬間、構成員に撃ち殺されるぞ」
    『私がそう簡単に死ぬと思う?』
    「…寧ろ構成員が瀕死だな」



    小さく笑う彼につられて私も口角が上がった。歳が近いこともあって、昔からよく駄弁っていた。あの頃から、印象はあまり変わっていない。相変わらず真っ直ぐだけど面倒な奴だ。
    その後も少し話をしたが、話題を振れば必ず何かしらの形でQの話に結びつく。此方は君のせいでQの生活リズムまで把握してしまっている。何か他の話題は無いかと思考を巡らせた。



    『あっ、そういえば最近、梶井さんと与謝野さんが対峙したみたいだね』
    「嗚呼。治療されて帰って来た」
    『うわ可哀想』



    乾いた笑いを零した真鶴は、与謝野さんとは私以上に長い付き合いらしい。詳しく聞いたことはないけれど、与謝野さんの話をする時は、Qの話をする時とはまた違った表情を見せる。普段表情から感情が読み取りにくい分、其の表情は随分判り易いと思う。大切なものを見るような、優しい目をしているのだから。



    「与謝野は爆発に巻き込まれたらしいな。治るとはいえ、身体は大切にするように云っておいてくれ」
    『自分で伝えればいいのに』



    口下手もここまで来たら病気だなぁ。“守りたい”って気持ちが原動力なのは真鶴らしいけど。私が伝えるよりも、真鶴が伝えた方が絶対に与謝野さんも喜ぶ…そう思って断った。



    『あ、今度お茶にでも誘ったら?Qへの贈呈品選ぶのに付き合ってもらうとか』
    「否、俺は…」
    『私に聞くだけじゃなくてさ、自分の目で確かめなよ』



    遮ってそう云えば、顰めっ面をされたが少し考え込んでいた。与謝野さんの幸せを実際に見て確かめられるし、大切なQへの贈呈品も選べる。どう考えても利点しかない。考えが纏まると、納得したように小さく頷いた。



    「…そうする。有難な」



    面倒くさいなぁ、と真鶴と空を見上げ乍ら考える。けれど私の目には、ちらりと盗み見た真鶴の横顔がやけに綺麗に映っていた。大切な人の為に悩めるということは、迚も素敵な事だ。彼の面倒な性格も、私は結構好きだったりする。





    ✳✳✳





    「この間中原さんが内股でお嬢様言葉使ってたぞ」
    『うっそ中也何してんの』
    「太宰さんにはめられたらしい」
    『治ならやるね。私も見たかった〜!』



    けらけらと大きく口を開けて笑う。此奴は___柳生伊織は、昔からの知り合いだ。今は違う組織に所属しているが、彼女が活動的な性格をしているからか街中でよく会う。坊ちゃんの話を軽くあしらい乍らも聞いてくれるし、与謝野の近況を教えてくれるから善い奴だと思う。



    『ねぇ、中也と姐さんは元気?』
    「……お前こそ、自分の目で確かめて来いよ」
    『いやいや、探偵社員がマフィアと密会してたら不味いでしょ〜』
    「現在進行形でしてるけどな。それも幹部と」



    俺の事を呆れたような表情で見てくる癖に、此奴も変な処で臆病だ。先刻までの堂々とした態度は何処に行ったんだか。



    「らしくないな。何時もの元気は如何したんだよ」



    そう云えば、バツが悪そうに視線を逸らされた。柳生は思ったことが直ぐに顔に出るから、判り易くて扶かる。
    中原さんたちも、彼女に迷惑がかからないようにと控えているんだろうけど、心配しているのは俺から見ても判る。いい加減板挟みから脱出したい。



    「連絡するくらいなら問題ないだろ。あの二人も柳生のこと心配してる」
    『……うん、連絡してみるよ』



    早速携帯を開いて文字を打ち込んでいる。心が決まれば行動は疾い。最初からそうすればいいものを…全く、面倒な奴だな。
    拠点に着き、構成員からの銃撃を身軽に避ける彼女に別れを告げて、エレベーターへと乗り込む。携帯に、柳生から与謝野が気になっていると云っていたらしい店の一覧が送られて来た。強引だし話を聞かない処があるが、良き話し相手である彼女のことは大概嫌いじゃない。
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