仗露道場2024/10/23「白」(2022/12/1お題) 真っ白なシーツにゆっくり押し倒された。さらりと上質な肌触りが、ここが家の自分のベッドとは違うことを改めて教えてくる。
もっともその質感自体はなじみのもので、もっと言うなら今やおれは、この感触ひとつで余裕で勃起できちまう。条件反射ってヤツだ。好奇心をそそられた露伴とラブホに行ったこともあるけど、おれたちがするのはたいてい、負けず劣らず豪華な露伴のベッドでだった。
ただし、ここは露伴のうちでもない。久々に何の野暮用もなくフルに休める夜勤明けの朝、さっそく露伴に電話したら、そのまま杜王駅から東京まで連行された。「ロマンチックやろうぜ!」なんつって、この人は案外こういうとこがある。ベッタベタなノリで一日イチャイチャして、酒も入った露伴はえらくゴキゲンだ。
ほっぺたを両側から包まれる。露伴の掌はいつもよりチコッとあたたかかった。すりすり撫でさすられると、その熱が移ったみたいにおれの頬も熱くなる。吸いつくような肌とか、色っぽくうるんだまだらの目とか、キュッと吊り上がったツヤツヤの唇とかのせいもあるけど——何より、露伴がおれを求めてくれてるって事実がたまらねェ。
かぷっと食われて、キス。口の中も露伴は普段より熱かった。咥内をくまなく舐めすすられて、おれも負けじと露伴の舌に舌を絡める。互いに顔の角度を変えて、何度も、何度も。
アッハ、と露伴がさも愉快そうに笑った。
「君の髪、ぐしゃぐしゃだぜ。これができるのはぼくだけだ!」
そうだよ、と言いざまおれはまた露伴に食いついた。ん、ん、といやらしい声を喉の奥から洩らしつつ、露伴が裾から手を忍ばせてくる。這い回る指はハッキリ意志を持っていた。敏感な胸板や脇腹をくすぐられて、おれはたまらず息を詰める。
男だからと露伴は言うけど、女の子だっていきなり突っ込まれたら痛ェんじゃあねーのかな。知らねェけどよ。だからおれたちが「そういうこと」をするのは、ちゃんと準備した時だけだ。
挿れなきゃヤれねェわけでなし、そこは何も問題はない。だがしかしやっぱり問題はあって……こういう時の露伴は、ここぞとSっ気を炸裂させるのだ。おまけに、いつにも増してエロくなる。
容赦なくシャツをひっぺがされて、上半身を裸に剝かれる。おれの身体を見ただけで、露伴はごくっと喉を鳴らした。その顔がまた、すっげークる。慾をダダ洩れにした露伴は、なんつーかもう、ヤベェぐれーにエロかった。
「それ……ばっか、すんなよォ……」
あちこちを舐めて吸って揉んで噛んでって延々されると、穿いたまんまの下のキツさに耐えきれなくなってくる。泣きを入れたおれに、露伴はきれいに整えた眉を右だけ上げてみせた。
「なんでだよ。ヨくないかい?」
「イイ、けどよォ」
だからだよ……とか言ってる間にまた露伴がかがみ込んできて、甘い絶望がおれの理性を塗りつぶす。頭はボンヤリ熱に浮かされて、そろそろまともに考えられなくなっていた。
「なん……ッで、ずっと、そこばっか」
「君だってするじゃあないか」
おれが息も絶え絶えになってるってのに、露伴は一ミリの容赦もなく言い放つ。
「そりゃ……あんたが、かわいいから」
「同じだよ」
露伴は間髪入れずに言った。
「君だってかわいい。めちゃくちゃにしたくなるぐらいにな」
おれのスラックスの前を開いてエロい顔を寄せながら、露伴は勝ち誇ったように笑った。
額の辺りにくすぐったさを覚えて目が覚めた。隣に寝そべった露伴が、整髪剤で固まったまんまぐちゃぐちゃに崩れたおれの髪を指先でもてあそんでいる。露伴の髪も下りていて、湿った空気と石鹸の匂いをまとった身体は純白のバスローブに包まれていた。
「風呂入ったの?」
「ちょっとシャワーを、な……ン」
意味深に笑う顔に顔を寄せて口を吸った。露伴はキスしながら蹴り上げるように片脚を開いて、おれの腰に巻きつける。誘うようにさらけ出された箇所に指を伸ばすと——そこは、したたるほどに濡れていた。
目の前が真っ白になる。昂奮で血管ブッチぎれたかと思った。ったく、あんたってヤローはよォ……どんだけグレートなんだよッ!
辛抱たまらなくなったおれに乱暴に組み敷かれたってのに、露伴はやっぱり、勝ち誇ったように笑った。