恋こじらせると変になる自分の上司はとてもすごい人だ。
容姿や頭脳は人並外れており、潜入捜査官としてのスキルはもちろん、料理までプロ級の腕前だ。
何よりすごいのはその正義感だ。
この国を守る彼の右腕として働いていることを自分は誇りに思っている。
ただ、困ったことがある…
そんな彼に自分は恋をしてしまったのである!
仕事の面では厳しい彼が説教しつつもお弁当を差し入れてくれたり、潜入先に呼び出して助手として紹介されたり…あれは業務上の都合なのに、とんだ勘違いしてしまったのものだ。
問題は恋をしてしまったことではないのだ。
恋にうつつをぬかして使えないやつだと思われるのが駄目なのだ。
あの容姿だけに他人に恋情を向けられるのは慣れているだろうし、勘のいい彼のことだからこちらの感情に薄々気付いてはいると予想する。
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