楽園で待ち合わせ楽園で待ち合わせ
「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公」
まほうのじゅもん、を、唱えた。
「四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
特異点F、いつか冬木と呼ばれた街を踏破し、カルデアへと帰還したわたしに手渡されたのは、小難しい言葉の並んだルーズリーフだった。
「告げる」
ご丁寧にふりがなまで振られたそれは、久しぶりに見る日本語だった。カルデアに来てから英語ばかり聞いていたわたしには、ひどく懐かしい。だから耳慣れない単語の羅列を嬉々として読み上げた。
「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に」
それが何のために紡がれる言葉か、ろくに考えもせずに。
「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応ェ」
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