善悪の天秤プトレマイオスは藤丸立香のマイルームに度々寄っては本の紹介をしたり、読書に耽ったりと彼らしく飄々とカルデアの生活を楽しんでいた。彼は聖杯戦線の記憶を保持したままカルデアに召喚されたため、マスターに対して多少の思い入れはあるようだった。しかし、その距離はかの特異点ほど近くはない。
立香はそれがすこし不満である。あれだけ親しくしていたのにカルデアへ来た途端、一歩引かれたような対応に肩透かしを食らったし、自分だけが相手を好きになってしまったのだと寂しい気持ちに襲われた。
しかし、めげないのが立香のいいところである。めげない、諦めない、空元気も元気のうち。全く気にせずにプトレマイオスの元を訪れて一緒に過ごした。立香にしてみれば初恋のようなものであったので駆け引きの匙加減という観点はなく、当たって砕けろの精神だけで向かって行ったのだった。
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