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    AmakAsuka

    @AmakAsuka

    安赤小説を書いています。この二人の立場、性格等の関係で、物語はシリアスに始まることが多いですが、必ずハッピーエンドになります。

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    AmakAsuka

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    平和になってからの甘い休日。零くんの節分の願いと、新たな約束。
    安赤ワンドロワンライ第6回お題「節分」をお借りしました。

    ##安赤ワンドロワンライ
    ##AMAK
    ##安赤

    節分「あかいー」
    「ん?おっと……」
     豆が飛んできた。俺の肩に一粒、腕にもう一粒。
    「へへっ」
    「ああ……節分か」
    「うん」
     次の豆を手にして笑う零くんは、いたずら好きの小鬼のようだ。俺はちょうど読み終えたホームズをテーブルに置き、恋人に向き直った。
    「俺が鬼か?」
    「っていうか……」
     つかんだ豆が飛んでくるのを待っていると、彼はぷいっと横を向き、ポリポリと食べ始めてしまった。それから、照れ隠しなのか、そっぽを向いたまま左隣に腰かけてきた。肩を抱いてもいいものだろうか。時には測りかねる距離感も、また楽しい。
    「ん」
    「うん?ああ、ありがとう」
     顔を合わせてくれないまま豆の袋だけ差し出されたので、手を入れる。適当に取ろうとすると、「数えろよ」と言われた。
    「年の数だったか」
    「うん」
     零くんはソファーに足を乗せ、背中を俺に預けて、静かに豆を食べた。「五……六……」と数えながら。俺は、一粒ごとに思い出に浸った。四つ、秀吉が生まれた。十五、父がいなくなった。意外と食べられるものだと感心しているうち、温もりをくれるこのかわいい男と出会った年まできた。
     君と出会ってから、いろいろなことがあったな。君には驚かされてばかりだ……愛しているよ、零くん。
     ふと見ると、彼の手と口が止まっている。年の数を食べ終えたのだろうか。豆の袋を置いて膝を抱え、俺にぐーっと体重をかけてくる。
    「零くん?」
     何ともかわいい。次にどう出るのか黙って見ていたいが、反応を待っているのがわかるから、頭をなでて優しく名を呼んだ。すると、ようやくこっちを向いてくれたが、今度は横から両腕で俺に抱きついて、肩に顔を埋めてしまった。……今日はここで、朝までコースか?
    「赤井……今、何個め?」
     くぐもった声に、正直に答える。
    「わからなくなった」
    「おい」
    「君が目の前にいるんだ。時間も年も忘れるよ」
    「……そういうこと言えるんだ。さらっと」
     うー、と唸ってから、やっと見せてくれた青い瞳は、初めて会った時と変わらずまっすぐで、俺の前では少し幼くなる。乱れた前髪を直してやると、夜の色が滲み出てきた。まだ、午前中だというのに。
     どちらからともなく唇を塞ぎ、互いの舌を味わい、当たり前のように押し倒されていく。恋人の瞳は濡れている。彼もこの数年間を思い出していたのだろうか。
     首筋に二つ、三つと痕が増え、そのまま食われるのをゾクゾクしながら待っていると、彼は俺の胸に耳を当て、動きを止めた。うん、と頷き、満足そうに微笑んでいる。その仕草がいとおしく、妙に気恥ずかしくもあり、何かを言いたくなった。
    「豆まきの続きをするか……?」 
     彼はクスッと笑った。場違いな俺の言葉を丸く愛撫するような笑みだ。
    「ううん……少し、このまま」
    「そうか……」
     胸の上の頭をゆっくりなでる。
    「豆をぶつけたのは……あなたに鬼が近付かないように、って思って」
    「わかっているよ。ありがとう」
    「あなたに、いいことだけありますように、って」
    「君がついていてくれれば、鬼も逃げるさ」
    「『バーボンとライを見たら、とにかく逃げろ』でしたね……ふふ」
     零くんはまた俺にキスをして、ここからが本番だと目で伝えてきた。その瞬間の、瞳の奥の閃きが好きだ。
    「赤井、白状します」
    「……君も豆の数がわからなくなった?」
    「当たり」
    「いいさ。数えるチャンスはこの先いくらでもある」
    「ちゃんと爺さんになろうな」
    「ああ。二人で世界記録を目指そう」
     新たな約束に笑いながら、尽きることのない執着と愛情に身を任せた。
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    AmakAsuka

    DONEエアブー230528の展示作品です。安赤ワンドロワンライのお題「最後の日」をお借りしました。
    バーボンが、スコッチの最期の言葉を聞くことができていたら、と想像してみました。映画の影響で、幹部を手伝ってくれる構成員も登場させています。その後、ライが組織を抜け、2年後に赤井秀一として日本に戻ってくるまでを書きました。
    これだけで読めますが、6/23からのエアブーで続きを展示します。ハッピーエンドです。
    最後の日「おい。バーボンはどこにいる。誰か知ってるか」
    「今日は〇〇会の取引のために潜ってますぜ」
    「そうか……奴が戻ってきたら、気を付けろ。荒れるぞ」
    「兄貴、心配してやってるんですかい。そりゃあバーボンは、ライとデキてるとかデキてないとか言われてやしたが」
    「んなことはどうでもいい。ライのこととなると逆上するあいつが面倒なだけだ」
    「逆上ですかい?俺には、いつもより冷たく見えやすよ」
    「ウォッカ。赤い星と青い星、どっちが熱いか知ってるか」
    「え。あ、青い方……あー。そういうことですかい」
     真っ赤になって怒っている時よりも、静かに青い目を光らせている時の方が、恐ろしい。裏切者としてライに始末されたスコッチの死以来、バーボンのライを見る目は、氷のように冷たい。
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    AmakAsuka

    DONEPixivの1000字コンテストに応募した、「ボトルメール」をテーマにした小説です。ハッピーエンド。pixivの方は、コンテスト用に少し縮めてあります。こちらが完全版となります。零くんがこんな危ないことをするか?とも思いますが、パッと浮かんできた光景を書いておきたかった。赤井さん相手なので突飛なことをしてしまう上に今よりももっと若かった零くん、ということで、広い心でお読みいただければ幸いです。
    ボトルメール一、あなたは海の彼方

     僕の中に残っていた、温かいもの。それが粉々に砕かれた瞬間。破片をかき集めて、ボトルに入れ、蓋をした。優しい笑顔、気遣ってくれる声、交わしたいくつもの言葉。かけがえのない親友を失ってからも、なおも心の中から消すことができなかった日々。
    「さよなら、ライ」
     海に流して、すべて忘れよう。それでもこんな風にボトルメールにして、ぷかぷか浮かぶのを眺めているのは、未練にほかならないけれど。
         ♢ ♢ ♢ ♢ ♢
    「よぉ、シュウ!」
    「トム。しばらくだな。あの件は片付いたのか」
    「ああ、手こずったがな。この前アドバイスもらって助かったよ。さすがは『ライ』だな」
    「それは禁句だ」
    「ハハッ。悪い悪い」
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