プランツドール🔶先生(続き)プランツドール🔶先生②
「寝床どうしようかなぁ…」
ご飯も食べて寝る準備万端!…なのだが、問題が。そう。寝床問題。2人で寝るには少しというかだいぶ狭い。いや別に私が図体でかいとかそういう訳じゃないからね。
関係ないけど、縛ってない先生の髪長くて綺麗……。ふわふわさらさら……。思わず指で梳かしてしまう。
話を戻して……、
「先生、先生のお部屋一応あるし、先生のお布団もあるから先生そっちで寝な。」
泣きそうな顔で首ぶんぶん振っていやいやされた。嫌かぁ〜。「離れない!」とでも言うかのように足にぎゅ…ってしてくるからそれ以上何も言えなくなってしまう。なら一緒に布団で寝ようか。布団も1組しかないから狭い事には変わりないが、落ちるということがないからその点は安心だろう。
布団を敷いて、どうすればいいのか分からないようでウロウロしてる先生。
「おいで、先生。」
「!」
布団を軽くぽんぽんと叩くと嬉しそうに顔を綻ばせながら懐に飛び込んでくる。それが可愛くて頭を撫でる。
「おやすみしようか。」
「(こくり)」
エアコンついてるとは言え、隙間もないほどにぎゅっと引っ付かれると少し暑い。もう船を漕ぎ始めてる先生のほっぺを人差し指でするりと撫でると半分寝ているのに、にへらぁと先生の頬が緩む。先生の寝顔を見ていると私も眠くなってきた。……寝よう。
――――
朝の光がやんわりと私の瞼を刺激する。もう朝か……。腕になんか乗ってる……?うっすらと目を開けるとドアップ美少年。ワフ……美……。私の腕を枕にして安らかにすやすや眠っている鍾離先生。さらりと前髪を撫でると長いまつ毛が揺れる。うっすらと黄金の瞳が見えるとぽやぽや私の顔を見る先生。
「あ……ごめん。起こしちゃったね。もう少し寝てていいよ。」
私は朝ごはん作るから。と言って起き上がろうとすると先生もうつらうつらしながら起きる。キッチンに行くと後ろから目を擦りながらトコトコ着いてくる先生。
「抱っこするよ。おいで。」
あまりにも眠そうなので片手に先生を抱き上げる。ちゃんと命の重さがある。
簡単な料理を作ってると、先生が腕の中でくーくー眠っている。一旦料理を中断して、私のベッドにそーっと下ろして、布団をかけてやる。
――――
朝の静かな時間。プランツドールどころか人間の子も育てたことないのに。育てられるのかな……。紅茶を飲みながらはぁ……とため息をつく。ちゃんと勉強して学ばないと。通販サイトで「プランツドールの育てかた」なる本を漁ったり、プランツドールを育ててる人のSNSを見てみたり……。そこで先生が起きたのか寝室でドタドタ音がする。
「せーんせ、起きたの?」
「!」
寝室の扉をあけるとぐちゃぐちゃの室内。暴れ回ったんか???????と宇宙を背負っていると駆け寄って泣き縋ってくる。
「先生?なんでこんなお部屋ぐちゃぐちゃにしちゃったの?」
先生と同じ目線にしゃがんで聞いてみると瞳をうるうるさせながら、キュッ……と服の裾を掴んでくる。
「私いなくなったと思った?」
「(こくり)」
「寂しかった?」
「(こくり)」
「ごめんね。」
大粒の涙をポロポロ流す先生に強くぎゅっとする。
「でもね、先生。お部屋こんなにぐちゃぐちゃにしちゃダメ。起きたら扉コンコンしたりしてみてね。」
「(こく)」
「よしよしいい子。じゃあ一緒にお片付けしてくれる?」
元気に手を上げてくれる。壊れるようなものは無かったから良かったが、もし花瓶などあったりしたら先生危なかったな。もっとよく言って聞かせないと……。
一通り片付けた後は、ご褒美のミルクの時間。美味しそうに飲む姿が可愛くてモチモチのほっぺを優しくつつく。一人暮らしだったから2つもマグカップ無くて私のマグカップだけど良いかな。大丈夫だよね洗ったし。
「今日お出かけしようか。先生の必要なもの買わないと。」
いつまでも私のぶかぶかな半袖パーカー着てる訳には行かないだろうし。砂糖菓子をあーんさせて食べさせながら買うものリストを頭の中で構築する。金髪兄妹から頂いた砂糖菓子をしゃりしゃり口の中で楽しそうに転がしている。
出かける準備をして暑い日差しの中に繰り出す。先生に暑いけど頑張って、と言って抱き上げる。
目的地に到着して先生の服などを物色する。ノリで来たから先生の好みとか分からないんだよなあ。カッチリしたフォーマルな服、そして私のパーカーのようなカジュアルな服を手に取り先生に見せてみる。
「どっちがいいとかある?」
2つをよーく見比べたあと、カジュアルな方を指さす。さっき着てたからかな。少し大きめサイズのパーカーをいくつか買って貰って先生はご満悦。とりあえずしばらくの間はこれで大丈夫だと思う。あとは日用品か。
先生のマグカップを見に来ると先生がぐいぐい手を引っ張って先導する。おう、どうしたどうした。気に入ったのあったかな?「これ!」と言うように、私の物と似たようなデザインの物を差し出してくる。お会計をして、店員さんに丁寧に包んでもらったマグカップを受け取り大切そうに抱える先生。
「ちょっと休憩しようか。」
ちょっとだけ、と思い自分の服を見ていると先生がうつらうつらし始めてしまう。疲れちゃったかな。ベンチに座り、先生に膝枕をしてあげる。すやすや寝ている。もうここまで疲れてしまうと買い物再開は難しいだろうと判断し、大人しく帰ることにした。
――――
家に帰り、先生をソファに寝かせて私はソファの下に座り本屋で買った「プランツドールについて」の本を読んでみる。読み進めていくうちに私まで眠くなってしまう。少しだけ昼寝しよう。横になり重い瞼を閉じた。
意識が浮上する感覚と共に額に柔らかい何かが当たる感覚。「ん……」とだけ反応してまだ目は閉じていると、また額に柔らかいふにっとした感覚。
やんわり目を開けると私の寝顔を覗き込み、鼻がくっつく近さに先生がいた。