結婚式 空から色とりどりの紙吹雪が降り注いでくる。あの時と同じ光景にパニッシャーを撃つ手を止めて戦場で空を見上げた。あの惑星とは違う青い空やけど、降ってくる紙吹雪は変わらんのやなあ。
「ちょっとウルフウッド! よそ見してないで戦って!!」
隣でピースフリンガーをぶっ放しとるトンガリは無視して大きく息を吸って。
「ワイのどこが花嫁やねん!!!」
こちとら全身真っ黒やぞ!
結婚式場で馬鹿共がリア充滅べとか叫びながら暴れとるゆう話で、どこから入手したのかパワードスーツと旧型の自立兵器を使っとるとかで止めにきた。しかも手製の爆弾も持ってきてたんで会場は木端微塵。行われていた式は中止。
どうにか被害を最小限に収めようと奮闘しとったら旧型の自立兵器とやらが白い服を着た人物を優先的に攻撃する設定だとかで、遅れて現場に到着した上下白い服のクソ猿が花婿認定されて全機体に狙われて逃げ回っとった。ざまあみさらせと援護せんで笑ってやったわ。
そしたら爆発やら何やらでふわふわと飛んできたヴェールがワイの頭に着地した。戦闘の邪魔やからすぐ取ったんやけど、なんでかその一瞬で兵器共はワイを花嫁認定してこっちにも襲いかかってきよった。いや、ワイのどこが花嫁やねん。男やぞ。
「あの機械壊れとるやろ! ヴェール一つでなして花嫁になるねん!」
ヴェールはとっくに脱いどるんにまだ花嫁認定されとる。新郎新婦とは真逆の全身真っ黒やのに!
襲ってくる兵器は全体の半分やけどごっつ固い。関節部分狙うかロケランやないと破壊できん。しかも数が多すぎて一向に終わらん。イライラしながらぶっ壊し続ける事数時間、ようやっと全部壊せた。疲れた。はよ家に帰ってシャワー浴びて寝たい。
「トンガリ、はよ帰るで」
「……」
「トンガリ?」
「……外して」
「あ?」
「いいからサングラス外して」
「おい、トンガリ……!?」
イラついとるトンガリにサングラスを奪われて白い布を被せられた。半透明で向こう側が見える薄い生地は見覚えがある。花嫁が頭に着けとるヴェール。自分が被るんは二度目や。
取り払おうとして手を上げて、いつの間にか生えてとったトンガリの羽が首や腰、太腿に巻き付いてきたんで止めた。羽出しとる時はなんぼ抵抗しても無駄やし。ちうかコイツ、最近羽隠さんくなってきたな。体は大丈夫なんやろか。
ヴェール越しに見えるトンガリはむすっとしとる。
「ウルフウッド」
「おん」
「君は僕のだからね」
「はぁ?……んむっ」
突然の僕の宣言に首を傾げていたらヴェールを上げられキスされた。多分誓いのキスのつもりなんやろうな。神父も宣誓もないから、誓いも何もないけど。
別にこないな事せんでもワイはおどれのやし、おどれはワイのや。なんも心配する事あらへんのに、しゃあないやっちゃなぁ。
それはそれとして、みんなが見てとる前でキスするな言うたよな、ワイ。あとでぶん殴ろ。