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    numasoko_tri

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    現パロ/台牧

    牧師がケーキを買うだけ。台風は名前すら出てこない。

    ケーキ「いらっしゃいませ~!」

     店内に入ってすぐに店員の元気な声がウルフウッドを出迎えた。仕事帰りに立ち寄った店内には女性や子供しかおらず、男性はウルフウッドしかいない。男性客、それも一人で入って来たのが物珍しいのか、数人の不躾な視線がウルフウッドに突き刺さる。常ならば回れ右をして店から出ていくところだが、今のウルフウッドは周囲の視線など気にならない。視線を無視してケーキが並べられたガラスケースに近付いた。
     甘い物はあまり好かないウルフウッドではあったが、この時は入ったばかりの後輩が大きなミスをしてしまい、そのアフターフォローの為に奔走し、なんとか定時に終わらせる事ができたが非常に疲れ切っていた。
     へとへとの体で家へと帰る為に歩いていた途中、目に入って来たケーキの文字にふらりと立ち寄ったのがこの店だった。特にケーキを食べたかった訳ではなかったが、家でウルフウッドの帰りを待っているだろう恋人は甘い物が好物だ。よくドーナツを買ってきてはニコニコと幸せそうな顔で頬張るのを見るのが好きだった。
     よく回らない頭でケース内に並べられた色とりどりのケーキを眺める。ショートケーキ、ティラミス、モンブランなど、味も苺にチョコ、抹茶と豊富な種類があった。恋人の好きなケーキはなんだったかと思い出しながら、店員に話しかける。

    「すんません。このケーキが欲しいんやけど……」
    「はい! ショートケーキですね! お一つでよろしいですか?」
    「おん。あとこれとこれと……こっちのも一つずつ下さい」

     長々とした横文字を読む気力もなく、ただこれが欲しいと指を刺すだけのウルフウッドは店員からすれば面倒くさい客だろうが、店員のお姉さんは笑顔でケーキを一つずつ丁寧に取り出し、慣れた手付きで箱に入れていく。
     財布を取り出して代金を払い、ケーキの入った箱を受け取って、店員のありがとうございましたという声を背に店を出た。自分は食べないというのに4つも買ってしまったケーキ箱を抱え、ウルフウッドは今度こそ家へ帰る為に歩き出した。恋人の喜ぶ顔を思い浮かべながら。
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    numasoko_tri

    DONE1日くらいなら眠らなくても平気な台風×眠い牧師 in HL。
     ウルフウッドは眠かった。もう30時間以上は起きている。許されるのなら、任された仕事を全て放り出して今すぐ家に帰りたいくらい眠い。
     常人よりも頑丈な肉体と体力を持っているウルフウッドだが、恋人であるヴァッシュとの情事は肉体的な負担も体力の消耗も大きく、終わった後は暫くベッドから出られなくなる。
     だから翌日は二人でゆっくりするのがいつもの事だったのだが、今回は違った。ピロートーク中にかかってきた一本の電話によって、二人の時間は終わりを告げた。
     電話をしてきたのは二人の上司であるスティーブンだった。なんでも繁華街の住民と裏社会の住民が大暴れしているのだとか。
     曰く、最近流行り始めたという違法薬物が保管されていた倉庫の近くで原因不明の爆発が発生し、倉庫内に保管されていた大量の薬が宙を舞ったのが原因だという。最悪な事に、空高く舞った大量の薬は風の流れに乗り、夜でも賑やかな繁華街を楽しんでいた住民達の頭上に降り注いだ。その結果、繁華街に居た住人の殆どが薬物中毒になり、副作用で暴れ出す住人が現れた。更にこの騒動にのって常日頃から不満を抱いていた裏社会の住人達も暴れ始め、ポリスだけでは収めきれないとライブラが出動する事になり、ライブラの構成員であるヴァッシュとウルフウッドの二人も呼ばれたという事だった。
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