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    支部作品(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=20382959)のR削除分です。

    #虎トウ

    過度な接触はお控えください 全年齢向け 次の依頼が来たから、また次も戦闘かななんて呑気に考えていたら、任されたのはまさかの情報収集だった。それは基本ミナの仕事だからびっくりして、何度も確認をしたけど先方からの答えは変わらない。とりあえず、情報収集なんてほとんどやったことないからミナに相談しようと思って、とりあえず家で会う約束を取り付けたら、玄関にはトラとハルまでいた。なんでおまえらまで、とは思うが賑やかなのは嫌いじゃない。別に聞かれて困るような内容でもないし、相談相手は多い方がいいだろう。
     そんな俺の心中を察したのか、ミナはくすりと微笑んでからこう言った。
    「私と狗丸さんが2人っきりで会ったと知ったら、御堂さんがどうなるかわからないじゃないですか」
    「あー……。なんか、ごめんな」
     2人にはトラと付き合っていることは伝えてある。と言うか、そうなった次の日に報告しようとしたらソッコーでバレた。気を遣われたことが少しむず痒くて、目線をトラとハルの方に逸らす。ハルはうわーと呟きながら呆れた目をしているし、トラはなぜか得意げだ。ふっ、じゃねぇよ。トラの方をじと、と睨んでいたら、ミナがまた口を開く。
    「亥清さんは1人だけ仲間外れにしたら寂しくて泣いてしまわれると思って」
     ハルが別にそんくらいで泣かないし!と頬を膨らませてミナから背を向けた。寂しいってところは否定しないのが最年少らしくて可愛いな、と思う。
    「さて、そろそろ本題に移りましょうか。狗丸さんからある程度仕事の内容をお聞きして気付いたんですが、私、この方ご存知です」
     ミナが資料を取り出してからある男の写真を指差す。俺たちが知りたい重要な情報の鍵を握ってる人物だ。やっぱりミナはなんでも知ってるな、と笑いかけると少しはにかんだ様な笑みを浮かべて髪を耳にかける。
    「以前ちょっとだけお話ししたことがあって。でも、それを知って狗丸さんが担当になったのも納得しました」
     そうなのか?と聞くとミナがええ、と頷く。なんだ、焼き鳥好きなのか、この人。
    「この方、狗丸さんみたいな目つきが鋭くて八重歯のある男らしい方がタイプなんですって」
    「…………………は?」
     そう言葉を発したのは俺ではなくトラだった。いや1文字しか声に出してないからこれを言葉と定義していいのかっていう話だけど。
    「えーっと、つまり……?」
    「ハニートラップ、とまでは行きませんが……ある程度の接触は避けられないでしょうね」
    「巳波、俺は同行出来ないのか」
     トラがソファから勢いよく立ち上がってミナに詰め寄る。ビクッと肩を跳ねさせた俺とハルに対して、ミナはいつものペースを崩さないまま答えた。
    「あら、御堂さんはその日別のお仕事でしょう?頑張って早く終わらせられれば迎えに行くくらいはできると思いますが、最初から最後まで一緒とはいきませんね」
     トラがわざとらしく溜息を吐いて座り込む。半ば乱暴に足を組み直したその仕草を見て一気に不機嫌モードに入ったのがわかった。ハルがちょっと勘弁してよ、と苦虫を噛み潰したような顔をする。
    「トーラ、そんなむすくれんなよ。いざとなったらダッシュで逃げるから、さ……。」
    「……極力触られないように努力してくれ」
    「はいはい、分かったよ」
     トラの顔を覗き込んでご機嫌取りをしたら割とすんなり許してくれたので、ほっと胸を撫で下ろす。
    「って言っても俺、そういうの上手くできねぇと思うんだけど……コツとかあんのか?」
     後頭部をかきながらミナに聞いたら、私のやり方では狗丸さんには合わないと思いますよ、と片眉を下げられてしまう。
    「えっじゃあどうしたら」
    「いつもの狗丸さんらしく振る舞えばいいだけです。楽しくお話しして、相手の気分が乗ってきたら必要なことを聞き出す。そうすれば、きっと難なく情報を教えてくださりますよ」
     狗丸さんにはそういう魅力があります、とミナは続けた。ハルとトラがうんうんと頷いているけど、正直ピンと来ない。まぁ無理に演技とかしなくてもいいならちょっと安心した。
    「私から言えることはそれくらいですね。あんまり長居するのも狗丸さんに申し訳ないですから、そろそろお暇させて頂きます」
     飲み物ありがとうございました、と既に空になったアイスティーのグラスを置いてミナは立ち上がった。それにならってハルとトラもそれぞれオレンジジュースとアイスコーヒーが入っていたグラスをミナが置いた位置に寄せて玄関へと向かう。
    「頑張ってくださいね、狗丸さん」
    「じゃーなー、トウマ」
     ミナとハルが軽く手を振ってから部屋を出ていくのを手を振り返して見送る。だけど、トラはいつまでもそこに突っ立ってるままだから、扉がバタンと閉ざされてしまった。
    「と、トラ?帰んないのか?」
     後ろから声をかけると、トラは急に振り向いてずいっと顔を寄せてきた。突然至近距離で浴びる高火力の顔面偏差値に思わず身じろぐ。じっとりとした目で本当に大丈夫なのか、と聞いてくる。トラの醸し出す雰囲気がミナとハルがいた時とかなり変わったのに気付く頃には、腰に手が回されて逃げられなくなっていた。
    「し、心配しすぎだって……大丈夫だから、トラは自分の仕事のことだけ考えてろよ」
     な?と念押しすると、トラはわかったと大人しく聞き入れてくれた。よしよし偉いぞと頭を撫でると、その手を掴まれる。
    「……トウマ。仕事頑張るから、やっぱりちょっとだけ触らせて」
    「え、あ、ちょっ、んぅっ……!」
     そのままトラが俺を引き寄せてきて唇を塞いだ。ちょっとだけ、と言いつつもガッツリ舌を入れてくるキスに抗議したくはあるけど、その身体を押し返そうという気持ちにはならない。結局その後はお互い我慢できず寝室直行ルートになり、俺は散々啼かされた。

    □□□□□□□□

     と、言うのが1週間前。今はその任務の最中で、俺はちょっとしたパーティー会場で酒を飲みながらその男と話している。実際交流してみたら結構気さくな人で、仕事ではあるものの俺も結構楽しんでいた。何回か肩とか太ももを触られて驚きはしたけど、ちょっとスキンシップが過剰な性格なだけだ。そう自分に言い聞かせた。酒の勢いもあるし。ちょっと際どい触られ方をした時もあったけど、これが終わったらすぐトラの家に行ってトラを充電することを想像してなんとかやり過ごした。何回かその流れでトラとのアレコレを思い出して顔が赤くなって誤魔化すのが大変だったけど。
     ある程度情報を聞き出して、いざ帰ろうと言う時、その男が廊下で俺を呼び止めて、2人きりで話がしたいと言ってきた。正直やるべきことは終わっているし、その人に勧められるがまま飲んでしまって俺は今結構酔いが回っている。どう上手くかわそうか、考えあぐねている間に肩を抱き寄せられた。そのまま首筋をついっと指でなぞられて、トラに触られてる時とは違う意味で背筋が震える。
     今この場には他に誰もいないし、酩酊した身体では上手く抵抗できずに押さえ込まれるか相手にそれなりの大怪我を負わせるのかのどちらかだ。本格的にヤバい、と気付き始めたその時、誰かに腕を引っ張られてその体に収まる。突然のことに目をぱちくりと瞬かせていると、やけに安心感のある香りと聞き馴染みのある声が上から降ってきた。
    「気を抜きすぎだ、トウマ。そんなに飲んだのか?」
    「と、トラ!?」
     思わず結構な大声を上げてしまって、慌てて口を押さえる。幸い、パーティーの喧騒で俺達3人以外に聞こえてはいなさそうだ。
    「おまえ、今日は別の仕事が」
    「もう済ませてきた。そんなことより早く帰るぞトウマ」
     ぐい、といつもより乱暴に手を引かれてその場を後にした。ぽかんとした顔の相手に、今日はありがとうございましたとだけ返したけど、ちょっと礼儀に欠いた行動だっただろうか。駐車場に着いてからトラの車に押し込むように乗せられて、慌ててシートベルトを締める。そういえば帰るってどこに、と聞いたら、俺の家しかないだろうとこちらを見ることなく返された。

    □□□□□□□□

    「っ、悪い。そんなこと言わせるつもりじゃ、無かった」
    「トラ……」
     今にも泣きそうな苦しそうな顔をしながら、トラは口元を手で隠して目を逸らす。
    「……もう寝よう。疲れただろ、酷いことをした。反省してる」
     寝るも何も俺らまだ着替えてすらいないのに、と口ごたえしようとしても、有無を言わせぬかのように頭を撫でられる。先ほどとは打って変わった優しい手つきに一瞬目を細めて受け入れようとしたが、はっとしてその手を掴んだ。多分、って言うか絶対、今ここでなあなあにしてはいけない気がする。
    「トラ、おまえ1人で勝手に終わらせんなよ。俺の話もちゃんと聞いてくれ」
    「……とう、ま」
     しょげた顔をするトラに、説教じゃないから安心しろって、となるべく落ち着いた、寝かしつけるような声で伝える。
    「俺、あいつといる時、ほとんどトラのこと考えてたよ」
    「……そう、なのか」
    「そうだよ、ホントだって。誓っていい。……あいつに触られてる時、なんでトラじゃないんだろうって思った。ただぞわぞわして気持ち悪いだけだったよ。帰ったらトラにいっぱい触ってもらおうって思って、必死にやり過ごしてた」
     ゆっくり、密やかに、だけど確実に聞こえる声量で真実だけを知らせていった。言葉を紡ぐ度に浅かったトラの呼吸が落ち着いていくのが見て取れて、俺もほっと息を吐く。最後まで言い終わると、深く息を吐きながらトラが俺を抱きしめてきた。
    「……トウマ」
    「うん」
    「……悪かった。おまえを疑っていた訳じゃない。」
     正直ちょっと苦しいし、吐く息が耳にかかってくすぐったい。それでも振り解くなんてできるわけがなくて、トラの背中に手を回してその重みを受け止める。
    「いーよ、トラ。ちょっと危機感足んなかった俺も悪いし。嫌いって言ったのも嫌だったよな。おまえがそういうこと言われんの好きじゃないって、分かってたのに」
     しばらくそうして2人で体温を分かち合う。ずっとこのままでも良かったけど、先に沈黙に痺れを切らして口火を切ったのは俺の方だった。
    「なぁトラ……直接触って。どこ触られたかちゃんと全部教えるから。綺麗に上書き、してくれよ……」


    全部終わったら、手袋も含めて洗わねぇと……。そう呟いたら、トラの身体が一瞬ピシリと固まった。かと思えば、汚れてない左手で口元を押さえてニヤニヤしている。
    「なんだよトラ、急に変な顔して」
    「ん?ああいや、そこまで期待してくれているのかって思っただけだ」
     期待?言ってる意味がわからなくて首を傾げると、トラがずいと顔を近づけてきた。3日どころか毎日見ても飽きないその美貌に、思わず息が詰まる。
    「俺としては、上書き出来れば十分だったんだが……そうか、トウマは、俺と、最後まで全部ヤりたいんだな?」
     …………………………あ。
    「い、いいい今のナシ!前言撤回!」
    「無理だな。俺はもうトウマの口になってる。……寝室行くぞ」
     血が沸騰しているんじゃないかと錯覚するほど、落ち着きかけていた身体が再び熱を持つ。無意識に期待してたなんて、めちゃくちゃ淫乱みたいじゃんか俺!そんなことを思いながら今度こそトラをちゃんと押し除けようとしたら、その前にトラはソファから降りて、俺をひょいと抱き上げた。そのまま寝室に向かうトラに少しでも抵抗しようと足をバタつかせても、生きがいいなと軽くあしらわれる。
    「さ、さっきから俺が食いもんみたいな言い方すんなよ!」
    「一緒だろ?……ああでも、物理的に考えるとおまえが俺ので腹一杯に」
    「バカバカバカそれ以上言うなおまえほんと最低」
     慌てて両手でトラの口を塞ぐと、別に誰も聞いちゃいないのにとでも言いたげな顔をされた。そう言う!問題じゃ!ねぇんだよ!あっという間に寝室に着いて、ベッドに下ろされてからダメか?なんて額をすり寄せられながら言われる。くっそ、俺がどうやったら折れるか理解しやがって。素直に受け入れるのも悔しかったから、挑発するようにトラの唇に噛みついた。

    □□□□□□□□

    「……うお、やば……………」
     朝目覚めて上半身だけ身体を起こした時に、全てを察した。喉も、腰も、体全体もヤバい。これは今日1日下手に動くのは控えたほうがいいだろう。特にあいつに触られた肩と首周り、右足の太ももには無数の歯形とキスマークがある。
    「独占欲強……」
    「……痛むか」
    「うひゃあ!?と、トラ、起きてたんならそう言えよ!」
     寝起きで気を抜いていたところに首筋を撫でられて飛び退く。同時にズキンと腰と尻が痛んで、そのままベッドの上に突っ伏した。
    「いってて……」
    「何してるんだトウマ……」
     何してるんだって言われても8割くらいおまえのせいなんだけど、という念を込めて睨み付けても効かないらしく、そのまま引き寄せられて俺はトラの両腕にすっぽりと収まってしまった。
    「まだ休んでろ。昨日は頑張って貰ったからな」
     ぽんぽんと優しく頭を撫でられながらそう言われれば、黙って頷くしかない。寝惚けてるのか夜の激しさに引け目を感じてるのか知らないが、朝のトラは普段より優しい。ちょっと照れ臭くもあるけど、落ち着くのも事実だ。
     身を捩って、トラの方に身体ごと向き直った。そのままトラの胸元に顔を埋めたら、トクトクと優しい鼓動が聞こえてくる。それさえ愛おしくて控えめに抱きしめ返したら、少しペースが速くなった。余裕そうな優しい表情とのギャップが面白くてへへっと笑ったら何がそんなに面白いのか、とキョトンとした顔をされた。
    「トラ」
    「ん?」
     もぞりと顔を上げてキスをした。バランスを取るためにトラの胸に手を置いたから、心音がバクバクと鳴っているのがわかってニヤついてしまう。
    「好きだよ。めちゃくちゃ」
     そう言ってまた唇を重ねたら3倍、いや5倍くらいの深さで返ってきた後に「俺もだ、愛してる」と囁かれて俺の鼓動も急激に加速した。

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