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    child_cpac

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    全年齢だけどビビってR-18にしてた作品(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19505433)を全文掲載します。

    #虎トウ

    攻防戦にもなってない トウマと虎於が付き合い始めて1ヶ月が過ぎた頃。久々にオフが重なったのでその前日から一緒に過ごそうと言うことになり、トウマは虎於の家を訪れていた。付き合ってから2人きりで長い時間過ごすのはプライベートだと初めてのことで、トウマはテンションが上がっていたし、虎於も心なしかいつもより楽しそうだった。虎於がオススメした映画を見た後にソファに腰掛けて談笑している時、ふと、虎於と目が合って。その視線があまりにも熱を帯びたものだったから逸らすこともできないまま、顔が近付いて、唇が重なって。そのまま触れるだけのキスを繰り返しているうちに、トウマの顎を掴んでいた虎於の左手が輪郭をなぞるようにして後頭部へと移った。そのまま頭を固定されて、口を開くことを促すように舌で唇をなぞってくる。促されるがまま少しだけ合わせを開くと、虎於の熱い舌が口内に侵入してきた。
    (ヤバ……こいつキスめちゃくちゃ上手い……)
    虎於と恋人になってから何回か触れるだけのキスはしたものの、ここまで深いものは初めてだった。虎於に上顎や八重歯など、自分でも知らない弱い部分を攻められて、腰に力が入らなくなっていく。しばらく口内を弄ばれた後、やっと唇が離れて、2人を繋ぐ銀色の糸がぷつりと切れた。この雰囲気だとこれから先どうするかは流石に恋愛経験が少ないトウマでもわかることで、あー、今日やっとトラのこと抱けんのかな、とふわふわした頭でトウマは考える。互いの口元を濡らすそれを親指で拭ってから、虎於はトウマをそのままソファに押し倒し、首筋に顔を埋めた。
    ん?ソファに押し倒し?
    「ちょっ…トラっ……待っ……」
    「どうした、トウマ。やっぱり怖いか」
    「いや、なんで俺がこっち前提?」
    「………………………………」
    「え?」
     漫画だったらポクポクポクポクチーン、という効果音でも出そうな程の長い沈黙の末、虎於は明らかに困惑した表情でトウマを見つめた。うわそんな表情も物憂げで絵になるな、ではなくて。
    「いやいやいやいやお前なんで当然のように突っ込む側取ろうとしてんの!?」
     力がうまく入らない中なんとか虎於を引き剥がして、はだけた服を直しながらトウマは叫んだ。
    「……まさかお前自分が抱く側だと思っていたのか」
    「信じらんねーみたいな顔すんな!俺だって男なんだよ!」
     ぶっちゃけて言うと、トウマは虎於を抱きたいと思っている。これまで恋愛対象が女性だったトウマは(と言っても、青春時代の大半を芸能活動に費やしていたので実際女性とお付き合いした経験はないのだが)そもそも「抱かれたい」という考えが頭の中になかった。しかしそれは虎於も同じであろう。向こうが当然のようにトウマは下だと思っていたのは癪に触るが。
     しばらく1人で考え込んでいると、あまりに長い沈黙に耐えかねたのか虎於が口を開く。
    「……トウマ。その気じゃないなら今日はやめるか」
    「え、トラ、急にどうしたんだよ……?」
     さっきまでめちゃくちゃガツガツ来てた割に、虎於の方からすんなりとその提案をしてきた。
    「別に。無理矢理するのも気分が悪いだろ」
    「なんか元気ないな……?トラ、突き飛ばすみたいな真似したのは悪かったよ。でも先延ばしにするのは良くないと思うぜ」
    「それに機嫌を損ねてるんじゃない。俺もトウマの意見を聞かなくて悪かった。……………………その……俺が……自信が、ないん、だ…………」
     トウマを気持ちよくさせる、自信が、と目を伏せて虎於は続けた。
    「ちゃんと男同士でやる時のことは調べたんだ。男同士は受け入れる側の負担がかなり大きくなることも知ってる。もちろんトウマがなるべく痛くないように優しくする、誓っていい。……それでも、トウマが辛い思いをしたら、って考えると、怖いんだ」
     その表情がなんだか、花瓶を割ってしまった子供のようで。トウマは胸の中が愛しさでいっぱいになるのを感じた。虎於がここまで自分とのことを考えている上に、本音を溢してくれた。そう思うと、男の矜持なんてものは考えてられない、いや、男の矜持があるからこそ目の前にいる健気な恋人を受け入れなければならないと思った。先程虎於が言ったように受け手側に負担が大きいならなおさらのことだ。
     一旦ゆっくり深呼吸をしてから、トウマは虎於に向き直った。
    「いいよ」
     え、と困惑した表情を浮かべる虎於の膝に乗り、艶のいいローズブラウンの髪を撫でながらトウマは続けた。
    「いーよ、俺。トラになら抱かれても。」
    「……ほんとにいいのか」
    「いいって言ってんじゃん。多少無茶しても俺丈夫だからヘーキだって。逆に聞くけどトラはいいのかよ。普通に鍛えてる男の身体だぜ」
     自嘲気味に笑うと虎於はトウマを強く抱きしめた。
    「…俺はトウマがいい。トウマじゃなきゃ嫌なんだ。あと無茶は絶対にするな」
    「わかったわかった。試すような真似して悪かったよ。早くベッド行こーぜ」
     あやすようにまた頭を撫でて鼻先にキスを送る。普段なら子供扱いするなと言ってくるのに、たまにこうして満更でもなさそうに目を細めるのだからあざとい男だ。そういうところも含めて好きになったのだけれど。普段からこれくらい素直でいいのに、という揶揄いは流石に興ざめすると思って心の中だけに留めた。




     寝室に入った途端に唇を塞がれ、噛みつくようなキスをされた。部屋でした甘ったるいのとは比べものにならないくらい、虎於は欲を剝き出しにしてがっついてくる。さっきまであんなに可愛かったのに、と思いつつも虎於に求められてることが嬉しくて、トウマもそれに応えるように懸命に舌を絡ませた。トウマの腰に力が入らなくなってきた辺りでベッドに押し倒される。
    「トウマ……服、脱がしていいか」
    「ん……」
     こくりと頷いたら、トウマが着ているTシャツの中に虎於の手が入り込んでくる。風呂に入った後だったので、2人とも格好はいつもよりラフだった。上を脱がされると、虎於はトウマの首筋に顔を埋め、そのままちゅぷ、と音を立てて耳を舐めてきた。
    「ちょっ……ト、ラッ……………それっ……なんか、ゾワゾワするっ……」
    「気持ちいいのか?…耳、弱いんだな……初めて知った」
    「…は…っ…そんなん、知る機会っ…日常で、ねぇっ…だ、ろ……っ」
     甘く艶やかな虎於の声と吐息をダイレクトに耳元で浴びて、なんというか、すごく、堪らない気分になった。トウマがそうしている間にも虎於は形を確かめるように耳裏を舌でなぞったり、耳たぶをやわく食んだりして、快楽を与え続けてくる。
    「そうだな。俺しか知らないし、俺しか知らなくていい。」
     最後にチュッと音を立ててキスを落とされて、ようやく解放されたかと思えば腹筋をつう、と指でなぞられ、トウマはたまらず声を出した。
    「うぁっ……!?」
     その瞬間、虎於の手がピタ、と止まる。自分でも想像できないような声が出て、トウマは手の甲で口を塞いだ。
    「ワリぃ、なんか変な声出た。……萎えた?」
     おそるおそる虎於の方を見やる。そこでようやく虎於の顔が、目が、飢えた獣のようにギラついていることに気づいた。ぞわりと、首筋が粟立ったけれど、恐怖心は不思議と無い。多分この感覚は、期待と興奮とが入り混じった、そんなものだ。
    「……いや、むしろ唆った。もっと聞かせてくれ、トウマ」
     あ、喰われる。
    虎於が舌舐めずりをしたのを見て、トウマはそう思った。







     翌朝。パチリとトウマが目を開けると、とんでもない美形の寝顔が間近にあって思わずうお、と声が出た。そして自分の声が若干掠れていることに気がつく。昨夜はというと、正直めちゃくちゃ良かった。虎於はあんなギラギラした表情をしながらも、宣言通りトウマの負担が最小限になるようにすこぶる優しくしてくれた。そのおかげでトウマもちゃんと気持ちよくなることができて、その分それなりに声も出したのでまぁ、そうなるのも当然だろう。思い出してるうちに段々恥ずかしくなってきて熱くなってきた顔を冷ますためにも水を取ってこようと身を捩った時。
    「い"っっっ……!?」
     腰と尻辺りに鈍い痛みが走った。その上、下半身に力が入らない。それなりに大きい声を出したので流石に目の前の恋人も目を覚ました。
    「トウマ……?」
    「おー、トラ。はよ。悪ぃ、起こしたよな」
    「…なに、してるんだ」
    「いやー、喉渇いたから水飲もうと思ったんだけど、なんか全然体動かな……んむ」
     照れ隠しで喋り続けていると口を塞がれた。触れるだけのキスにトウマが呆気に取られていると、虎於が続けた。
    「……声掠れてる。無理に話さなくていいし、動かなくてもいい。水なら俺が取ってくる」
    「おー……。ありがとな。なんかトラ、すげー優しい……。」
    「…………当たり前だろ。」
     虎於を褒めた時に返ってくるお決まりの言葉ではあるが、その言い方はいつもの自信に満ち溢れたそれとは違い、若干の照れを含んだものだった。
    「……本当に、心から好きになったやつを抱いたのは、初めてだったんだ。優しくしたくもなる」
     口元を手で多い、目線を斜め下に逸らしながら虎於は呟く。指の隙間から覗く頬は少しだけ赤く染まっていた。そんな虎於がたまらなく愛しく思えて、トウマは痛む身体に鞭打って世界一優しくてかっこよくて可愛い恋人に抱きついた。
    「ちょっ…トウマっ、だから動くなって」
    「トラ、やっぱお前と恋人になれて俺さいっこうに幸せだ!」
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