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    case669

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    おんりに間に合えば本にしたいレオジャミ。普段ならばっさりカットする所を無理矢理ひねり出してるせいで挫けそうなので見て見てする…なおこの後はただだらだらいちゃいちゃするだけのTHE801になるはずですぼすけて

    ##レオジャミ

    夕焼けの草原では「愛」が何よりも尊重される、らしい。
    身分も人種も性別も、愛し合う二人の前では何の障害にもならず、むしろ惹かれ合う二人を引き裂くような真似をすることは罪に問われる事は無くとも忌み嫌われる、らしい。
    それは多種多様な人種が集まる夕焼けの草原ならではなのかもしれない。文化も生活様式も違う数多の種族が手を取り合い一つの国を築くには全てを乗り越える「愛」が必要だったのだろう。
    現国王の妻も、元は王族となんの所縁もない市井の娘だったという。まだ皇太子だった頃の国王が視察に出向いた先で一目惚れをし、幾日も娘の元へと愛を囁きに通い詰めてようやく夫婦の契りを交わすことが出来たという話は今でも美談として多くの民に語られている。

    そんなわけでジャミルがレオナと結婚するという話は驚く程すんなりと受け入れられた。身分だとか、性別だとか、熱砂の国であれば間違いなく大きな壁となる筈のものを口に出す人すらおらず、むしろあの気難しい王弟殿下に人を愛する心を教えた偉大な貢献者として諸手を挙げて歓迎されたと言っても過言では無い。ただの使用人でしか無いジャミルの実家の方がなんやかんやと理由をつけては引き留めようとして面倒だったくらいだ。心配性の両親を説き伏せる為、ついでにアジーム家にも禍根を残さぬようにとレオナ自らアジーム家でジャミルへの愛とやらを語り散らかした話は熱砂の国のみならず夕焼けの草原でも国王陛下に続き王弟殿下の愛情深い美談として早くも語られるようになっているらしい。

    そうして気付けばレオナの伴侶となり早数年。
    この国での生活にもだいぶ慣れ、NRC時代には「ジャミルに合わせて」控えていたというレオナの過剰な愛情表現にも慣れ、主に傅く生活から人に傅かれる生活へと変わったのも少しだけ、慣れた。
    NRC卒業後は外交担当として兄王を補佐するようになったレオナに与えられたのは王宮の敷地内にある離宮。かつての王の側室が住んでいたものの、近年では側室を取ることもなくなり誰も使わなくなった立派な建物。側室が住んでいた頃には数多の使用人も暮らしていたのだろう建物は二人暮らしに広すぎるが、此処に住むのであれば、という条件で家の中に使用人や警備等の他人を置かずに済んでいるので贅沢は言えない。
    本来ならばレオナはたくさんの人に傅かれて生活をするのが当たり前なのだろうが、今まで息をするように他人の世話を焼いて生きてきたジャミルには到底耐えられるものではなかった。
    一応、最初の頃は慣れようと努力はしたのだ。何もせずとも三食あたたかな食事が提供され、脱いだ服は勝手に洗濯され、部屋を空けている間に埃一つないほどにぴかぴかに掃除をされる生活。喉が渇いたと言えばすぐに冷えたジュースが用意され、疲れたと漏らせば五分後には按摩師が部屋に呼ばれる。
    それが当たり前だと教えられて育った人間ならば快適なのだろう。カリムとか、レオナとか。
    だがジャミルは尽くされる側ではなく尽くす側の人間だったのだから、突然真逆の生活を強いられてはストレスしか感じなかった。自分で指先一つ動かさずとも誰かがジャミルの世話を焼き規則正しく良質な生活をさせてくれているというのに日に日に顔色を悪くさせてゆく姿にレオナは笑い、そうして交渉の末に今の生活を手に入れてくれた。
    今では季節の変わり目にする大掃除の時にだけ数名の使用人に手伝ってもらう事はあるが、それ以外は一切他人を家に入れず、世話も受けない生活を送っている。食事も洗濯も掃除もすべてジャミルが担っているし、レオナもたまに気が向くと手伝ってくれるようになった。外に出れば誰もが知る有能な外交官である王弟殿下もこの家の中では学生時代から変わらない、ジャミルが恋をしたレオナのままだった。
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    case669

    MEMO黒峰さんの猫じゃみちゃんの絵から書いたカリジャミにゃあ。

    と、ジャミルが鳴いた。
    いつもひんやりとした眉毛をへにゃりと下げて、つり上がった目尻を垂れ下げて、いつもきりりと結ばれた唇をぱかりと大きく開けて、もう一度、にゃあ、と鳴いた。
    「じゃっ……じゃみ、ジャミルが可愛い!!!」
    カリムが思わず頬へと手を伸ばせば、避けるどころか自ら近付いてすりすりと頬擦りされた。更にはそのままカリムの足の上に我が物顔で乗り上がって座り、ちょん、と鼻先が触れあう。思ったよりも重くて足が痛い。けれど、今まで見たことも無いくらいに蕩けきったご満悦な顔をしているジャミルを見てしまっては文句なんて言えようも無かった。
    「……ジャミル?」
    「なあう」
    名前を呼べばふにゃふにゃの笑顔でジャミルが答える。なあに?とでも言ってるような顔でこてりと首が傾き、ぴるぴると頭に生えた猫耳が震えていた。
    ジャミルが可愛い。
    いやいつもの姿だって十分可愛いのだけれど、それはそれとしてジャミルが可愛い。
    感極まって思わず唇を重ねようと近付けるも、ぐいっと二つのぐーにした手で思い切り顔を押し退けられてしまった。
    「ふなぁーあ」
    やーだね、とでも言っている、ような。思わぬ抵抗を受けて 1203

    case669

    MEMOゆめものがたり
    アデレイ…というかオールキャラ
    人が神と決別し、シガイの脅威から逃れてはや幾年。
    インソムニアの六月には珍しい快晴。まるで祝福するかのような空に感謝すると共に、たった一人の妹の晴れの日なのだから当然だろうという思いがレイヴスの胸の中にあった。
    「おかしなところは無いでしょうか……」
    美しく繊細な純白のヴェールを被った妹が落ち着かぬ様子でレイヴスを見上げていた。玉座へと繋がる分厚い扉の向こうからはオルガンの音が響き、式の始まりを告げている。
    「心配するな。お前と血が繋がっていなければこのまま拐ってやりたいと思うくらいに美しい」
    「ふふ、そんなご冗談をおっしゃられるのも珍しいですね」
    ヴェールの向こうで愛らしい顔が綻んだ。妹が幼少の頃より想う相手と結ばれる事が喜ばしいのは事実だが、兄として、たった一人きりの家族として、手離したくないと思ってしまう気持ちも無い訳では無い。
    「……こうして手を引いてやれるのも最後だからな」
    活発な妹の手を引く事はそれほど無かったが、彼女の導となるべく常に前を向いて歩いてきた。だがそれも今日で終わりだ。
    穏やかな笑みを浮かべていた筈の妹の顔がくしゃりと歪み、そうして胸元へと飛び込んで来るのを両 1296