たべさせて?からりとよく晴れた12月、午前十時半、ジムの入り口で待っていたのは冬なのにハーフパンツをはいた男だった。いや、確かに東京の冬にしては今年はずいぶん暖かい。でも、だからって……足を冷やしたくない沢北栄治にしてみれば、うらやましさ半分、夜寒そうが半分。男は立ち止まったエージを見上げて、「サワキタさん?」と尋ねた。
「そーっす、ミヤギさん?」
「ええ、どうも。今日はよろしくお願いします」
自然に出された右手を握る。誰かの手を握ったときにいつだって感じるちっさ……って感じは珍しくなくて、その新鮮さにおおっ?となった。背は小さいけど、手は結構でかい、バスケに向いてるななんてどうでもいいことを考えたせいで微妙に手を握っている時間が長くなっていたのかもしれない。からかうような視線に気づき、慌てて手を離す。
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