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    前世に失望

    メモ帳、ミヒャエル・カイザーに蹴られたい

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    前世に失望

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    死ねたと転生 kiis

    ごめん、死んじゃった愛してるも大好きもひとつも貰ったことがなかった。無理矢理付き合わされているだけだと知ってはいたがそれを突いてしまうとなにもかも終わってしまう気がして、そのまま、よく分からない関係を潔は続けていた。嬉しかったし、楽しかったが、1人になると余計に寂しさや罪悪感に苛まれた。同棲なんてしていないから、行為がデートが終わってしまえば何事もなかったように振る舞う彼を思い出す度に、自分の黒ずんだ感情を自覚する度に、夜な夜な枕を濡らした。

    横を向いたら車がこちらに向かって走ってきた。運転手が誰だったか分からない、覚えていないのが正しいのかもしれない。でも、それでよかった。サッカーが出来なくなるのは残念だけど、アイツから俺のことを忘れさせてやれる。俺と別れさせてあげることが出来て安心したのも事実だ。
    だから、相手がカイザーが本当は何を思っていたのかも知らずに、俺のことをなんとも思っていない。なら、死んだところで、対したことはないと本気で思っていた。

    カイザーがこちらを見つめてる気がしたが、この場所はあまりにも遠く流石に気のせいだと思うことにした。丁度視線にはいるであろう位置にいた人達が、「カイザーがこっち見てる!」「違うわよ、あたしを見てるのよ!」「いいや、俺だ!」と言っているのを聞いてやっぱり他の人だろうなと決めつけた。

    買い物を頼まれて、1人でかけていった。後ろから足音が聞こえる。今回もなぜか

    「見つけた。世一、世一、俺の世一。」
    ドイツ語だと分かってしまったし、内容もすぐに理解できるのは過去のことが原因だろう。気になるが振り返りたくない。帰りたい。でも、相手は大人だ。走って逃げたところですぐに追い付かれる。考えろ、どうしたら逃げられる。駆け足になりながら歩を進めるも、相手からしてみれば子供の走る距離なんてたかが知れている。
    路地裏へと走った。ここは狭いから子供じゃないと進めない。実際に入り込んだ瞬間に相手は動かなくなった。服が摩擦で汚れてしまうのが申し訳ないが、今はそんなことを言ってられないんだ。
    「撒けたか?」
    嫌な予感がする。
    「撒けてませんよ、世一」
    「えっ」
    目の前にはネスが立っていた。
    「なんで、カイザーはちゃんと」
    「甘いですよ。カイザーがそこまで考えてないと思ってましたか?」

    「だって、カイザー、俺のこときらいだろ、」
    「は?」
    嫌々と答えたのに返ってきたのは怒りだった。ネスは呆れていたが、
    「世一、誰がそんなこと言った。チームメイトか?それともお前の友人か?ファンか?一体誰だ?お前にそんな嘘を教えたのは。」
    「へっ……っ!!カイザー。い、たいっ!やめろ、やめろってば!!おいネス!このバカを早く止めろ」
    子供相手にガチで肩を掴む、力が入りすぎていてとても痛い。見えてはないがきっと痣になっている。
    「カイザー!やりすぎです。」
    と片手に持っていたペットボトルをカイザーに向かって叩いた。こいつこんなことも出来るようになったのかと時間の流れを感じた。スァパーンと良い音がなる。クリティカルヒットしたらしく手の力が緩んだ隙を見て距離を取った。肩がヒリヒリする。
    「世一、大丈夫ですか?いや、大丈夫じゃないですね。」
    「あぁ、なんでキレられてんのおれ。」
    「それは………世一のことを愛しているからです。」
    「嘘だろ?あっ、俺が死んだからそう思ったの?」
    「んな、訳あるか!カイザーは最初から、世一が生きていた頃から好きでしたよ」
    いやになるぐらいにねとネスがため息を言うのだから本当なんだろう。とても信じられないが
    「でも、俺好きだとか言われたことないけど」
    「ドイツには告白文化はありませんからね。」
    「そんなに酷かったんです?あのカイザーが?」

    「世一、このあと時間はありますね?」
    「あるけど、嫌だって言ったら?」
    「そんなものありませんよ。貴方にはハイしかありません。第一逃げられないでしょ?」
    カイザーから、と意味不明なことを言われてそうえばカイザーはどうしたんだと思い出した。後ろから人の気配がすると同時に腕で抱き締められた。
    「世一、世一、ごめんな。俺がちゃんとつたえられていたら良かったんだな。愛してる、どんな姿でも愛してる。」
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