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    棚ca

    @CRtanaaaca

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    棚ca

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    爆発オチです

    180cmの月島「月島!」
    「はい」
    「は? お前デカくないか?」
     鶴見は駆け寄ってきた月島をマジマジと眺める。月島はキョトンとした顔で鶴見を見つめ返した。目線の高さは同じだ。
    「は……何か御用でしたでしょうか?」
    「屈め」
    「はい?」
     鶴見は再度「屈め」の三文字を、今度は一文字ずつハッキリと発音する。月島は困惑したまま膝を折って腰を低くした。ちょうど銃剣を構えている時のような体勢だ。そのまま鶴見を見上げるとその表情は満足気だった。
    「よし、基本姿勢はこれでいくぞ」
    「太腿が破裂してしまいます、鶴見中尉殿」
    「お前、腰までの高さがある草が生えている所のみを歩けよ。膝を深く曲げているのが見えないように」
    「何を仰ってるのです? 私は……」
     呆れた様子で月島が真っ直ぐな姿勢に戻ろうとすると鶴見が「ワー!」と声を上げるので月島は慌ててまた腰を落とした。
    「待て、埒があかん。私はひとまずこの台の上に乗るから楽にしていいぞ」
    「ありがとうございます」
     月島を見下ろし、鶴見は眉を寄せて首を振る。
    「これでは、どちらにせよ足元をボカす細工が必要だ……なんと由々しき事態よ……」
    「そうでしょうか」
     月島は訳が分からぬまま上官を見つめた。合点がいかぬ月島の様子に、鶴見はさらに渋い顔をする。
    「私が竹馬で進軍していたらどう思う?」
    「ご機嫌な戦場のように思います」
    「じゃあお前が穴に半分埋まっていたら?」
    「逆に背後の私が穴に半分埋まっていたら貴方はどう思います?」
    「それでも『進めェー!』とか言うだろうよ」
    「そこからどうやって進むんですか私は」
     鶴見は月島が埋まったまま移動し、その跡の地面の土が盛り上がっている様子を想像して一人で笑い、「笑ってる場合じゃないんだよ」と表情を引き締めた。
    「貴方が勝手に笑ったんです」と月島は言ってはみたが、鶴見は大真面目な様子で何やら思考している。
    「もしや私が縮んだか? おい、谷垣一等卒の背丈を言ってみろ」
    「は、鶴見中尉殿より僅かに大きいくらいです」
    「“僅か”にィ? 皆が私に寄ってるのか?」
     増々眉を深く寄せる鶴見に月島はそっと近寄り下から顔を覗き込んだ。
    「……先程から身長差を気にされているようですが、そんなもの、本当に大事ですか?」月島はさらに一歩鶴見に近寄って台の上に立つ上官を真摯に見つめる。「私が私たらしめるもの……そんなの、何なのか分からないじゃないですか。でも、それでも、貴方を敬愛する私である限り、やはり私は貴方の右腕の月島です。違いますか?」
    「違う」
    「即答……」
     唖然とする月島が、もう面倒なので半腰のまま残りの生涯を過ごそうかとまで思った時、彼を呼ぶ声がした。
    「月島ァ!」
    「はい」
    「は? お前デカくないか?」目を見張る鯉登に鶴見は真顔で「いやお前こそデカくないか?」と訊ねる。窓から部屋を覗き込んできた鯉登を鶴見は月島と共に見上げていた。月島は怪訝な顔で鶴見に言う。
    「私と鯉登少尉殿の身長差は元よりこのくらいですが……」
    「ここ、ニ階だぞ?」
    「はい」
    「はいじゃないが」
    「そうだぞ、月島ァ! 貴様なんでそんなに伸びてるんだ!!」
    「いや、もうお前にはツッコまないからな」
    「キエ…………月島ァ!!」
    「どうにかしろ、月島」
     上官二人に睨まれて、月島はほんの少しだけ小さくなった。しかし、それは充分ではなかったようだ。
    「まさか身長が高くなるだけでここまで言われるとは思いもしませんでした……」
    「言われるに決まってるだろう!!」
    「月島!!」

     自分の名を呼ぶ叫び声が鼓膜に響く。それが耳元の現実から発せられていることに気付いた月島は跳ね起きた。声の主の鯉登が訝しげな顔で居眠りをしていた部下を見下ろしている。当然その姿は、兵舎の室内に収まっていた。
    「……どうした、変な顔して」
     月島は自分が六尺近くになる夢を見た、と言いかけたが、きっと揶揄われると思って言わなかった。

    「は? デカくないかお前」

     突如聞こえた声に思わず振り向くと、廊下からであった。騒音の後、立て続けに悲鳴と雄叫びが聞こえる。
    「六尺超えの二階堂が爆竹を持って暴走している!!」
    「危ない!! 伏せろ!!」
     そうして、爆風に巻き込まれ何もかもが分からなくなったのであった。
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