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    棚ca

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    #鶴月
    craneMoon

    鶴月SS月並みな関係

     鶴見中尉殿ですか? 私の所属する聯隊の中尉です……ええ、だから、私の上官です……それが事実でそれ以上のことはありません。何を聞きたいのですか? 仰られていることが分かりません。はぁ、下士官が将校を尊敬し、忠義を尽くすのは、おかしなことではないでしょう。……おかしいって、何がです。真っ当に任務を遂行している事に、難癖をつけられるいわれはありません。……そうですね、私の望みは鶴見中尉殿の筋書き通りに物事が進むことです。一度国にくれてやった命を、より有効活用することにしただけですよ。私情? それは、全くないなんてことはありませんよ。私だって人間ですから。あれだけ付き従っていれば……まぁ、そうですね。百名余りの彼の部下の中で、確かに私は彼に近い人間のうちの一人です。ですから、あまり変な質問ばかりされるのであれば、私は鶴見中尉殿に報告しなければなりません。ええ、失礼を承知で申し上げますが、変です。何です、さっきから〝鶴見中尉が好きなのか〟って……。

    ---


    「嘘でも、好きだと言ってしまえばあんなにしつこく絡まれなかったのでしょうね」
    「……嘘?」

     心外だと言わんばかりに瞬きをする鶴見に月島は静かな一瞥をやってから、すぐに目を逸らした。

    「好きとか、一言で済ませることのできるものではないでしょう」

     手元の布団のシワを伸ばしている指を鶴見は絡め取った。ご機嫌斜めな部下の手に唇を落とした鶴見はあえて拗ねた声音を滲ませてみせる。

    「それでも俺は〝好きじゃない〟と言われるよりは、〝好き〟と言われたいけど……」
    「好きじゃないなんて言ってませんよ」

     変わらず淡々とした口調で月島は言い、そして真っ黒な瞳で鶴見を見据えた。

    「私は全て行動で示しているつもりです」

     鶴見はフフと笑いながらゆっくりと「全くその通りだ。本当に、疑う余地なく」と頷いた。鶴見が僅かな手振りだけで側にくるように命じれば、月島はしなりと腕を伸ばして軽く握った拳を鶴見の膝元に置き、距離を詰める。低い鼻に鶴見のを当てると二つの唇の距離は極めて近くなる。鶴見は月島の逞しい首筋に指を這わせて、低く囁いた。

    「ああ、そうとも……私のお前に対する疑いの余地なら、とうに私自身が奪った」

     スルスルと下腹に落りてくる手を月島は服の中へと誘い、傷を直接触らせた。暗く冷たい炎が二人の瞳に灯っている。

    「言葉遊びなんて馬鹿馬鹿しい」唇だけを動かして月島は言う「私と貴方の間の事実を掻き混ぜても、ジャリジャリと血錆びた金属音がするだけでしょう」
    「言うわりにお前はそうやって情緒ある物言いをする」
    「そうですか、きっとそれも貴方仕込みです。あれもそれも……」

     重たい息を吐き、さぁ、と月島は鶴見の手に擦り寄る。

    「私の全てを余すことなく活用してください」

     腰を上げた月島が後ろに手を回す。ぐち、と粘着質な音がし、鶴見の指先で傷がトクリと震えたようだった。
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