ドンヒス『狸寝入り』 そろそろ寝ようかとベッドに顔を向けたタイミングで、激しくドアをノックする音がヒースクリフの眠気を吹き飛ばした。
今にも壊してきそうな勢いでドンドンドンと叩き続ける癖に心当たりがあった彼はうんざりといった表情で荒っぽく髪を掻き毟る。
大音量の雷音が鳴り響いているはずの空間に負け劣らない激しいノック音をいつまでも放置するわけにはいかず、肩を怒らせながら乱暴にドアを開けた。
そこにはパジャマを着たドンキホーテが馬を模した抱き枕を脇に抱えながら目を輝かせていた。よく見ると鼻は真っ赤で、時々鼻をすする音が聞こえる。
「ドンドンドンうるせぇな!いつまで叩く気か」
「おお!ヒースクリフ氏!よくぞ、私の呼びかけに応えてくれた」
3856