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    Tatsukichi

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    Tatsukichi

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    いつか小説としてちゃんと書きたいけどとりあえず忘れないうちに落書きしときたいその①

    三木クラ+ノスで三木さん永眠後のお話。
    このクラとノスは親子愛です。

    塵になった愛しい子これは三木クラの話なんだけど、もし三木さんが転化を望まずに老いて死ぬ未来を選んだとして、それにずっと付き添うクラさんはいると思う。若い姿のままでもいいし、同じように外見だけ老けさせていくのでもいい。
    三木クラ吉おじ三人で晩年まで過ごした後、病気なりなんなりで三木さんの終わりが近づいた時も、クラさんはずっと傍にいる。
    その姿を見て、ドラルクを始めとした竜の一族は「あの子はもしかしたらあの人間と一緒に命を終えるつもりでは?」て囁かれてて、ノースディンに「いいのか?」て聞くんだけど、ノースディンは「あれがそれを望むなら」て返すし、実際彼もクラさんは三木さんが死ぬ時一緒に逝くつもりなんだろうって覚悟してた。
    そしてついにその時が来る。三木叶が死んだ。
    そこからは流れるような早さで親族とクラさんによって滞りなく葬儀も行われて、なんだかんだ言いつつも子を心配して顔を出したノースが見たのは、誰もいなくなった葬儀場で静かに棺桶を眺める息子の姿。
    そのまま声をかけずに式場を後にして数日後、日の高い時間にノースのスマホにクラさんから着信が。
    電話にでてどうしたのか聞くと、お前に言わなくてはならないことがあるとの返事。あぁ、ついにこの時が来てしまったのかと思っていると、クラさんから「今まで有難う。お陰で素晴らしい時間が過ごせた」と言われ、まさかすぐ追うつもりか?!て焦って「待ってろ、今そっちに行くから」て言うんだけどクラさんからは「すまない、もう行かなくては。本当に感謝している」て言って電話が切れる。
    そこから何度電話しても繋がらなくて、マンションに行っても職場に行っても姿がない。町中探しても影も形もなく、彼の知り合いのところに行っても誰も見ていないという。
    嘘だろまさかこれが最期なのか?もうお前は行ってしまうのかクラージィ!て絶望してそこから屋敷の中も外も周辺一体猛吹雪に。
    異変を察知して来てくれたドラウスと会話もできないくらいに落ち込んで、ようやく話せたのは彼が来てくれてから2日後。その翌日の夜には事情を知ったドラルクも屋敷に来てくれた。ドラルクにとっては一族の末っ子で目覚めてすぐに自分が世話してあげたのもあって、彼の兄的な気持ちもあったのでショックだったし、なんで誰も止めなかったんだ!て本人や周りや自分に怒りや悲しみも感じていた。
    そのままノースの家にドラドラ親子が泊まって、何をするでもなく寄り添うように過ごすこと一週間後の夜、屋敷の扉を誰かが叩いた。
    無視しようと思ったがあまりにも叩くのをやめないので、この猛吹雪にどんな馬鹿だって思いながらドラウスが玄関まで行ってすぐに悲鳴を上げて部屋に駆け込んでくる。
    「ノノノノース!親友!!!もじゃっ、いた、いま!!」
    何が言いたいのかわからない師弟が首を傾げると、部屋の入口からクラージィがひょこりと顔を出した。
    「ノース、外が凄いことになってるぞ。今度はなにがあったんだ?」
    「「?!!」」
    いきなり現れた死んだはずの人物、しかもシンヨコで目覚めたばかりの頃の姿に戻った相手に、師弟は色々追いつかず百面相しているが、クラさんはマイペースにドラウスに挨拶している。
    「ドラウス様、お久しぶりです」
    「あ、うん久しぶりー。じゃなくて!もじゃくん、君どうしてここに?!」
    「あー…その、色々片付いたので、里帰り?帰省?ノースの顔を見に」
    「クラージィッ!!!」
    「うわ、急に大きな声を出してどうしたんだ!」
    「おま、お前、いるな?!ちゃんとここにいるんだな!?」
    そう言って強く抱き締めながら自分の顔をぺたぺた触る父に首を傾げつつ、目が合ったドラルクに「これは一体…」て言ったことでそこで初めて自分が周りからどう思われていたか、たった今まで自分が死んだことになっていたことなどを知りようやく状況を理解する。
    「私が塵に…それは、ご心配おかけして申し訳ない」
    「いやいやいや!そもそも私達も事前に聞いたりしてればよかったのになんかごめんね!!」
    「いやこちらこそちゃんと言っていれば…」
    「まぁまぁ生きていればそれで結構じゃないですか!そうとわかれば早々に他の一族にももじゃさんが健在だと連絡しなくては!あ、その前に寒かったでしょう今お茶入れますからそこ座ってて下さい!ヒゲヒゲそろそろ一度離れなさいもじゃさん動けないでしょ!!」
    「ドラルク私も手伝うよ。すまないが暫くノースの好きにさせてあげてくれるかい?引き摺ったりしても大丈夫だから」
    親子がキッチンに行くのを見届けた後、抱きついたままのノースと共に立ち尽くすクラさん。がっしり抱きしめられたまま動けないでいると体が勝手に浮き上がって長椅子に移動する。そのままノースの膝に座らされる(この間ずっと抱きしめられたまま)
    黙ったままのノースにさてどうしたものかと思っていると、クラさんの肩に顔を押しつけたままのノースに「…よかったのか?」て小声で言われて、それが三木を追って塵にならなくてよかったのかって意味だと察したクラさんは、少しだけ寂しそうに「あぁ」て返す。
    「その件については三木サンと吉田サン三人でちゃんと話し合いを済ませてある。二人は追われるのを望まなかったし、逆の立場でも私も望まないだろう。だがそうだな、考えなかったと言えば嘘になる」
    その言葉に、ピクリと反応だけ示すノース。
    「だが、その度にお前の顔がチラついた」
    「…私の?」
    「もし私が三木サンや吉田サンを追ったら、お前はきっと悲しむだろう。泣いてしまうかもしれない。それを想像したら喉が詰まるような気持ちになって、二人に伝えたらそれが未練だと言われた」
    その言葉にバッ!とノースが顔を上げてクラさんをガン見した。こいつ今私を未練と言ったのか?て色々びっくりするんだけど、そんなこと気づかずクラさんは「未練とは諦めきれないことや断ち切れない思いを言うらしい」て急に言葉の意味説明しながら話を続ける。
    「前の私はいつ死んでもいいよう全力で生きていた。眠りから覚めた後もそのつもりでいたのだが…ノースディン、お前はやはり凄いな。こんな私が誰かに未練を抱くなど、想像もしてなかった」
    そこで言葉を切ると、クラさんは改めてノースと視線を合わせ、安心させるように微笑む。
    「だからノース、私は決して自ら塵にはならない。大切な父を遺して逝ったりしないと誓グァッ!!」
    最後まで言い切る前に堪らずクラさんを強く抱きしめるノース。もう無意識にギチギチと抱きしめる。そのまま長椅子に押しつぶすように二人で倒れ込むけど、クラさんは心配させたのがわかってお父さんの震えが収まるまでされるがままになるし、時折聞こえる嗚咽も聞こえないふりしてくれる。
    それを廊下から全部聞いてたドラドラ親子は一件落着に安心したし、ノースとクラさんの親子愛にドラウスは号泣した。


    「ちなみに三木サン吉田サンに話したら二人にも泣いて喜ばれてな、自分達がいなくなっても辛くなったり寂しくなったらちゃんと家族に頼るように約束させられてしまった」
    「(よくやった人間ども!!クラージィの数十年をほぼ独占されたのは腹立たしいが、お前らいい仕事をするじゃないか!)」
    「絶対転生してまた会いに来るから、それまでは親子水入らず楽しんでください。とも言ってくれた」
    「転生…」
    「ふふ、面白いだろ。転生なんて言い出した時は笑ってしまったが、もしそんな奇跡があったら神に感謝しないとな」
    「(言いたくねぇぇぇ!クラージィに転生は稀にあること言いたくない!こいつ幸運値バカ高いから絶対その奇跡起こるだろーが!!)」

    一段落着いて紅茶とお茶菓子用意して4人でティータイムが始まると、そういえばどうして電話のあとシンヨコから消えたのかって話になる。
    「実は、葬儀が終わってコダマくん、あ、三木サンの甥だ。彼と遺品整理をしていたんだが、その時地方にある一軒家の土地と家の権利書が出てきて」
    「は?」
    「三木サンと吉田サンと私の共同名義になっていて、そういえば三人で旅行に地方に行った時に、商店街のくじ引きで特賞を当てたことを思い出した」
    「(当てたの絶対もじゃさんだ)」
    「それでこれはまずいと言う話になって慌てて現地に向かい、しかしそこでも色々あって、結局私達では手に負えなかったのでミラ様に相談した。そうしたら税理士サンを連れてすぐに来てくれ、色々な手続きを全部やって頂いたんだ。本当にお世話になったので今度改めてお礼をしに行かせてください」
    「待って待って待ってミラさん!?え、私何も聞いてないよぉぉぉ!?」
    突然のミラさんの名前にドラウスが騒ぐ。クラさんが塵になったのは一族でニュースになってたから、生きてたの知ってたならなんで夫の自分に連絡がなかったのかってスマホ片手に半泣き。そんな彼を気にすることも無く、ノースとドラルクの視線はスマホへと注がれる。
    そこでクラさんが言いにくそうにドラウスに声をかけた。
    「あの、ミラ様から伝言があるのですが」
    「え?」
    「いい加減充電を覚えてくれと、仰っていました」
    四人の視線はドラウスの手の中で真っ暗な画面のままのスマホに注がれた。

    ヌン!(完)
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