「私」と双剣双剣が宙を舞う。
音もなく着地した小さな影が森の中を駆け抜け、魔物の群れに飛び込む。
青白い光が一筋閃いた、
と思った次の瞬間、魔物たちは両断されていた。
それは、剣技というより剣舞と呼ぶにふさわしい、軽やかな動きだったけれど、
手にした双剣以外には、何もかも───自分の感情さえ、捨ててしまっているように見えて。
だから、気づいてしまった。
ああ、この子はきっと、ずっと一人で戦ってきたんだろう、と。
***
拠点へ帰り、寝床に入ったあとも、その少女のことが頭から離れず、なかなか寝付けなかった。彼女の戦い方は、明らかに常人のそれではない。熟練の冒険者でも、あれほど双剣を扱える人はわずかだろう。けれどもそれは、一人で戦うことを前提としているもののように見えた。協調性がないというわけでもなさそうだったが、仲間の動きを確認するよりも先に、敵の方へと体が動いている、といった風であった。そういう戦い方には、何よりも自分自身の過去に覚えがあった。
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