バイのトミーが色んな人に惚れてる話慰めて欲しかっただけ
「…お前、何でここにいんだよ。」
深夜のエルドラド。なんとはなしに眠れずに劇場内をうろついていた俺は、勝手に酒を持ち込んで飲んでいる不審者と出くわした。
「おお、山井じゃん。もう寝たかと思ってたよ。」
男は悪びれた様子もなく、酒を舐め続けている。
「質問に答えろ、トミザワぁ。」
コイツはもう俺の組とは無関係だ。我が物顔でアジトに上がり込まれちゃメンツに関わる。
「なんか、ちょっと荒れちゃってさあ。一人で飲みたくて。ここが懐かしくなったから、来ちゃった。」
まったく答えになっていない。こんな奴を入れたうちのセキュリティにも大概問題がありそうだ。
「言ったっけ?俺、離婚してんだけど。」
勝手に喋り始めた。
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