恭颯と茉莉もう何度目か分からないループ。
移動直後のこの感覚は何度やっても慣れない。
あぁ、コントロール出来たと思えばコレだ。
深呼吸して目を開く。まずは現況確認。私の能力は無意識だから何が起こるか、誰を巻き込むか分からない。
「………最悪。」
筑紫本家の廊下を早足で歩く。
向かうのは奥の部屋。筑紫薊と筑紫紫苑という双子がいるという部屋に向かって、私は苛立ちを隠しもせず進む。
「失礼するわよ。」
部屋主の許可も待たず、ドアを開け放つ。
中にいたのは双子の姉妹。片方はビクッと肩を震わせ隅に隠れ、もう片方は紫の髪を揺らしながら笑った。
「遅かったッスねぇ。茉莉さん」
「恭颯…。なんであんた女になってんのよ。そもそも……」
「いやぁ!こっちが聞きたいッスよ。目が覚めたら女で、しかも筑紫ッスよ?急に人生ハードモードッス。」
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