最近暁人の様子がおかしい。
オレは恋人を束縛するタイプではない。正直、金も貰えないのに相手の同行を逐一把握したり探るのは面倒だ。それに同棲している恋人とはいえ、ふた回り近く年の違う相手である。音楽を聞く手段や呑みのシメまでジェネレーションギャップがつきまとうので「今時はそんなもんか」で流すのがお互いにとってベターな方法だ。経験則として。
しかしながら最近の暁人は目に余る。
オレに冷たくなったわけではない。相変わらず生意気に言い返してくることはあるがじゃれあいの一環でしかなく、四十過ぎの元妻子持ちの謎の職業のおっさんに毎日洗濯した服と栄養とコスパと好みを気にした飯と不快感のない住処を用意してくれる。金しか出せないオレに十分返してもらってるよと身の護り方や戦い方を教えていることや日々の感謝や褒める等のスキンシップ、それから夜の営みについて喜びを伝えてくる。そうだ、今度こそ全力で愛情を伝えると決めたのだ。
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