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    村人A

    @villager_fenval

    只今、ディスガイア4の執事閣下にどハマり中。
    小説やら色々流します。

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    村人A

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    初のアルマオ小説。
    『キスしないと出られない部屋』にふたりを入れてみました。イチャイチャが書けない。

    #ディスガイア3
    disgaea3
    #アルマオ

    くちびるから伝わる想いは「………ん…?」

    意識が浮上し、目を開ける。
    視界に真っ白な天井が見えて、アルマースは困惑した。

    「白い、天井…?ここ、どこ?えっと、ボクは何をして……」

    起き上がると、どうやら寝ていたのはベッドらしい。かなり上質なものと見える。
    サラサラとした感触を楽しむように、サラリと一撫で。すると。

    「──え、ええ!?マオ!?」

    横にはマオが横たわっていた。
    寝ているらしく、眉間に皺が寄っている。

    「うわ、難しい顔して寝てる…って、なんでボクとマオが一緒のベッドで?…ダメだ、思い出せないや」

    痛む頭を押さえ、首を軽く横に振った後、アルマースはゆっくりとベッドから降りた。
    あるのはベッドのみで、壁や天井、ベッドに至るまで全てが真っ白で揃えられたその部屋は、気持ち悪い程に殺風景だ。

    (…とりあえず部屋から出なきゃ)

    そう思ってドアノブに手をかける。だが、捻ってもガチャッと音がして回らない。

    「ええっ!?なんで開かないの!?」
    「うぅ…ん…うるさい目覚まし時計め…鳴らないように改造してやろうか…」
    「いやもうそれ目覚まし時計の責務を果たしてないから!って、そうじゃなくて!マオ!大変だよ!起きて!」
    「………?なんでお前が我の部屋に居る?」
    「違うよ、ボクも今目が覚めて、どうやら同じ部屋に入れられたみたいだよ」

    目が覚めたマオは、不機嫌そうな顔で身体を起こす。
    少しフラついていて、気が抜けているらしい。
    ベッドから、気怠い動作で降りて部屋を見回す。

    「ボクもよく覚えてなくて…しかも鍵がかかってるんだ」
    「しかし、なんだ…この気持ち悪い部屋は…」
    「魔王城にこんな部屋あったんだ?」
    「我は知らんぞ、こんな部屋」
    「マオでも知らないなんて…」

    その時、ドアの上を見たマオが怪訝そうな顔をした。
    マオの表情を見たアルマースは、同じ場所を見た。
    そこに書いてあったのは。

    『キスしないと出られない部屋』

    「はぁぁぁぁぁぁ!!!?」
    「えぇぇぇぇぇぇ!!!?」
    「ふ、ふざけるなッ!今すぐ出せッ!!」

    眠気を催していたマオが覚醒して、ドアを叩いてノブを回して開けようとするが、ドアはビクともしない。

    「な、なにこれ…!?一体何がどうなってこうなったの…!?」
    「だが待て…?これは、“キスをすると扉が勝手に開く仕掛けの部屋”ということか…?一体どういう原理で…?…ハア、ハア…面白いではないか…」
    「どこで興奮スイッチ入ったの!?そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!このままじゃ、ボクたちこの部屋から出られないよ?」
    「簡単な話だろう。お前、床と壁どっちがいい?」
    「確実に違うよ!?ボクとマオがってことだよ!!」

    アルマースからそう告げられ、マオはあまりのことに止まっていた頭をやっと働かせる。が。

    「なっ、なななな何を言ってやがる!?お断りに決まっているだろうが!!」
    「でも出られないんだってば!…ああ、もう!マオはじっとしていてくれたらいいから…!」
    「よ、寄るな!」
    「ちょ、危な──」

    後ろに下がろうとした時にベッドに引っかかり、ベッドへ倒れ込んだマオを支えようと手を伸ばしたアルマースが、共にベッドへ倒れ──結果、押し倒したような構図になる。

    「……これって、どこでもいいのかな」
    「お、おい、本気でやる気なのか…」
    「こうしないと出られないなら、仕方ないでしょ。…いいから、じっとしててよ」

    顔の横にあった手を、マオの手に重ねて、動かないように握る。
    元々力の弱いマオにはそれ以上の抵抗も出来ず、顔を真っ赤に染めたまま、固く目を閉じた。

    (…その顔は、ダメでしょ)

    居た堪れない気持ちと罪悪感で、アルマースは頬に口付けを落とした。
    ちゅ、と小さな音の後に唇が離れ、ふたりとも顔を赤く染めたままに沈黙が流れた。
    黙ったまま、ゆっくりと離れ、ドアの方を見た時に扉の上にまた文字があった。

    『“唇に”キスしないと出られない部屋』

    「な、な…っ!」
    「あ、あそこまでやったのにか…!」

    今流れた、小っ恥ずかしくて甘い空気をもう一度味わうのか、とふたりが黙る。だが。

    「ふざけるな、もういいだろうが!!早く出せと言っている!!我は暇ではないのだぞ!!!」
    「ちょ、落ち着いてよ、マオ!」

    マオが大声で喚きながら怒り始め、ドアを殴り始めた。
    それを、アルマースが片方の肩を掴んで止めようとすると、思い切り弾かれる。

    「やかましいッ!お前こそ、あんな空気にしておいて、頬とはなんだ!?そういう所だぞ、このヘタレが!!」
    「えっ…」
    「……ッ!いいから、早く出せッ!!!」

    妙な表情を見せた後、マオは再び扉を叩く。
    その横顔は真っ赤で、先程とは違う気がする。

    「──マオ」
    「だから、お前に構ってる暇は──うゎっ!?」

    アルマースはマオを担ぎ上げ、素早くベッドに倒すと、腹の上に乗った後にどこか違う目付きで、マフラーを素早く外し、マオを見下ろした。

    「今の、“そういうこと”って答えでいいの?」
    「は、何を言って──ちょ、待て!!」

    顔は赤いが、アルマースは迷うことなく、マフラーでマオの両手を縛って纏める。

    「していいんだよね?ここに」
    「ちょ、調子に乗るなよ!ふざけるな、降りろ!」
    「……うん。部屋が開いたら、ね」

    ヘタレだ弱虫だと言われても、剣の稽古や近衛兵として戦ってきた彼の手は、戦ってきた者らしく少しカサついている。
    その指が、不健康と乾燥故にカサついているマオの唇をなぞる。
    その動きが、抵抗の意を削ぐ。
    見下ろされる、いつもと違う目に射抜かれるのは、少し心地が悪い。

    (な、なんだ…この感情はなんなのだ…!?)
    「…嫌なら、目、閉じてていいから」

    顔が近付いて来て、頬に手が添えられる。
    どんどん大きくなっていく目から、目を逸らすことなど出来はしない。

    「ア、アルマー……っん」

    唇がくっ付いて、マオは反射的に目を閉じた。
    少し名残惜しそうに、ゆっくりと離れる。

    「…マオ。それは、反則」
    「は……?」
    「…なんでもない。ドア、流石に開いたでしょ」

    起き上がると、マフラーを解いてから、再び自分の首へと巻く。

    「乱暴な真似して、ゴメンね。でもキツくは縛ってないから、ケガも跡もないはずだよ」
    「………」

    音を立てる心臓の意味など知らないマオは、自分の胸の辺りを抑え、立ち上がる気配がない。

    「…マオ?」

    心配したアルマースが、マオの顔を軽く覗き込むと、近かったことにマオが驚く。

    「よっ、寄るなと言っておるだろうが!!」
    「痛ぁ!!?」

    殴るとそそくさとベッドから降りて、ドアを勢いよく開ける。
    振り向いて何かを言おうとはしたが、何も言わずにそのまま走って行ってしまった。
    ひとり残されたアルマースは、ベッドに座り込んだ。

    「〜〜っ、やっちゃったかな…でもなぁ…そう、あの時に…」

    先程、マフラーで手を縛った時に、不安そうな顔で見てきたあの時に。

    「──“かわいいな”って、思っちゃっ……え?な、え!?ボ、ボクはなにを!?」

    思わず口走った言葉に、ひとりで顔を赤らめて大声を出す。

    「………はぁ、ダメだ。とりあえず帰ろう」

    部屋を出て、アルマースは自室へと少しだけ覚束無い足取りで向かう。


    ──その日、しばらくの間、勇者へ理事長への接近禁止命令が出されることになったのは─

    また、別の話。
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    last_of_QED

    Deep Desire【悪魔に愛はあるのか】の後日談として書きました。当社比アダルティーかもしれません。煩悩まみれの内容で上げるかどうか悩むレベルの書き散らしですが、今なら除夜の鐘の音に搔き消えるかなと駆け込みで年末に上げました。お許しください…【後日談】


    「やめ……フェンリッヒ……!」

    閣下との「戯れ」はようやくキスからもう一歩踏み込んだ。

    「腰が揺れていますよ、閣下」
    「そんなことな……いっ」
    胸の頂きを優しく爪で弾いてやると、我慢するような悩ましげな吐息でシーツが握りしめられる。与えられる快感から逃れようと身を捩る姿はいじらしく、つい加虐心が湧き上がってしまう。

    主人と従者。ただそれだけであったはずの俺たちが、少しずつほつれ、結ばれる先を探して今、ベッドの上にいる。地獄に蜘蛛の糸が垂れる、そんな奇跡は起こり得るのだ。
    俺がどれだけこの時を待ち望んでいたことか。恐れながら、閣下、目の前に垂れたこの細糸、掴ませていただきます。

    「閣下は服の上から、がお好きですよね。着ている方がいけない感じがしますか?それとも擦れ方が良いのでしょうか」
    衣服の上から触れると肌と衣服の摩擦が響くらしい。これまで幾度か軽く触れ合ってきたが素肌に直接、よりも着衣のまま身体に触れる方が反応が良い。胸の杭だけはじかに指でなぞって触れて、恍惚に浸る。

    いつも気丈に振る舞うこの人が夜の帳に腰を揺らして快感を逃がそうとしている。その姿はあまりに 2129

    last_of_QED

    DONEディスガイア4で悪魔一行が祈りに対して抵抗感を露わにしたのが好きでした。そんな彼らがもし次に祈るとしたら?を煮詰めた書き散らしです。【地獄の祈り子たち】



    人間界には祈る習慣があるという。どうしようもない時、どうすれば良いか分からぬ時。人は祈り、神に助けを乞うそうだ。実に愚かしいことだと思う。頭を垂れれば、手を伸ばせば、きっと苦しみから助け出してくれる、そんな甘い考えが人間共にはお似合いだ。
    此処は、魔界。魔神や邪神はいても救いの手を差し伸べる神はいない。そもそも祈る等という行為が悪魔には馴染まない。この暗く澱んだ場所で信じられるのは自分自身だけだと、長らくそう思ってきた。

    「お前には祈りと願いの違いが分かるか?」

    魔界全土でも最も過酷な環境を指す場所、地獄──罪を犯した人間たちがプリニーとして生まれ変わり、その罪を濯ぐために堕とされる地の底。魔の者すら好んで近付くことはないこのどん底で、吸血鬼は気まぐれに問うた。

    「お言葉ですが、閣下、突然いかがされましたか」

    また始まってしまった。そう思った。かすかに胃痛の予感がし、憂う。
    我が主人、ヴァルバトーゼ閣下は悪魔らしからぬ発言で事あるごとに俺を驚かせてきた。思えば、信頼、絆、仲間……悪魔の常識を逸した言葉の数々をこの人は進んで発してきたものだ。 5897

    last_of_QED

    MOURNING世の中に執事閣下 フェンヴァル ディスガイアの二次創作が増えて欲しい。できればえっちなやつが増えて欲しい。よろしくお願いします。【それは躾か嗜みか】



    この飢えはなんだ、渇きはなんだ。
    どんな魔神を倒しても、どんな報酬を手にしても、何かが足りない。長らくそんな風に感じてきた。
    傭兵として魔界全土を彷徨ったのは、この途方も無い飢餓感を埋めてくれる何かを無意識に捜し求めていたためかもしれないと、今となっては思う。

    そんな記憶の残滓を振り払って、柔い肉に歯を立てる。食い千切って胃に収めることはなくとも、不思議と腹が膨れて行く。飲み込んだ訳でもないのに、聞こえる水音がこの喉を潤して行く。

    あの頃とは違う、確かに満たされて行く感覚にこれは現実だろうかと重い瞼を上げる。そこには俺に組み敷かれるあられもない姿の主人がいて、何処か安堵する。ああ、これは夢泡沫ではなかったと、その存在を確かめるように重ねた手を強く結んだ。

    「も……駄目だフェンリッヒ、おかしく、なる……」
    「ええ、おかしくなってください、閣下」

    甘く囁く低音に、ビクンと跳ねて主人は精を吐き出した。肩で息をするその人の唇は乾いている。乾きを舌で舐めてやり、そのまま噛み付くように唇を重ねた。
    吐精したばかりの下半身に再び指を這わせると、ただそれだけで熱っぽ 4007

    last_of_QED

    DONER18 執事閣下🐺🦇「うっかり相手の名前を間違えてお仕置きプレイされる主従ください🐺🦇」という有難いご命令に恐れ多くもお応えしました。謹んでお詫び申し上げます。後日談はこちら→ https://poipiku.com/1651141/5571351.html
    呼んで、俺の名を【呼んで、俺の名を】



     抱き抱えた主人を起こさぬよう、寝床の棺へとそっと降ろしてやる。その身はやはり成人男性としては異常に軽く、精神的にこたえるものがある。
     深夜の地獄はしんと暗く、冷たい。人間共の思い描く地獄そのものを思わせるほど熱気に溢れ、皮膚が爛れてしまうような日中の灼熱とは打って変わって、夜は凍えるような寒さが襲う。悪魔であれ、地獄の夜は心細い。此処は一人寝には寒過ぎる。

     棺桶の中で寝息を立てるのは、我が主ヴァルバトーゼ様。俺が仕えるのは唯一、このお方だけ。それを心に決めた美しい満月の夜からつゆも変わらず、いつ何時も付き従った。
     あれから、早四百年が経とうとしている。その間、語り切れぬほどの出来事が俺たちには降り注いだが、こうして何とか魔界の片隅で生きながらえている。生きてさえいれば、幾らでも挽回の余地はある。俺と主は、その時を既に見据えていた。堕落し切った政腐を乗っ取ってやろうというのだ。
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