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    村人A

    @villager_fenval

    只今、ディスガイア4の執事閣下にどハマり中。
    小説やら色々流します。

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    村人A

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    ハグの日小説。
    一時間クオリティ・読み直しなしです(言い訳)
    閣下は割と好奇心旺盛にあれこれ実践するタイプだと思ってる。

    #執事閣下
    deacon
    #フェンヴァル
    fenval

    共に記念日へ「フェンリッヒよ!俺とハグをしてみようではないか!」

    唐突に、ヴァルバトーゼがキラキラとした目でそう言い放った。
    確実に誰かに何かを吹き込まれた。
    フェンリッヒは直感でそう感じる。

    「…閣下、それは如何なる理由で?それと、誰から何を言われましたか?」
    「む…?ハグというものには、絆を深める効果があるのではないのか?小娘も、今日はハグの日だとか言っていたぞ」
    「わかりました、小娘の入れ知恵ですね。後で殺しておきますので、閣下は何もお気になさらず」
    「…?何故殺す必要がある?別に今は必要なかろう…というか、仲間を殺す必要も無いだろう」

    8月9日。語呂合わせでハグの日。また、人間の下らない遊びに主が巻き込まれ、その軌道修正を自分がしなければならない。
    今この場にいない、フーカに殺意が募るばかりのフェンリッヒに、ヴァルバトーゼはもう一度腕を広げて言う。

    「それより、別に減るものでもなし、良かろう?ほら」
    「………」

    フェンリッヒとて、ヴァルバトーゼとハグすることが嫌という訳ではない。ただ、小娘如きに踊らされている気がしてひどく腹立たしいだけだ。

    「むぅ…そうか、嫌か…それならば、別で試すとするか、本当に絆が深まるのかをなッ!」
    「──お待ちください、ヴァル様」
    「…?何──だッ!?」

    振り向いた瞬間、ヴァルバトーゼは自分より大きな身体に抱きしめられていた。
    あまりに突然のことに、しばらく理解が出来なかった。

    「貴方は本当に、わたくしの地雷を踏むのが御上手ですね。その一言が何よりも嫌なのを分かって言っているでしょう」
    「な、何がだ…!?」
    (天然か…末恐ろしい方だ)
    「ま、待て…少し、苦しいぞ」
    「どうですか?絆は深まりそうですか?」
    「う、うむ…深まった、のかもしれんな…」

    仕返しのつもりか、抱き締める腕に僅かに力を込める。
    低い主の体温が少し高まり、少し慌てだした頃に、ゆっくりと腕を開いて解放した。

    「そういう実験なら、わたくしがお付き合いすることに致します。ですので、先程のようなお言葉をもう言われませんよう。…さ、執務に戻りましょう」

    妖しいような、優しいような笑みを浮かべるフェンリッヒに、ヴァルバトーゼは黙って頷いた。
    そして主が少し先に行った所で、近くの壁にペンを投げる。壁に突き刺さったそれは、たかがペンの威力ではなかった。

    「…よく聞け、お花畑女共。次は無い。オレは仲間だのなんだのはよく分からんし、分かるつもりもない。閣下が仲間と言おうとなんと言おうと、あまりに調子に乗るなら──殺すぞ」

    凄みながらそれだけ言うと、そのまま歩き去ってしまった。
    去った後、陰に隠れていたお花畑女たち──のひとり、フーカは深く息を吐いてへたりこんだ。

    「こ………っわぁ〜〜…!いつから気付いてたのかしら…」
    「最初から気付いてたっぽいデスね。だからきっと始め拒否したんデスよ!」
    「つーか、何さっさとアタシの入れ知恵だってバラしてくれちゃってんの!?」
    「多分、言わなくてもバレてたと思うデス」
    「ふんっだ!こんなのでヘコたれるアタシじゃないんだからね!」
    「おお、さすがおねえさまデス!その粘り強さ、なんだかラスボスっぽいのデス!!」
    「ラスボスが粘り強くてどうすんのよ……」

    風祭姉妹の悪巧みは、多分終わらない。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    夜、もうすぐ日付けが変わる頃。
    ようやく仕事が終わったふたりは、並んで歩いていた。
    そしてヴァルバトーゼの部屋へ辿り着いた頃。

    「フェンリッヒ。日付けが変わる前に、仕切り直しだ」
    「…ヴァル様。そんな語呂合わせに頼らずとも、いつでもお応え致しますよ」
    「語呂合わせにでも頼らねば、お前は中々したがらんだろう」
    「言っておきますが、昼間は小娘共の気配がしたので拒否しただけですからね」
    「フフ、そうか。あまり虐めるなよ。…だが、語呂合わせで何の日というのを考えるとは、やはり人間は面白い」
    「何でも受け入れないでください。何の日だと言われたところで、実践する必要もありませんよ」
    「まあ、俺とて好きでやっていることだ、そう言うな。…それより、仕切り直しはどうする?」
    「……お求めとあらば、お応えしましょう」

    苦笑いをし、フェンリッヒは主の細い身体を抱き締める。
    見ている時もだが、こうして抱き締めると、改めて主の弱体化を目の当たりにしてしまう。

    (……昔は、何をしても殺せそうになくてやきもきしたと言うのに…)

    ひとり、どこか寂しいような悲しいような気持ちを抱え、名残惜しくその手を放す。

    「よし、これでお前と一層絆が深まるに違いないな。明日からも、よろしく頼むぞ」
    「それだと良いですね。…では、おやすみなさいませ」
    「うむ、ではまた明日」

    いつもより別の意味でドタバタしたような今日(こんにち)が、ようやく終わった。

    「釘は刺したが……諦めんだろうな、あの小娘」

    歩きながら、振り回されるこちらの身にもなれ、と心の中で毒付きつつ、フェンリッヒは自室へと足を進める。

    しばらくは執務の忙しさだけで済むよう、届かぬ願いを胸に。

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    MOURNING世の中に執事閣下 フェンヴァル ディスガイアの二次創作が増えて欲しい。できればえっちなやつが増えて欲しい。よろしくお願いします。【それは躾か嗜みか】



    この飢えはなんだ、渇きはなんだ。
    どんな魔神を倒しても、どんな報酬を手にしても、何かが足りない。長らくそんな風に感じてきた。
    傭兵として魔界全土を彷徨ったのは、この途方も無い飢餓感を埋めてくれる何かを無意識に捜し求めていたためかもしれないと、今となっては思う。

    そんな記憶の残滓を振り払って、柔い肉に歯を立てる。食い千切って胃に収めることはなくとも、不思議と腹が膨れて行く。飲み込んだ訳でもないのに、聞こえる水音がこの喉を潤して行く。

    あの頃とは違う、確かに満たされて行く感覚にこれは現実だろうかと重い瞼を上げる。そこには俺に組み敷かれるあられもない姿の主人がいて、何処か安堵する。ああ、これは夢泡沫ではなかったと、その存在を確かめるように重ねた手を強く結んだ。

    「も……駄目だフェンリッヒ、おかしく、なる……」
    「ええ、おかしくなってください、閣下」

    甘く囁く低音に、ビクンと跳ねて主人は精を吐き出した。肩で息をするその人の唇は乾いている。乾きを舌で舐めてやり、そのまま噛み付くように唇を重ねた。
    吐精したばかりの下半身に再び指を這わせると、ただそれだけで熱っぽ 4007

    last_of_QED

    DOODLE主人に危機感を持って貰うべく様々なお願いを仕掛けていくフェンリッヒ。けれど徐々にその「お願い」はエスカレートしていって……?!という誰もが妄想した執事閣下のアホエロギャグ話を書き散らしました。【信心、イワシの頭へ】



    「ヴァルバトーゼ閣下〜 魔界上層区で暴動ッス! 俺たちの力じゃ止められないッス!」
    「そうか、俺が出よう」

    「ヴァルっち! こないだの赤いプリニーの皮の件だけど……」
    「フム、仕方あるまいな」

    何でもない昼下がり、地獄の執務室には次々と使い魔たちが訪れては部屋の主へ相談をしていく。主人はそれに耳を傾け指示を出し、あるいは言い分を認め、帰らせていく。
    地獄の教育係、ヴァルバトーゼ。自由気ままな悪魔たちを良く統率し、魔界最果ての秩序を保っている。それは一重に彼の人柄、彼の在り方あってのものだろう。通常悪魔には持ち得ない人徳のようなものがこの悪魔(ひと)にはあった。

    これが人間界ならば立派なもので、一目置かれる対象となっただろう。しかし此処は魔界、主人は悪魔なのだ。少々横暴であるぐらいでも良いと言うのにこの人は逆を征っている。プリニーや地獄の物好きな住人たちからの信頼はすこぶる厚いが、閣下のことを深く知らない悪魔たちは奇異の目で見ているようだった。

    そう、歯に衣着せぬ言い方をしてしまえば、我が主人ヴァルバトーゼ様は聞き分けが良過ぎた。あくまでも悪魔なので 7025

    last_of_QED

    BLANK【5/24 キスを超える日】ほんのり執事閣下【524】



     かつてキスをせがまれたことがあった。驚くべきことに、吸血対象の人間の女からだ。勿論、そんなものに応えてやる義理はなかったが、その時の俺は気まぐれに問うたのだ。悪魔にそれを求めるにあたり、対価にお前は何を差し出すのだと。
     女は恍惚の表情で、「この身を」だの「あなたに快楽を」だのと宣った。この人間には畏れが足りぬと、胸元に下がる宝石の飾りで首を絞めたが尚も女は欲に滲んだ瞳で俺を見、苦しそうに笑っていた。女が気を失ったのを確認すると、今しがた吸った血を吐き出して、別の人間の血を求め街の闇夜に身を隠したのを良く覚えている。
     気持ちが悪い。そう、思っていたのだが。
     ──今ならあの濡れた瞳の意味がほんの少しは分かるような気がする。

    「閣下、私とのキスはそんなに退屈ですか」
    「すまん、少しばかり昔のことを思い出していた」
    「……そうですか」

     それ以上は聞きたくないと言うようにフェンリッヒの手が俺の口を塞ぐ。存外にごつく、大きい手だと思う。その指で確かめるよう唇をなぞり、そして再び俺に口付けた。ただ触れるだけのキスは不思議と心地が良かった。体液を交わすような魔力供給をし 749

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    DOODLEディスガイア4に今更ハマりました。フェンリッヒとヴァルバトーゼ閣下(フェンヴァル?執事閣下?界隈ではどう呼称しているのでしょうか)に気持ちが爆発したため、書き散らしました。【悪魔に愛はあるのか】


    口の中、歯の一本一本を舌でなぞる。舌と舌とを絡ませ、音を立てて吸ってやる。主人を、犯している?まさか。丁寧に、陶器に触れるようぬるり舌を這わせてゆく。舌先が鋭い犬歯にあたり、吸血鬼たる証に触れたようにも思えたが、この牙が人間の血を吸うことはもうないのだろう。その悲しいまでに頑なな意思が自分には変えようのないものだと思うと、歯痒く、虚しかった。

    律儀に瞼を閉じ口付けを受け入れているのは、我が主人、ヴァルバトーゼ様。暴君の名を魔界中に轟かせたそのお方だ。400年前の出来事をきっかけに魔力を失い姿形は少々退行してしまわれたが、誇り高い魂はあの頃のまま、その胸の杭のうちに秘められている。
    そんな主人と、執事として忠誠を誓った俺はいつからか、就寝前に「戯れ」るようになっていた。
    最初は眠る前の挨拶と称して手の甲に口付けを落とす程度のものであったはずだが、なし崩し的に唇と唇が触れ合うところまで漕ぎ着けた。そこまでは、我ながら惚れ惚れするほどのスピード感だったのだが。
    ……その「戯れ」がかれこれ幾月進展しないことには苦笑する他ない。月光の牙とまで呼ばれたこの俺が一体何を 3613

    last_of_QED

    DONEディスガイア4で悪魔一行が祈りに対して抵抗感を露わにしたのが好きでした。そんな彼らがもし次に祈るとしたら?を煮詰めた書き散らしです。【地獄の祈り子たち】



    人間界には祈る習慣があるという。どうしようもない時、どうすれば良いか分からぬ時。人は祈り、神に助けを乞うそうだ。実に愚かしいことだと思う。頭を垂れれば、手を伸ばせば、きっと苦しみから助け出してくれる、そんな甘い考えが人間共にはお似合いだ。
    此処は、魔界。魔神や邪神はいても救いの手を差し伸べる神はいない。そもそも祈る等という行為が悪魔には馴染まない。この暗く澱んだ場所で信じられるのは自分自身だけだと、長らくそう思ってきた。

    「お前には祈りと願いの違いが分かるか?」

    魔界全土でも最も過酷な環境を指す場所、地獄──罪を犯した人間たちがプリニーとして生まれ変わり、その罪を濯ぐために堕とされる地の底。魔の者すら好んで近付くことはないこのどん底で、吸血鬼は気まぐれに問うた。

    「お言葉ですが、閣下、突然いかがされましたか」

    また始まってしまった。そう思った。かすかに胃痛の予感がし、憂う。
    我が主人、ヴァルバトーゼ閣下は悪魔らしからぬ発言で事あるごとに俺を驚かせてきた。思えば、信頼、絆、仲間……悪魔の常識を逸した言葉の数々をこの人は進んで発してきたものだ。 5897

    last_of_QED

    CAN’T MAKE十字架、聖水、日の光……挙げればきりのない吸血鬼の弱点の話。おまけ程度のヴァルアル要素があります。【吸血鬼様の弱点】



    「吸血鬼って弱点多過ぎない?」
    「ぶち殺すぞ小娘」

    爽やかな朝。こともなげに物騒な会話が繰り広げられる、此処は地獄。魔界の地の底、一画だ。灼熱の溶岩に埋めつくされたこの場所にも朝は降るもので、時空ゲートからはささやかに朝の日が射し込んでいる。

    「十字架、聖水、日の光辺りは定番よね。っていうか聖水って何なのかしら」
    「デスコも、ラスボスとして弱点対策は怠れないのデス!」
    「聞こえなかったか。もう一度言う、ぶち殺すぞアホ共」

    吸血鬼の主人を敬愛する狼男、フェンリッヒがすごみ、指の関節を鳴らしてようやくフーカ、デスコの両名は静かになった。デスコは怯え、涙目で姉の後ろに隠れている。あやしい触手はしなしなと元気がない。ラスボスを名乗るにはまだ修行が足りていないようだ。

    「プリニーもどきの分際で何様だお前は。ヴァル様への不敬罪で追放するぞ」

    地獄にすら居られないとなると、一体何処を彷徨うことになるんだろうなあ?ニタリ笑う狼男の顔には苛立ちの色が滲んでいる。しかし最早馴れたものと、少女は臆せず言い返した。

    「違うってば!むしろ逆よ、逆!私ですら知ってる吸血鬼の弱 3923

    last_of_QED

    MOURNING世の中に執事閣下 フェンヴァル ディスガイアの二次創作が増えて欲しい。できればえっちなやつが増えて欲しい。よろしくお願いします。【それは躾か嗜みか】



    この飢えはなんだ、渇きはなんだ。
    どんな魔神を倒しても、どんな報酬を手にしても、何かが足りない。長らくそんな風に感じてきた。
    傭兵として魔界全土を彷徨ったのは、この途方も無い飢餓感を埋めてくれる何かを無意識に捜し求めていたためかもしれないと、今となっては思う。

    そんな記憶の残滓を振り払って、柔い肉に歯を立てる。食い千切って胃に収めることはなくとも、不思議と腹が膨れて行く。飲み込んだ訳でもないのに、聞こえる水音がこの喉を潤して行く。

    あの頃とは違う、確かに満たされて行く感覚にこれは現実だろうかと重い瞼を上げる。そこには俺に組み敷かれるあられもない姿の主人がいて、何処か安堵する。ああ、これは夢泡沫ではなかったと、その存在を確かめるように重ねた手を強く結んだ。

    「も……駄目だフェンリッヒ、おかしく、なる……」
    「ええ、おかしくなってください、閣下」

    甘く囁く低音に、ビクンと跳ねて主人は精を吐き出した。肩で息をするその人の唇は乾いている。乾きを舌で舐めてやり、そのまま噛み付くように唇を重ねた。
    吐精したばかりの下半身に再び指を這わせると、ただそれだけで熱っぽ 4007

    last_of_QED

    BLANK【5/24 キスを超える日】ほんのり執事閣下【524】



     かつてキスをせがまれたことがあった。驚くべきことに、吸血対象の人間の女からだ。勿論、そんなものに応えてやる義理はなかったが、その時の俺は気まぐれに問うたのだ。悪魔にそれを求めるにあたり、対価にお前は何を差し出すのだと。
     女は恍惚の表情で、「この身を」だの「あなたに快楽を」だのと宣った。この人間には畏れが足りぬと、胸元に下がる宝石の飾りで首を絞めたが尚も女は欲に滲んだ瞳で俺を見、苦しそうに笑っていた。女が気を失ったのを確認すると、今しがた吸った血を吐き出して、別の人間の血を求め街の闇夜に身を隠したのを良く覚えている。
     気持ちが悪い。そう、思っていたのだが。
     ──今ならあの濡れた瞳の意味がほんの少しは分かるような気がする。

    「閣下、私とのキスはそんなに退屈ですか」
    「すまん、少しばかり昔のことを思い出していた」
    「……そうですか」

     それ以上は聞きたくないと言うようにフェンリッヒの手が俺の口を塞ぐ。存外にごつく、大きい手だと思う。その指で確かめるよう唇をなぞり、そして再び俺に口付けた。ただ触れるだけのキスは不思議と心地が良かった。体液を交わすような魔力供給をし 749