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    村人A

    @villager_fenval

    只今、ディスガイア4の執事閣下にどハマり中。
    小説やら色々流します。

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    村人A

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    本アル小説(マオの本心×アルマース)
    本アルのつもりで書いたら本アルマオになった(?)
    私がこのカプを推したい一心で書きました。
    期待値はマイナスに振り切ってからお読みください。

    ココロの奥にあるもの──何だか最近、マオがどこかよそよそしい気がする。

    それが、アルマースが最近感じている違和感。
    以前のように遠慮のない事を言ってくることもなければ、目も合わない。

    「ねぇ、最近どうしたの?ボク、なんかした?」
    「……何でもない。気にするな」
    「ボクには何もないって思えないんだってば!」
    「しつこい!何もないと言っているだろうが!!」
    「……ッ!!」

    ようやく合った目に睨まれ、またすぐさま逸らされる。
    そこまで腹が立ったのか、向けられた顔は僅かに赤らんでいた。

    「〜〜、もういいよ!マオのバカッ!!」
    「誰かバカだ!マヌケが!!」
    「マ、マヌケじゃないよ!!」

    そんなつまらないケンカをしたのが、一刻程前のこと。
    腹を立てていたアルマースは、何となく歩いてきた場所を見渡す。

    「…なんでこんな場所に来てるんだろう」

    立っていたのは、ココロ銀行の近く。
    少しの間悩んだ後、ハッとする。

    「そうだ、マオのココロの中なら何か分かるんじゃないかな」

    最近どうも様子がおかしい理由が分かるかもしれない。アルマースは早速、思い付きを敢行することにした。

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    「…あっさり入れちゃったな」

    以前、“ココロの持ち主が許可しないと入ることは出来ない”というようなことを聞いたのにな、とアルマースは呟きながら奥へ進んでいく。
    相変わらず少し乱雑に物が散らかっている所がある。
    どことなく溜飲が下がりつつ、進んでいくと見えたのは、ハート型の大きな金庫。
    その手前にいた少年は、アルマースを視認して、柔らかく微笑んだ。

    「アルマース!いらっしゃい」
    「あ、えっと…ボクひとりなんだけど、大丈夫かな?」
    「大丈夫、とは?ダメな訳ないじゃないですか。いつでも来てください、アナタなら歓迎しますよ」

    ココロの持ち主が受け入れるか、本人であれば奥まで辿り着ける。
    そんな場所に辿り着いてしまったアルマースは、目の前にいる少年──マオの本心の優しげな笑みに心がザワつく。

    「えっ、と…マオのココロでも、ボクのことを歓迎してくれたりするんだね、意外だなぁ」

    ただよそよそしい理由を確かめたくて入った、マオのココロの中。
    そんな本体の気持ちとはまるで真逆の対応に、困ったような笑みを浮かべるアルマースを、本心は真っ直ぐ見た。

    「しますよ?想い人なら、誰だって歓迎するでしょう?」
    「え、え!?お、想い人って…誰の、こと?」
    「アナタが、ボクの、ですよ」
    「………え、え?」

    真っ直ぐ見たまま、本心は優しく微笑んだ。
    その視線を、表情を見れば、言葉が嘘では無いことは想像出来る。
    だが急に言われた、現実感のない言葉にアルマースは固まる。

    「……あははっ!やだなぁ、本心でもそんな冗談なんて言うんだね」
    「言いませんよ?ボクは本心です。嘘も、冗談も言えません」
    「………ッ」

    真っ直ぐな物言いに、アルマースは顔を逸らして踵を返そうとした──が、いつの間にか本心は目の前に来ていた。
    ふ、と息を吐くような笑いを零した後、本心は一歩ずつ、ゆっくりとアルマースに歩み寄る。
    その一歩につられるように、アルマースもまた下がる。

    (ど、どうしよう…どうしたら!?)

    嫌だ嫌じゃないの話じゃなく、ただただ困惑で後ろに下がる。
    後ろにあるのは逃げ道では無いというのに、どうにも出来ずいると、背後にあった階段に踵が引っ掛かる。

    「うわ!?……いた、くない?」
    「本心(ボク)が、アルマースを傷付けるワケないじゃないですか。マオは捻くれてて、素直じゃない」
    「え、ちょ、マオ…ッ」

    ゆっくりと、上に被さって両手とも押さえつけられ、逃げられなくなってしまう。
    素早く拘束された訳ではなかったのに、動けなかった。
    本心の顔を見上げると、その顔は愛しくて仕方ないものを見る目をしていた。
    普段のマオが決してしない表情。

    「…アルマース。アナタがボクのことを──マオのことを、そんな目で見てないだろう、とは思っています。だけど──」

    言いながら、ゆっくり手を掬い上げる。
    目を見たまま、目が離せないまま、その手はゆっくりと本心の唇にくっ付く。

    「──アナタが、ボクの所まで堕ちて来てくれたら……そう、思っています」

    切実そうに、愛おしそうに言うその表情とセリフから、逃れようなどと、考えられる程の余裕も無くなってしまう。

    「ま、待って…キミがマオの本心ってことは…」
    「はい。ボクの言葉は嘘偽りなく、マオのココロの言葉ですよ」
    「そ、その…ボク、最近なんであんなにマオがよそよそしいのか知りたかったんだけど…」
    「悪魔なのに、マオがアナタに対して抱いてしまった感情が、気恥ずかしかったのでしょうね」
    「ボクに対する、感情……っていうのは、その…」

    その言葉の先は、分かっていた。
    なのに復唱してしまったアルマースの目を見ながら、本心は微笑んだ。
    気恥ずかしい、と言いながらもその口調は穏やかに、ゆっくり顔が近寄ってくる。

    「ちょちょ、何するつもり!?」
    「いえ、言葉で示すより、行動した方が早いかと」
    「早まりすぎだって…!!」

    息がかかるほど、近くで言われる。
    アルマースはパニックで、力も上手く入らなかった。
    どうしよう、しか頭の中になかったのだ。

    「……おや」
    「……?」
    「邪魔が入りそうですね。その前に済ませてしまうのも手──」
    「何してやがるーーッ!!!」

    頭上から降り注いだ氷柱の束を、本心がガードして弾き落とす。

    「きっ、貴様ぁっ!どこで何をしている!!?」
    「マ、マオ!?」
    「荒っぽいですね。ケガでもしたらどうするつもりですか」
    「ふざけるな!!貴様ら、何をしていた!?」
    「とぼけるんですか?ボクが本心なのは、前に言った通りですが」
    「質問に答えろ!!」
    「…貴方がよそよそしいのが気になって、ここへ答えを探しに来たそうですよ。アルマースのせいではなく、自分のせいでしょう?」

    先程までアルマースに言っていた声色とは違う、淡々とした声で本心が言う。

    「我の一部のクセに、何を偉そうに…!大体、今のが我の答えだとでも抜かすつもりか!?」
    「だから、ボクは本心だと言っているでしょう。嘘や冗談は言えません」
    「え、えっと、その…」
    「ええい、貴様!顔を赤くするな!!誤解だからな!?」
    「そういう貴方も、顔が真っ赤じゃないですか?マオ」
    「こ、これはっ…怒っておるのだから、当然だ!」
    「はぁ…分身ながら、この捻くれ具合は、本当に……」
    「うっ、うるさい!!出ていけー!!」
    「うわ!?」

    マオの叫びに、無理矢理外へと弾き出されてしまった。

    「貴様…覚悟は出来ているな」
    「ま、待って待って!……さっきのって、その」
    「〜〜!!ヤツの言っていたことなら、違う!あんなのはデタラメだ!!」
    「…悪いけど、キミの顔見てたら、そうとは思えないんだけど」

    怒りというよりは、気恥ずかしさや照れが見える表情。
    真剣に見てくるアルマースの目に、マオは居た堪れなくなる。

    「ねぇ、マオ。もし、そういうことでも、そうじゃなくても…避けないで欲しいんだ。やっぱり、君に避けられるのは悲しいし、寂しいよ。ね、お願い」
    「わ、分かった!分かったから離れろ!」

    マオの顔を覗き込みながら、逃げられないように手を握って言うアルマースに、マオは根負けした。

    「本当!?約束だよ!」
    「何が約束だ、子供か…それに、悪魔が約束を守るとでも思っているのか?」
    「守るよ。マオは、そういう子だもんね」
    「子供扱い──するなッ!!」
    「いだぁ!!?」

    振り上げた拳は丁度腹にめり込んだ。
    フンッ、と鼻を鳴らすと、マオは踵を返す。

    (…あれ。『覚悟は出来ているな』とか言ってたから、もっと殴られるものだと思ってたけど)

    (違う……違う違う違う!!あ、あれ…が、我があのアホに望むことだと!?ふざけるな!…確かに恋のメカニズムは知りたいところだが、これは我の望むことなどではない!!)

    早足で歩きながら、マオは心の中でやり切れない思いを叫んでいた。

    「全く…本当に素直じゃないですね。あそこで邪魔をされては、アルマースも警戒して来てくれないじゃないですか。嫌なら、早く素直になればいいのに」

    もう行ってしまった虚空を見ながら、本心は届かない本体へと声をかける。

    「この分じゃ、先に気付くのは……フフ、楽しみですね」

    ふたりのココロの中にある気持ちが、芽を出す日は──…

    ──意外と、すぐそこかもしれない。

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    recommended works

    last_of_QED

    DONEディスガイア4で悪魔一行が祈りに対して抵抗感を露わにしたのが好きでした。そんな彼らがもし次に祈るとしたら?を煮詰めた書き散らしです。【地獄の祈り子たち】



    人間界には祈る習慣があるという。どうしようもない時、どうすれば良いか分からぬ時。人は祈り、神に助けを乞うそうだ。実に愚かしいことだと思う。頭を垂れれば、手を伸ばせば、きっと苦しみから助け出してくれる、そんな甘い考えが人間共にはお似合いだ。
    此処は、魔界。魔神や邪神はいても救いの手を差し伸べる神はいない。そもそも祈る等という行為が悪魔には馴染まない。この暗く澱んだ場所で信じられるのは自分自身だけだと、長らくそう思ってきた。

    「お前には祈りと願いの違いが分かるか?」

    魔界全土でも最も過酷な環境を指す場所、地獄──罪を犯した人間たちがプリニーとして生まれ変わり、その罪を濯ぐために堕とされる地の底。魔の者すら好んで近付くことはないこのどん底で、吸血鬼は気まぐれに問うた。

    「お言葉ですが、閣下、突然いかがされましたか」

    また始まってしまった。そう思った。かすかに胃痛の予感がし、憂う。
    我が主人、ヴァルバトーゼ閣下は悪魔らしからぬ発言で事あるごとに俺を驚かせてきた。思えば、信頼、絆、仲間……悪魔の常識を逸した言葉の数々をこの人は進んで発してきたものだ。 5897

    last_of_QED

    CAN’T MAKE十字架、聖水、日の光……挙げればきりのない吸血鬼の弱点の話。おまけ程度のヴァルアル要素があります。【吸血鬼様の弱点】



    「吸血鬼って弱点多過ぎない?」
    「ぶち殺すぞ小娘」

    爽やかな朝。こともなげに物騒な会話が繰り広げられる、此処は地獄。魔界の地の底、一画だ。灼熱の溶岩に埋めつくされたこの場所にも朝は降るもので、時空ゲートからはささやかに朝の日が射し込んでいる。

    「十字架、聖水、日の光辺りは定番よね。っていうか聖水って何なのかしら」
    「デスコも、ラスボスとして弱点対策は怠れないのデス!」
    「聞こえなかったか。もう一度言う、ぶち殺すぞアホ共」

    吸血鬼の主人を敬愛する狼男、フェンリッヒがすごみ、指の関節を鳴らしてようやくフーカ、デスコの両名は静かになった。デスコは怯え、涙目で姉の後ろに隠れている。あやしい触手はしなしなと元気がない。ラスボスを名乗るにはまだ修行が足りていないようだ。

    「プリニーもどきの分際で何様だお前は。ヴァル様への不敬罪で追放するぞ」

    地獄にすら居られないとなると、一体何処を彷徨うことになるんだろうなあ?ニタリ笑う狼男の顔には苛立ちの色が滲んでいる。しかし最早馴れたものと、少女は臆せず言い返した。

    「違うってば!むしろ逆よ、逆!私ですら知ってる吸血鬼の弱 3923

    last_of_QED

    DOODLE主人に危機感を持って貰うべく様々なお願いを仕掛けていくフェンリッヒ。けれど徐々にその「お願い」はエスカレートしていって……?!という誰もが妄想した執事閣下のアホエロギャグ話を書き散らしました。【信心、イワシの頭へ】



    「ヴァルバトーゼ閣下〜 魔界上層区で暴動ッス! 俺たちの力じゃ止められないッス!」
    「そうか、俺が出よう」

    「ヴァルっち! こないだの赤いプリニーの皮の件だけど……」
    「フム、仕方あるまいな」

    何でもない昼下がり、地獄の執務室には次々と使い魔たちが訪れては部屋の主へ相談をしていく。主人はそれに耳を傾け指示を出し、あるいは言い分を認め、帰らせていく。
    地獄の教育係、ヴァルバトーゼ。自由気ままな悪魔たちを良く統率し、魔界最果ての秩序を保っている。それは一重に彼の人柄、彼の在り方あってのものだろう。通常悪魔には持ち得ない人徳のようなものがこの悪魔(ひと)にはあった。

    これが人間界ならば立派なもので、一目置かれる対象となっただろう。しかし此処は魔界、主人は悪魔なのだ。少々横暴であるぐらいでも良いと言うのにこの人は逆を征っている。プリニーや地獄の物好きな住人たちからの信頼はすこぶる厚いが、閣下のことを深く知らない悪魔たちは奇異の目で見ているようだった。

    そう、歯に衣着せぬ言い方をしてしまえば、我が主人ヴァルバトーゼ様は聞き分けが良過ぎた。あくまでも悪魔なので 7025