注射が嫌いなペンギンのお話ロー主催で、ハート海賊団の定期検診&新しく予防接種が開かれた。
検診は大人しく受けていたペンギンだが、注射すると言ったとたん、妙に動きが鈍くなり嫌がり逃げ回る。
その後、受けていないのはペンギンだけになり、本気を出したローとシャチにとっ捕まる。
「ほ、ホントに注射するんすか」
「する。すぐに終わる、なんだったら見てなくてもいい」
椅子に座らせられ、震える左腕をローに差し出すペンギン。逃げ出さないようにシャチがそばに立っており、ペンギンは自由な右手でシャチの服を掴んでいる。
ローはペンギンの腕を消毒し、注射針のキャップを外した。
針がライトの光を受けキラリと反射する。途端、ペンギンがびくりと震え「ヒュ」と引き攣った声をあげた。
異変を感じたシャチはぺンギンの顔を覗き込む。
「っキャプテン、ちょっと待って」
ペンギンは、帽子の影になっていてもわかるほど顔色が悪かった。過呼吸のように呼吸も浅く早くなっている。目の焦点もあわない。
「ペンギン、落ち着いて」
「っは、ぁ、しゃち、やだ」
ペンギンはぎゅっと目を瞑ると、シャチの腹に額を押し付け震える息を吐いた。
「これはもう嫌いってレベルじゃねぇぞ」
軽く目を見開き様子を見ていたローは、カタリと注射器を置き、ペンギンのそばでかがみこむ。
「ペンギン、注射はナシだ。大丈夫だからゆっくり呼吸しろ」
じっとりと汗をかく背中を、呼吸と合わせるようにゆっくりとさする。
「げほっ、ごめ、なさ、い」
「いい、気にするな。…それにしても、お前のその怯え方はもはやトラウマレベルだ」
昔何かあったのか。
問うローに、ペンギンは眉を下げ、おずおずと口を開いた。
「昔、叔父さんのとこにいた頃にさ、ミスったときの罰で、薬の被験体とかやってたりして、…その、さっきはうっかり思い出しちまって」
いやあ、大の男が恥ずかしいっすよね!あははっ…え?シャチ?船長?顔恐…
「シャチ」
「アイアイ」
「やっぱりアイツら北の海の底に沈めておくべきだったな」
「ハハハそっすね」