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    iria

    @antares_1031_

    小説と後書き置き場です

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    iria

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    あとがき「お揃い」

    この話もめっちゃ時間がかかったし、難しかったです。
    なかなか思い浮かばなくて。すんごい大変だった記憶があります。

    お揃いというお題と一緒に「しるし」というお題もあって、どちらも含めた内容にしたかったのですが、どうにも思い浮かばなくって。あと思い浮かんだネタは他の人がきっと書くだろうな、と思いました。(私の拙い話よりも絶対そっちの方がいい)(私がわざわざそれを書く意味はないと思いました)

    そこで、お揃いということについて改めて考えてみました。
    いくら考えても考えても、「この二人、わざわざ何かをお揃いにするタイプじゃなくね?」と思えてきてしまって…。

    というのも、ラジオでの焼肉の話題のとき「自分の肉は自分で焼きたいわ」という価値観を3人とも持っていたのが頭にあって…。
    だからお揃いって難しくね?お揃いになるとしたら、意図しないものか…?と悶々とひたすら考えました。何をどうしたってお揃いになるルートが見つからなくて、「じゃあお揃いになったらええな!にしよう!」と思いこんなオチにしました。

    そしてそれがものすごくしっくりきたんですよね。私の中で。あと可愛いと思って。いつかお揃いのつけれたらええなってめっちゃ可愛いプロポーズ?じゃないですか?可愛い(自画自賛)

    となると、やっぱり指輪がええな、と。
    そして指輪をするなら、前から書きたいと思っていた、モーニング娘。のAs for one day で話を作ってみよう!とここで話の核がようやく決まりました。
    とにかくいい曲なので聞いてほしい。つんくさんはやっぱり最高です(ハロオタ)

    じゃあ、オチは決まった。そこにいくまでどういう流れにしよう?と考えた時に、丁度私が夏祭りに行って、そこでベビーカステラを食べたばかりだったのでそれにしちゃおう。と。
    付き合ってる二人が、夏祭りにいって、遊んで、最後はおもちゃの指輪エンド。
    ここまでは決まったのですが、中身がいかんせん付いてこなくて…。

    二人がいざ付き合ったとしたらどうなるだろう?からまず考えました。
    これまでの関係を見ていると、友達をすっとばして相方になってて。
    そこでまた恋人という関係性も追加されてしまったわけで。
    そもそも関係性の距離感が近いところからスタートしている二人なので、その関係性から新たな関係にリスタートする時に絶対ぎくしゃくするだろうな、と思いました。
    距離感を徐々に近づけていくのはよくあるけど、それを一定まで離す?置き直す?線引きしなおす?作業ってなかなか難しいのではないか?と言うことです。

    そして話の中で盧笙が告白して付き合うことになりましたが、片想い歴はずっと簓さんのが長いです。盧笙が恋愛感情を自覚したのは再結成して、AsBAを経てくらいのタイミングを想定しています(この世界線では、です)
    だから、盧笙の気持ちをなかなか受け止めきれないというか。どうせまた終わるんやろ?じゃあハナから信用せんとこ。みたいな。そもそもそういう人だし。傷つくのが怖くて、全部を受け止めきれない簓。俺はこんな関係じゃなくても一緒におれるなら良かったのに。みたいな。一時の気の迷いやろ?と思っている。
    あと、付き合いたての中学生みたいに「どうして自分なんかを好きって言うんやろ?」って感情もある。相手が自分を好きなのが納得いっていない。思春期の恋愛あるあるだと思うのですが、自分に好かれるような要素がなくて、相手の好意を信じられない、みたいなのもあると思います。無条件で愛されたという経験や記憶が薄いのでは…と憶測。幼少期に両親が別れるというのはそれ相応のショックがあると思うのです。
    (=愛されていなかった、と言うわけでは決してないと思います。親の愛情が子供にうまく伝わっていないケースなんて、ごまんとあると思います。あとはお互いの「愛」の形が違うとか)
    それに、盧笙のあったかもしれない未来を奪うことになるのもちょっとチラついている。せっかく芸人辞めて一般人になったのに。俺と違って普通の幸せを手にすることができるのに。(ここらへんをもっと深く掘り下げた話もなんとなく考えてはいるのですが、書くかどうかは未定です。そこまで辿り着く気がしない)

    でも、盧笙は「好きな人と付き合えた」「嬉しい」の時期です。簓のことが真っ直ぐに、ただ好きなんですよね彼はいつだって。(眩しい)(私は彼に夢を見過ぎである)
    だけど、盧笙もまた新しい関係の距離感を模索しているので、これまでの経験を元に、彼女にしてきたような恋人扱いをしているんです。はあああ、盧笙先生のガチ恋夢女になりたかった。その欲望がこの描写に出てしまった。

    まずもうここですれ違ってるんですよねえ。二人の「相手を大切に思う気持ち」と「その方法」が。まぁ二人を書く時に「すれ違えーーー!!」「こじれろーーー!!!」と念を送りながら書いているのでこうなります。ごめんね二人。

    お祭りのシーン書くの、本当に苦痛でした。
    全っっっ然うまくいかなくて。文章が出てこない。ほんっまに苦痛やった。ただの説明文になってしまって、うまく二人に芝居をさせられなかったというか…。とにかく頭を悩ませました。行動と情景と仕草と展開をうまく繋げられないというか。気をつけないとほんまにただの説明文になってしまう。なんとかこれもラジオネタから広げてって書いてみました…うーーん。
    くじびき屋台のおっちゃんに「おおきにな」ってお礼をいう盧笙が好きです。きゅんです。

    スーパーボールすくい、本当は金魚すくいにしたくて途中まで書いてました。どーーーーしても「花火見て 金魚すくい 君は三匹で」をやりたかった…夢見る15歳…
    でも絶対二人とも命をちゃんと扱うだろうなって思ったので無しに…
    どうしても○○すくいにしたかった故なのですが、普通にヨーヨー釣りとかしすればよかったか…?(いやでも既にでぇすとげんちゃろがやってるから、ボツにしたんだった)あとこんな本筋と関係ないところで悩んでる時間がもったいねえな!と思って強行突破したんだった。


    人混みではぐれないように手を繋ぐという描写自体は、あらゆる創作の中でありふれた、王道なベタなパターンではあるのですが、意外と現実でも使われている手法なので採用しました。
    しかしスムーズに簓の手を掴むのではなくて、Tシャツを掴んでから、盧笙に手をとられるという、ワンクッションおいた形にしたことが良かったなと思います。(ここもめっちゃ悩みました。盧笙はこういうことしなさそうな人なので。でも付き合えて嬉しくて浮かれてるんですねえ かわいいですねえ ということにしました自分の中で)
    私はこの一連の流れをたまたま目撃してしまうモブ女になりたいです。

    そしてこのときめく場面で、簓さんはどこか他人事のように冷めた目で見ています。ここも好きです。いい感じに自分の中のキャラクター像をだせたかな、と。
    どうせまた離される手なんやから、喜ばんとこ。みたいな保険をかけている。
    そしてどうせいつか離されるなら、と自分から離してしまうという意味合いも込めたシーンも書けました。

    ここで雨が降ってくるのですが、これは私が行った祭りでも突然本降りの雨が降ってきたからです。降らせたかった。
    そして二人が雨宿りする場面も、「これいったい二人どこ歩いてんの?」となって、架空の街の架空の祭ではあるのですが、なんとなく通天閣付近の街並みを参考にしました。あまりにも大阪の街を知らなさすぎて。
    グーグルマップで通天閣付近をウロウロ徘徊して、「こんな感じかなー」「ここなら雨宿りできるかなー」「近くにコンビニあるかなー」など調べてました。なのでこのシーンの廃業したコインランドリーは一応実在する場所です。

    この軒下での会話シーンが書きたくて始めた話だったので「ようやくきた!!!!」とここからは楽しく書けました。
    盧笙にとっての特別になりたかったけど、それは恋人としてじゃなくて〜のところめっちゃ気に入ってます。そういう「立場」がなくても当たり前の顔で隣におれたんです。それなのにそういう扱いされてしまうと、「なんかちゃうねん」になるんですわ…。
    これまでの彼女と同じ土俵に立たされてしまうという。うーーーん、言語化が難しな…。
    そしてその簓さんの感じに薄々気づいてた盧笙がついに直球で聞いてきます。杉村みたいですね。「月島、はっきり言え!」です。
    そしてずっと違和感に感じていた「好きやから付き合ってくれとるわけとちゃうやろ?」をこれまた直球で言ってしまいます。
    正確には簓も好きなんです。ちゃんと好きなんですけど、それが盧笙にいまいち伝わっていない。それは前述したように「いつか終わる」と思っているから「全てを預けられない」結果、そういう捉え方をされてしまったわけです。

    でも「好かれたいんや」っていう直球にさすがの簓さんも絆されてしまいますね。めっちゃ可愛いポイントです。かわいいかわいい言いながら書いてました。
    動揺のあまり普段しないような言葉遣いになって照れ隠ししてるのも可愛いっすね…。いくら回りくどい言い回しや行動をしたって、躑躅森には何一つ効かないのであった!!!!最高!!!

    指輪渡す時の「いらんわ」「じゃあ捨ててもええわ」っていうやりとりもめっちゃ気に入っています。ほんまにめっっっちゃ、気に入っている。こういう時、簓さんは素直に受け取らない、受け取れない人だと思うから。
    「捨ててもええわ」には「どうせ捨てへんやろ」も「捨てても何度だって贈る」の両方の意味が入っています。

    子供サイズなので左手の小指にしか入らないのも、「運命の糸」とかけています。見えないはずの色が巻かれているというのは、この糸のことをさしています。
    調べてみると、赤だけじゃないんですね。運命の種類によって、色んな色がある。発祥はアジアの地域でアジア圏では有名なのだとか。運命によって色が変わる云々は俗説でしかないと思うのですが、文化としてある程度根付いていそうではあったので採用。
    二人の小指にある糸は何色になるのか、いまはまだ未定なのかな?とか変化の途中なのかな?とか思いました。

    色についてですが、作中いろんな色が出てきます。
    屋台のカラフルさを出したかったというのもあります。カステラの袋はオレンジ、ディビの色ですね。簓さんの好物はディビのカラーに入っているのです。

    指輪の色については薄い黄色。盧笙が無意識に選び取ったそれは、簓さんの目の金色です。でも今はまだ偽物の宝石の色でしかないのです。いつか本物の宝石になるのでしょう。(その時は指輪の内側に石を入れてほしい)
    おもちゃの指輪、めっちゃくちゃ可愛いのでぜひ検索してみてください!こういうチープな可愛さがずーっと大好き!かんわいい〜〜

    そしてこの指輪を手に入れることになったきっかけの、くじびきの色は緑。簓さんの髪の毛の色です。盧笙が選んだのは簓さんだということです。

    完全に意図して色を書いたのは、カステラのオレンジのみ。あとの二つは書き終わってから気づきました。完全なる偶然ですが嬉しかったです。

    気持ちは揃わなくても、お揃いの指輪をいつかつけたい。一緒におりたい。めっちゃプロポーズですね…?でもこの気持ちが聞けて簓さんは嬉しかったんじゃないかなあ。
    そんで世の中の夫婦は大体こんな感じだと思います。
    私も既婚者ですが、こんな感じです。一緒の気持ちで一緒になる人なんて、そうそういないのではないでしょうか。人間だもの。

    雨が苦手な簓さんに、「いい思い出」としてちょっとでも上書きしてほしかったそんなお話でもありました。

    BGMは
    約束・連絡・記念日 / つばきファクトリー

    歌詞が児玉雨子さんで天才なのです。
    ぜひ聞いてみてください。ゆうみちゃんの儚い歌声に胸を掴まれてください!!
    まりんちゃんの真っ直ぐな視線や声に胸を貫かれてください!!
    大好き!!

    約束、連絡、不意打ち、記念日
    形にしてほしい じゃなきゃずっと捨てられない

    って歌詞が天才すぎて……。
    抱きしめないでって歌詞も、舌がもつれてる感じで…
    めっちゃ良いんです…

    一人じゃなきゃ眠れないんだ そう鬱陶しかったんだよ本当は
    って歌詞もめっちゃ白膠木簓ーっ!て思います。そうであってくれ(?)

    愛されるって慣れてなかったから
    あなた先に冷めないか 怖かった

    ここもめっちゃ白膠木簓ポイントです。めっちゃそう。

    いつか捨てたいから形にしてほしいって、よくこんな、言語化できるよな雨子…一生好き…一生ついてく…ずっとハロプロに歌詞提供して……金なら出す…

    以上!あとがきでしたー
    こんなところまで読んでくださった方、ありがとうございます。
    貴重なお時間頂戴しました。


    おしまい
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    Replies from the creator

    iria

    DONEお題「願いごと」「銀河」をお借りした小説です。
    しくじった。深夜の横浜、中華街。昼間の観光地らしい賑わいとは様変わりして、深夜はほぼ全ての店のシャッターが閉まり、しかし対照的にギラギラと大きな看板の灯りが照っている。
     簓は息も絶え絶え、追っ手から逃げている最中だった。片足を引きずりながら薄汚い路地裏へと転がり込むように身を隠した。暴れる心臓を押さえ込むようにぐっと息を潜め、周囲を伺う。どうやら人の気配はないようだ。その瞬間、急激にどっと疲労と痛みが体を襲った。
     張り詰めたものがプツンと切れたのと同時に、簓はズルズルとその場に座り込んだ。するとすぐにスラックスがじわじわと湿っていく。どうやら排水が地面に溜まっていたようだ。
     そんなことは気にする間もない。息をするたびに刺すように痛む肋骨はどうやら数本折れていそうだ。引きずっていた右足を見ると、足首がありえない太さに腫れ上がり、どす黒い紫色に鬱血している。かなり熱をもっているようだが、痛みに反するように感覚は鈍い。先ほどから何故かズキズキと痛む左手を見てみると、薬指の爪から血が出ていた。爪が半分剥がれかけている。額や瞼の切り傷からも出血し、他にも数える気にもなれないほどの擦り傷や、打撲の跡が全身にあった。青色のスーツに吸い込まれた血液は、濃紺のシミをつくっている。
    2207

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