バレンタイン 大嫌いだ。
部屋の片隅のソファで小さくなった友也は、手に持っていた物を乱暴に投げ捨てた。
がさっと音を立てて落ちたのは、ターコイズブルーの包装紙に綺麗に包まれた小箱だ。
送り主は、スカイブルーの綺麗な髪の毛の愛おしい幼馴染。
そんな彼から受け取った包装紙の中身はチョコレート。なんで知っているかというと、今日が二月十四日、バレンタインデーだからである。
幼馴染、紫乃創から手紙を受け取ったのは3日前だった。
『明後日の放課後、一緒に帰りませんか』
こんなこと直接言ってくれればいいのに、と彼に伝えると、優しげな顔はほんの少し困ったように笑っていた。
ほのかにラベンダーの香りがするメッセージカードに綴られた小さな文字は、彼の性格をそのまま写しているように見えたものだ。
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