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    菫城 珪

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    菫城 珪

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    オルセイSS。知的好奇心に突き動かされるセイアッドと巻き込まれオルテガの話

    好奇心は猫を殺す(オルセイ) 良い筋肉は柔らかいらしい。
     ふと思い出した死ぬ程どうでも良いそんな知識が朝からずっと頭の中でぐるぐるしている。こういうどうでも良い思考が頭から離れない時は大体疲れている時だ。
    「リア、そろそろ休憩したらどうだ?」
     そんなタイミングで軽装のオルテガがノックもなしに紅茶を携えながらやってきた。しかも、シャツにカマーベスト姿である。今日はちょっと暑いもんな。
     軽装ゆえに目立つのはオルテガの肢体だ。薄いシャツ越しに見える筋肉はしなやかで厚い。胸元の筋肉が今日は特に強調して見える。えっちだ。
     …こんな事を考える辺りもうダメかもしれない。やめやめ、ちょっと休もう。
    「ありがとう」
     ペンを置いて供された紅茶を口に含む。柑橘の香りと酸味、それから蜂蜜の甘さが疲れた体に染み入るようだ。こういう気遣いが憎いんだよなぁ。
    「美味しい。オレンジと蜂蜜か」
    「ああ。良いオレンジが取れたと分けて貰ったんだ」
     ちゃっかり自分の分も用意してきたオルテガは応接用のソファーセットで茶を飲み始める。…今は休憩中なんだから少しくらいくっついても良いだろう。
     カップとソーサーを持ったままオルテガの隣に移動して彼の体に寄り掛かる。俺よりも少し体温が高い体は心地良い。
    「珍しいな」
     仕事中に構うと俺が怒るから手を出さないようにしていたからか、俺が寄ってきた事が意外だったようだ。しかし、手は直ぐに俺の腰に回って抱き寄せてきた。
     素直にその腕に身を任せながらさりげなく頬をオルテガの胸に寄せてみる。しかし、頬では柔らかさは良くわからない。うーん、どうしたものか。
    「なあ、フィン」
    「どうした?」
     こうなったらおねだりしてやろうとオルテガを見上げながら名前を呼べば、甘い声が返ってきた。ぐぬぅ、コイツのこの声に弱いんだよ。心の底から甘やかされてる感が凄いから。
    「その、お願いがあるんだが」
    「お前が言い淀むなんて余程の事なのか」
     流石に小っ恥ずかしくてもじもじしていれば、オルテガが真剣な眼差しになる。こんな顔してる相手に胸を触らせてくれなんて言ったらどうなるのか。というか、そんな事をお願いするのが非常に申し訳ないが、知的好奇心に勝てなかった。
    「胸を……」
    「胸?」
    「お前の胸を触らせて欲しい」
     思い切ってお願いすれば、黄昏色の瞳が大きく丸くなる。そらいきなり胸を触らせてくれなんて言われたらびっくりするよな。困惑している様子のオルテガはどうしたものかと困っているらしい。
    「良い筋肉は柔らかいと聞いて触ってみたくて……無理にとは言わないから」
     しおらしく説明してやれば腑には落ちたようだが、やはり困惑の方が大きいようだ。
    「構わない。好きに触れてくれ」
     それでも困ったように笑いながらも直ぐに承諾してくれる辺りやっぱり俺には甘いな。謝意を示すようにぎゅっと抱き付いてから頬に軽くキスをする。
    「ありがとう、フィン」
     複雑そうなオルテガにお礼を言ってから彼の膝の上に向かい合うように乗っかる。毎晩のように手入れされる時に膝の上に乗せられるせいでこういう事をするのにすっかり抵抗がなくなったな。未だに爪切りだけは慣れないが…。
     真正面から向かい合うオルテガの胸元。暑いからか、いくつかボタンが外されていてデコルテの辺りが見える。首筋の筋肉のラインも綺麗で思わずうっとりしてしまう。
     こういう事にぶつかる度にオルテガの事が好きで好きで仕方ないのだと思い知らされる。左側の鎖骨に僅かに痣のように変色している部分があるのを見つけた。これは昨夜盛り上がった時に俺がつけた跡だ。
     この男は俺のもの。
     そう再確認してどうしようもなくゾクゾクする。仄暗い欲が満たされるのを感じながらゆっくりと体を寄せてオルテガの首筋に鼻先を擦り寄せた。
     嗚呼、駄目だ。こんな事をしていたら変な気分になってしまう。ただ、知的好奇心を満たしたかっただけなのに。
     スン、と匂いを嗅げば嗅ぎ慣れたオルテガの匂いが鼻腔に満ちる。ずっと傍にあるこの匂いは俺にとって一番安心出来るものだ。
     こうやってくっついているだけでストレスや疲労が溶けていくような気がする。そういえば、ハグする事でストレスって軽減されるんだっけ。
    「リア」
     耳元で甘い声が囁く。ちらりと見上げれば黄昏色の瞳が俺を見ていた。腰に腕が回り、体を支えてくれるのがまた心地良い。どうやらこのまま俺の好きにさせてくれるらしいので甘えさせてもらうとしよう。
     両手でそっと包み込むようにオルテガの胸部に触れる。柔らかくも弾力のある感触が掌一杯にして何ともいえない感覚に陥った。これは癖になりそうだ。
    「俺」の時でも女性と付き合ったのは数える程しかないが、その時よりも触り心地が良い気がする。そのまま軽く揉んでみれば、むにむにとした感触がした。うーん、これはやばい。
    「楽しいか?」
    「うん」
     むにむにと触っていれば、オルテガが苦笑混じりに訊ねてくる。上の空で返事しながら猫がする足踏みのように暫く触らせて貰う。確かに良い筋肉は柔らかかった。
     そうして暫くオルテガの胸を堪能していると不意に背筋を辿るようにオルテガの指先が背中を這った。焦らすような触れ方に思わず体がぴくりと震えて我に返る。
     ハッとして彼を見てみれば、欲に燃えた黄昏色の瞳が俺を見ていた。
     あ、これはヤバい。
    「今度は俺の番だな」
     しくじったと思った俺とは裏腹ににんまりと笑うとオルテガが俺の首筋に顔を埋めて軽く噛み付いてくる。肌に触れる吐息や軽く当たる歯の感触に背筋がゾクゾクしてしまう。
    「んっ、駄目だ。仕事が……」
    「お前ばかり触れるなんて不公平だろう?」
     ちゅ、と耳元でリップ音がして大きな手が本格的に不埒な動きを始める。逃げようとするが時既に遅し。ガッチリ腰を抱き締められて逃げられそうにない。
     こういう時、余裕そうに見せかけて実は全然余裕がないらしいと気が付いたのはつい最近の事だ。俺を逃すまいと必死に腰を抱く腕に、それだけ求められているのだとつい絆されてしまう。
    「……少しだけだぞ」
    「ああ」
     喜色に満ちた返事と共に愛撫が本格的になった。ちりちりと身を灼く快楽は徐々にその熱を高めていく。
     は、と吐き出した吐息が甘く震え、身も心も熱に溺れていく。開け放した窓から入り込んでくる柔らかな陽射しと爽やかな風に罪悪感を覚えながらも俺は素直に目の前の欲に溺れる事にした。
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