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    negitama_mata

    @negitama_mata

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    negitama_mata

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    dm♂sd♀、朝のお風呂の後のお話。事後の朝です。でもえちなことは何も無いです。

    ぬくぬくの朝 ダークに体を拭いてもらうのは、ちょっと苦しいから大変だ。でも、シャドーは大好きだった。
     ダークは毎日抱きしめてくれる、優しく撫でてくれる、一緒に寝てくれる。けど、体を拭いてくれることはめったにない。
     そもそも、ダークはお風呂に入ることすら面倒くさがる。いつも、シャドーが宥めて一緒に入り、綺麗に洗って拭いてあげている。
     だから、普段は自分がやっていることをダークにしてもらうのは、特別嬉しくてしょうがなかった。無造作にタオルを被せられて前が見えなくても、力加減が下手で痛いくらい拭かれても、ぜんぜん平気だ。
     バスマットの上で体がぐらぐら揺れるくらい強く拭かれるのが楽しくて、シャドーはくすくすと笑っていた。
     タオルの隙間からたまに見える大好きなひとは、仏頂面で眼を細めている。こちらの反応を面白がっているのだ。
     みんなは、ダークのことがわからないと言う。無口で自分の考えを言わないし、仮面で顔が隠れているから表情もわからない。そう言って、シャドーのお友達はダークのことを怖がっている。
     でも、シャドーは違った。初めてダークをぎゅっとしたあの時から、なんとなくダークの考えていることがわかるのだ。どうしてかはわからない。言葉と表情以外の、体の動きや、視線の先や、手の温度や、そういうもので判断しているのかもしれない。
     けれども正直に言って、ダークの考えがわかっても、わからなくても、どっちでもよかった。ダークと一緒にいられるのなら、なんだってよかった。
     シャドーの体が綺麗に拭きあがったのを見ると、ダークはタオルを丸めてバスケットに投げ入れた。無言のまま、おもむろにシャドーの体を抱き上げる。
     ――ダークは何かを思いついたみたい。
     束の間、シャドーはそう感じた。
     何をしたいのだろう。ぎゅっとして欲しいわけではないようだ。
     不思議そうにしながらも、シャドーは太い腕にすり寄った。何も身に着けていないから、ダークの体の暖かさが直に伝わってくる。
     お互いの肌が触れあったら、ついこんな風にしたり、ぎゅっと抱き着いたりしてしまう。習慣というよりも、ほとんど反射的に行うようになってしまった。
     ダークも慣れた手つきでシャドーを撫で、そしてすぐ近くの鏡の前に降ろした。
    「拭けた。これでいいか?」
     シャドーは驚いた。こんなことを聞かれたのは初めてだった。その真意を悟ろうとして、鏡越しにダークを見ようとする。
     が、視界に入った自分の姿に、それどころではなくなってしまった。
     鏡の前でへたりこんでいる灰色の丸には、激しく睦みあった証がくっきりと残っていた。赤いあとが、お腹と、足と、腕に、たくさん。歯形は、今日はみっつもついている。
    「う、うん……。ありがとう」
     恥ずかしくてしょうがない有様に、シャドーは鏡から目をそらした。小さな声でお礼を言うのがやっとだ。
     隠したかったけれども、なんだか余計にいやらしい気がしてできない。それに、数時間前の時点で終わっていることを、まだ引きずっていると思われたくなかった。
     お風呂に入っていた時よりもずっと体が熱くなっている。
     早くここから連れて行って欲しくて、シャドーはダークに向かって手を伸ばした。
    「……?」
     でもダークは動かない。真っ直ぐに立ったまま、シャドーを見下ろしている。
     今日みたいな朝を迎えたシャドーは足腰が立たない。だからダークがお風呂にいれてくれるし、拭いてくれるのだ。歩くのもおぼつかないので、お部屋にも運んでもらっている。きっと、シャドーが頑張って自分で歩くと言ったって、強制的にそうするはずだ。
     なのに、今日のダークはしてくれない。ちょっと変だ。どうしたのだろう。
     シャドーはダークの心の中を測りかねていた。
    「……ダーク、お部屋に連れて行ってもらってもいい?」
     おそるおそる尋ねる。今のシャドーはダークの手助けなしには生活できない。
    「どうやって?」
     予想外の返答に、シャドーは言葉を詰まらせた。どうやって。
    「あの、その……抱っこしてほしいの」
     とっさにでた言葉は、小さい子がお願いする時のようで、シャドーは赤面した。生まれた直後はぼうっとしていたけれど、その期間はとても短かったので、こんな風に言ったことなんてない。
     今度はごまかせないくらい恥ずかしくて、熱くなったほっぺたを押さえてうつむいてしまった。
     ダークは、ん、とこもった返事をすると、何もなかったかのようにシャドーを抱き上げた。
     金色の目はまた細くなっている。余人から見ればただの無表情でしかないのだが、シャドーははっきりと、ダークが笑っているとわかった。
     今日のダークは、なんだかご機嫌な気がする。わかりにくかったけれど、たぶん、そうだ。
     ダークのことがやっとわかって、ほっとした。けど、恥ずかしい。
     リビングのソファに降ろされても、顔はまだ熱かった。それでもシャドーはちゃんとありがとうを言い、ダークからこっくりと頷くだけの返事をもらった。
     恥ずかしい要因をひとつでも減らすため、体のあとを隠したくて、ソファの隅に置いてあるブランケットに手を伸ばした。
     けれども、すんでのところでダークに取られてしまった。
     きょとんとしている間に、シャドーの目の前で大判のブランケットが広げられる。かけてくれるのかな。
     期待しながら待っていたら、体を持ち上げられた。ダークの手つきは淡々として淀みない。あっという間に手も足も丁寧にくるまれて、顔しか出ていない状態になった。
     呆気にとられるシャドーを見てダークがまた笑い、おくるみに包まれたような体を、それこそあやすかのごとくぽんぽんと叩いた。
     からかわれている。
     ダークはずっと自分をからかって、面白がって、だからご機嫌なのだ。
    「ダーク、恥ずかしいよ!」
     さすがに赤ちゃんみたいな扱いは我慢ならない。シャドーはもごもごと動こうとするけれど、しっかりくるまれてどうしようもなかった。
    「もう。これじゃ何もできないよ」
    「どうせ今日は動けないだろ」
     今度は誰にでもわかるくらい明確に、ダークが鼻で笑う。
     ふてくされるシャドーを再びソファに置いて、隣にダークが座った。どうせ動けないのだから、一日ここにいろ、ということだ。
     それ自体はシャドーの最も望むことだ。わざわざこんな格好にしなくたって、ずっと隣にいるのに。
     シャドーはむくれてそっぽをむいた。
     ダークはお構いなしに口元を緩めている。
     恥ずかしいのは大嫌いだ。だけど、ダークが楽しそうだと、シャドーも嬉しくなってしまう。
    「食事、どうする?」
     遅く起きてすっかり忘れていたが、そういえば、まだ何も食べていなかった。昨日の夜からたくさん動いたから、お腹がぺこぺこだ。
    「ミルクでも温めるか?」
    「赤ちゃん扱いしないでよ~!」
     精一杯の抗議で体を揺らす。今日は、ダークが飽きるまでこのままなのだろう。恥ずかしいこと、たくさんされてしまうのだ。
     でも、ダークが笑っているのを一番近くで見られるのは、とても好きだ。
     バランスを崩したシャドーの体が、ダークによりかかった。
     肌と肌が触れあったから、シャドーは頬をすり寄せた。ダークが目を細めて、優しく撫でてくれた。
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