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    mitotte_kazu

    @mitotte_kazu

    自機ルガオスとエタバン相手のヴィエラとかよそよその話とかNPCよその話とか置いとく場所。
    リアクションとても嬉しいですありがとうございます

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    mitotte_kazu

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    やまめさん(@yamameGT )宅のツァスさんと🦍のファーストインプレッションを描いて頂いたのがとても可愛くて最高だったので文章に書き起こしたもの

    初対面 生来抜けたところがある。普段なら体格の良いルガディンなので注意していたが、油断してしまっていた。マーケットボード横に立っていたララフェルが知人に似ていたのでそちらに気を取られている内に、肩にトン、と何かがぶつかった。それがマーケットボード前に立っていたアウラの肩だと認識するより先に、ドスの効いた声で怒鳴られる。
    「ドコ見て歩いてやがんだクソがッ!」
     サングラス越しに鋭い三白眼で睨みつけられ、余所見をしていた後ろ暗さや自身の非もあり反射的に謝罪する。冒険者らしく、素早く避ける間もなくネクタイに掴み掛かってこられた。こちらを威嚇するように覗き込んできた彼の口が開く。
    「デケェ図体して、」
     重なるように響いた重量級の腹の虫にかき消されたが、その部分だけは聞き取れた。空腹で苛立っている所に鈍臭いルガディンにぶつかられたら、それは気分を害しただろう。両手を軽く上げて害意がないことをアピールしながら、あの、と遠慮がちに切り出してみる。
    「もし良かったら、何か食べに行きませんか?」
     美味い店を知ってるので、と付近でヴィエラに連れて行かれた店を思い出しつつ提案すると、一瞬動きを止めた彼が大きな舌打ちと共に胸元の手を離してくれた。
    「テメェの奢りなら付き合ってやらァ」
     ぐぅ、と間延びした腹の虫と共にじとりと睨み付けてこられる。少し雰囲気が和らいだように見える彼が、満足できる味とボリュームの近場の店に思い至りルガディンは安心したように息を吐いた。いつの間にか彼の頭上に止まっていた雀はそんな一部始終を微笑ましく見守っていた。



     とりあえず酒と肉なら外さないだろう、と美味いそれらを提供していた酒場にアウラを誘ったのは間違いではなかったようだった。流れるようにジョッキを煽り両手にジャーキーなどを忙しく掴んで口に運んでいる様子から、相当な空腹だったんだろうと察する。彼の食べるスピードや表情から口に合ったようで安心したように、ルガディンもソフトドリンクのグラスを傾けた。
    「ん」
     皿の上の燻製盛り合わせを平らげた彼が何かを放って寄越してきて、反射的に受け取ってしまう。手の中で彼のトームストーンが振動していた。着信に出ろ、という意味だろう。トームストーン越しの不安気な相手の声にあの、と応じる。
    「すすすすすみません!!ウチの31歳児がご迷惑をおかけして!!」
     立板に水というのか流暢な謝罪に面食らう。目の前で骨付き肉に手を伸ばす彼の威圧感などから勝手に歳上だと思い込んでいた点を反省しながら、こちらにも非がある旨を伝える。
    「すぐお迎えに行くのでッ!!本当に申し訳ありませんでした!!」
    「ァ……いえ、保護者の方と連絡取れて、私としても安心しました」
     丁寧な相手の言動に釣られてこちらの背筋も伸び、見えてはいないだろうにお辞儀までしてしまった。今すぐ行きます、と通信が切れたトームストーンを彼に返す。受け取ってから乱雑に片付けた彼が、メニューを指差してきた。先程も頼んでいたはずのこの店名物のステーキが記されており、おかわりを要求されているらしい。先程耳にした31歳児という表現がなぜかしっくりくるような、愛嬌さえ感じられるような彼なりのおねだりに苦笑して頷いた。嬉しそうに口角を上げた彼が店員に手を振る。迎えが来るまでにメニューの大半を制覇されそうだなと、財布の中身を思い出しながら彼の保護者を待った。
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    mitotte_kazu

    PASTヴァレンティオンを満喫している🦍と🐇の短いお話
    贈呈 毎年恒例になりつつある、海都でのヴァレンティオンの催事場巡りに今回も付き合っていた。ヴィエラに付き添っていただけの当初に比べて多少慣れてきたルガディンも、露天を覗き見比べる余裕が出来てくる。
    「これは今年の新作か」
    「そう〜!去年から定番になったこっちも美味しいよ!」
     少しわかってきたと思っていたが、やはり彼女の知識量などには勝てない。真剣な顔で次の店の品定めをする彼女の手から、戦利品の入った紙袋を苦笑しながら受け取った。ありがと、と身軽になった身体で手早く会計をすませる彼女を遠巻きに眺めていた。
    「ここの好き」
     何軒目かを巡っていた時に彼女が呟いた店のチョコレートや包装に見覚えがあった。以前貰ったものだな、と何気なしに視界に入った価格を二度見して、目を剥いてしまう。横に書かれた説明を流し見て、ブランド物のククルビーンを手間暇かけて加工してウルダハで販売している有名店だとようやく把握できた。通りで高価で美味いはずだと1人納得している横で、また真剣な表情で陳列されている商品を吟味している彼女が頷いた。これとこれください、と慣れている彼女の指がチョコレートの上を滑っていく。彼女が選んだ商品が丁寧に包まれていくのを眺めながら、パッケージまで可愛いな、などと思った。
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    recommended works

    mitotte_kazu

    PASTバレンタインなのでチョコ渡す🐇さんとチョコ食べる🦍の短い話
    片割 この海の街にもイベントの余波が来ているようで、浮ついた雰囲気が漂っていた。幸せそうな人を見るのは嫌いではないが、この空気の中独り歩くルガディンはどこか居た堪れなさを感じていた。
    それでもイベントのおかげで普段ならあまり手を出さないようなチョコレートが並んでいる店頭を眺めるのは楽しいものだった。買ったところで勿体なくて食べられないのは目に見えているし、貧相な自身の舌はどれを食べても美味しく感じるのだろう。折角だからと思いつつ平凡な板チョコレートを手に取る。と、掌からチョコレートが消えた。目線を掌から上げるとルガディンから取り上げたチョコレートを興味深そうに眺めるヴィエラがいた。

    「買うの?」
     握ったチョコレートをひらひら翳しながらヴィエラが首を傾げた。まぁ、とルガディンが頷くとふぅんと数回頷いた彼女がそれを棚に戻す。買うと言ってるのに、と棚のチョコレートに伸ばされた彼の手をヴィエラの手が掴んだ。ルガディンが何なんだと困惑している間に人気の少ない通りまで引っ張り出される。されるがままだったルガディンの離された掌にちょこんと小箱が載せられた。どこか見覚えのあるデザインの小箱をしばらく眺めてから、目の前のヴィエラに視線を向ける。にんまりと意味深に笑った彼女が覚えてる?と首を傾げた。ルガディンが数回頷いて開けても良いか了承を得ると、勿論、と微笑まれた。
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