背凭 ベッドに腰を下ろし、真剣にトームストーンに向き合うヴィエラの横顔を眺めていた。特にすることもしなければならないこともない、のんびりとした時間だった。床に腰掛けてアイテム整理をしていたルガディンがのそりと立ち上がる。一度彼を見て、彼女は再度液晶に視線を落とした。少しの間を置いて、スプリングが軋む音に合わせて後ろに倒れそうになる。うわ、と小さく声を漏らした彼女を、背後に居た彼が受け止めた。ありがとう、と反射的に返し姿勢を整えた彼女が彼に向き直り、首を傾げる。
「何?」
「しんどくないかと思って」
いや、と前置きして彼が答えた。しんどいとは、と更に首を傾げた彼女に彼があー、と呻いた。
「背もたれにでもなろうかと……」
気まずそうに後頭部を掻いた彼に、彼女は一度目を瞬かせる。やっぱりなんでもない、とベッドから降りようとする彼を制し、その脚の間に収まった。
「うん、悪くない」
ぼふり、と勢いよく胸元にもたれてきた彼女がふふ、と微笑んだのを見て、彼も笑った。