獲得「だからタンクもヒラもしてないって!!」
ボスを倒し開けた宝箱の中身、目当てのジョブ以外の装備品を宝箱に投げつけながらヴィエラが叫んだ。あーもう!と悔しそうに宝箱の中を再度覗き込み、もう一つ入っていたアクセサリを摘み上げる。
「レンジの胴装備だったか?」
溜息と共に戻された宝箱の中身をちゃっかり拝借しながらルガディンが目当ての品を尋ねるとそう、と彼女が肩を落とした。
「せめてリーパーの服ならまだ許せたのに…」
もう何度目だろうか。そろそろ館の主から出入り禁止が出されそうなぐらい周回を重ねたダンジョンを後にする。ちぇ〜、と残念そうに唇を尖らせた彼女がちらりと館を振り返った。もう一回行くか?と声をかけた彼にいい、と苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。
「今日はもうダメな気がするから……」
また明日ね、と踵を返した彼女がまたお付き合いしてくれるんでしょ?と彼の顔を覗き込んだ。
「都合が合えば、幾らでも」
彼の返答にやったぁ!と跳ねて喜ぶ彼女にいい小遣い稼ぎにもなるしな、と続けると、そっちか!!と肩を小突かれる。もう少しこの時間を楽しみたいからそんなすぐには出なくてもいいんだが、と思ったがそれを口に出した時の彼女の反応が容易に思い浮かんだため心に留めておいた。