Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    mitotte_kazu

    @mitotte_kazu

    自機ルガオスとエタバン相手のヴィエラとかよそよその話とかNPCよその話とか置いとく場所。
    リアクションとても嬉しいですありがとうございます

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 82

    mitotte_kazu

    ☆quiet follow

    いい夫婦の日なので熟年っぽい🦍と🐇の短いやつ

    ##ディンエラ

    年齢 変わらないな、とルガディンが掠れた声で呟いた。微かに白色が混じった黒と赤の彼の頭を見上げたヴィエラは嫌味?と悪戯っぽく笑う。
    「いつまでも綺麗って事だ」
    「そんなこと言えるようになったんだ……!」
     恥ずかしげもなく言い放たれた言葉に絶句している彼女を、楽しそうに彼は笑った。目を閉じた彼が外した眼鏡のレンズを拭う。とうとう伊達ではいられなくなった、と彼が笑っていたのは何年前だったか。彼の顔に刻まれた皺は深いが、その中に刻まれているものが苦難だけではないと彼女は知っている。
    「そっちは増えたね、白髪」
    「ロマンスグレーとか言うやつだ」
     悪くないだろう、と微笑んだ彼に彼女はつい吹き出してしまう。
    「誰かさんみたいに染めないと駄目か?」
    「あ、またそういうこと言う」
     彼の太腿を軽く小突く。再度彼の頭を見上げ、見えないからわかんない、と彼女は唇を尖らせた。こうしたらいいか?と座り込んだ彼の脚に腰を下ろし、向き合う形で彼を頭上から見下ろした。まだ大丈夫じゃない?と頭を撫でた彼女にそうかと彼は頬を緩める。
    「家系的に髪には恵まれているからな。色とか薄くなったりしにくいとは思う」
     遠くを見つめながら彼が独りごちた。冒険者として生きている内に、親族よりも彼女と過ごしている時間の方が長かった気がする。大変ではあったけれど、楽しい時間だった。
     頭頂部から自身の頬に移ってきた彼女の手を取る。白く柔らかく、滑らかな手を辿って彼女の顔を見つめる。端正な顔立ちも手と同じ感触の肌も昔と変わらないように感じた。初めて会った時には綺麗で大人びて見えていたが、こんなに幼く可愛らしく見えるようになったのはいつからだっただろう。彼女の頬を両手で包み込む。じっと何かを期待するような目で見つめてきた彼女の額に、自身の額を押し付けた。
    「少しは追いつけただろうか」
    「とっくに追い越されてるよ」
     小さく呟き目を閉じた彼に、彼女が笑って返した。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖😭
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    mitotte_kazu

    PASTヴァレンティオンを満喫している🦍と🐇の短いお話
    贈呈 毎年恒例になりつつある、海都でのヴァレンティオンの催事場巡りに今回も付き合っていた。ヴィエラに付き添っていただけの当初に比べて多少慣れてきたルガディンも、露天を覗き見比べる余裕が出来てくる。
    「これは今年の新作か」
    「そう〜!去年から定番になったこっちも美味しいよ!」
     少しわかってきたと思っていたが、やはり彼女の知識量などには勝てない。真剣な顔で次の店の品定めをする彼女の手から、戦利品の入った紙袋を苦笑しながら受け取った。ありがと、と身軽になった身体で手早く会計をすませる彼女を遠巻きに眺めていた。
    「ここの好き」
     何軒目かを巡っていた時に彼女が呟いた店のチョコレートや包装に見覚えがあった。以前貰ったものだな、と何気なしに視界に入った価格を二度見して、目を剥いてしまう。横に書かれた説明を流し見て、ブランド物のククルビーンを手間暇かけて加工してウルダハで販売している有名店だとようやく把握できた。通りで高価で美味いはずだと1人納得している横で、また真剣な表情で陳列されている商品を吟味している彼女が頷いた。これとこれください、と慣れている彼女の指がチョコレートの上を滑っていく。彼女が選んだ商品が丁寧に包まれていくのを眺めながら、パッケージまで可愛いな、などと思った。
    805

    recommended works

    mitotte_kazu

    PASTバレンタインなのでチョコ渡す🐇さんとチョコ食べる🦍の短い話
    片割 この海の街にもイベントの余波が来ているようで、浮ついた雰囲気が漂っていた。幸せそうな人を見るのは嫌いではないが、この空気の中独り歩くルガディンはどこか居た堪れなさを感じていた。
    それでもイベントのおかげで普段ならあまり手を出さないようなチョコレートが並んでいる店頭を眺めるのは楽しいものだった。買ったところで勿体なくて食べられないのは目に見えているし、貧相な自身の舌はどれを食べても美味しく感じるのだろう。折角だからと思いつつ平凡な板チョコレートを手に取る。と、掌からチョコレートが消えた。目線を掌から上げるとルガディンから取り上げたチョコレートを興味深そうに眺めるヴィエラがいた。

    「買うの?」
     握ったチョコレートをひらひら翳しながらヴィエラが首を傾げた。まぁ、とルガディンが頷くとふぅんと数回頷いた彼女がそれを棚に戻す。買うと言ってるのに、と棚のチョコレートに伸ばされた彼の手をヴィエラの手が掴んだ。ルガディンが何なんだと困惑している間に人気の少ない通りまで引っ張り出される。されるがままだったルガディンの離された掌にちょこんと小箱が載せられた。どこか見覚えのあるデザインの小箱をしばらく眺めてから、目の前のヴィエラに視線を向ける。にんまりと意味深に笑った彼女が覚えてる?と首を傾げた。ルガディンが数回頷いて開けても良いか了承を得ると、勿論、と微笑まれた。
    903