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    burukare

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    burukare

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    まだ創作していないけど交換配布している魏嬰に自分も創作して交換したい藍湛の話

    久しぶりに友好を深めようと聶懐桑のところを訪れた。
    結丹の遅かった聶懐桑のために集められた資料を見せてもらうのも目的の一つだ。
    「魏兄、久し振りだね」
    「聶兄も元気そうで何よりだ」
    宗主に対してするには軽すぎる挨拶を交わし、そそくさと別室に案内する聶懐桑の後に付いていく。
    事前に文は出していたので話は早い。
    書物が沢山積み上がった部屋に通された。
    「この辺りがごく一般的な結丹に関する書物で、こちらが所謂双修に関するものだね」
    「こっちは聶兄が個人的に集めたものだろう?」
    にやりと笑って指をさす。
    あの聶明玦が春本もかくやという本を用意するはずがない。
    証拠に口元を扇子で隠し、笑っている聶懐桑がいる。
    「まあ、聶兄の目は確かだからな」
    「魏兄が居ない間は誰もこの良さをわかってくれなくてね」
    「江澄も頭が固いからな」
    おすすめ、と差し出された双修本を手に適当な場所へ座る。
    筆や紙が用意してあるのはここか書斎も兼ねているかだろう。
    「いい筆だな」
    「ここの筆は絵を描くのに丁度良くてね。腰があって、穂先も整ってる」
    揃えてある墨も名のある店のものなのだろう。水を垂らし擦ると黒々とした墨がたちまちに器に満ちる。
    試し書きに筆を執る。
    描いたのは描きなれた兎が2羽。
    「さすがだね、魏無羨兄は」
    「聶兄には負けるよ」
    「いやいや。そういえば魏兄は含光君の姿絵を描いたりもしてたね?」
    「懐かしいことを言うな? 花を描き足して怒られたけどな!」
    「ねぇ、魏兄。私を描いてくれないかい?」
    聶懐桑の言葉に首を傾げる。
    宗主である聶懐桑であれば名のある絵師に描いてもらうことは容易だ。
    まして、風雅に通じる聶懐桑であればお抱えの絵師の一人や二人は居るはずである。
    「俺が?聶兄を?」
    「そう、私をを。面白いと思うんだよね」
    確かにこんな機会はそうそうない。蔵書を借りる礼と思えば大した労もない。が、それよりも面白いことを思いついた。
    「それなら、代わりに聶兄は俺を描いてくれよ」
    「私が!?」
    「そうそう。聶宗主に描いてもらったとあれば箔もつくな」
    「夷陵老祖の画なら秘蔵して子々孫々に伝えないとだね」
    面白い、と笑いながら互いに筆を執る。そこまでの時間がないのはお互い様。今夜一晩で描くという条件で筆を走らせる。
    他愛も無い話をしながら、白紙を埋めていく。
    こうして絵を描くのも久し振りかもしれない。なんだかんだ忙しく、そんな暇はなかったので。
    楽しくなってきて筆の赴くままに絵を描いた。
    夢中になって、気付けばとっくに日は暮れて、聶家の家僕が夕餉の用意が出来たと呼びに来ていた。
    大きく息を吐いて筆を置く。
    墨が乾くのを待ちながら向かいで同じく筆を置いた聶懐桑に視線を向けた。
    「聶兄も描けたのか?」
    「えぇ。そういう魏兄も終わったみたいで」
    「あぁ。すっかり夜になっちまったな」
    「本当に。夕餉は食べて行きますよね?いい酒が手に入ったので是非」
    「本当か!?流石、聶兄」
    立ち上がり、聶懐桑の元へと近付いていく。そうして、目に入ったのは机に広げられた紙に描かれた絵。それは確かに俺を描いたものだった。
    「聶宗主の手で俺が描かれるなんて光栄だな」
    嬉しそうに、楽しそうに笑う自分の姿。一瞬誰か分からなかった。でも、それは確かに自分で、友の目にはこの様に見えているのかと思えば面映ゆかった。

    その後は酒盛りして翌日迎えに来た藍湛に連れられ姑蘇のに帰った。
    後日、俺の贈った絵が表装されて飾られていることを知ったのは沢蕪君に絵を強請られたからだ。
    「良ければ私にも一枚描いてもらえないかな?」
    「はい?」
    雲深不知処内をふらふらと散歩していた時に声を掛けられたと思えば一体?と

    @burukare
    ·
    6月25日
    嬉しそうに、楽しそうに笑う自分の姿。一瞬誰か分からなかった。でも、それは確かに自分で、友の目にはこの様に見えているのかと思えば面映ゆかった。
    その後は酒盛りして翌日迎えに来た藍湛に連れられ姑蘇のに帰った。
    後日、俺の贈った絵が表装されて飾られていることを知ったのは沢蕪君に絵を強請られたからだ。
    「良ければ私にも一枚描いてもらえないかな?」
    「はい?」
    雲深不知処内をふらふらと散歩していた時に声を掛けられたと思えば一体?と首を傾げれば楽し気な様子の沢蕪君が先日訪れた清河の話をしてくれたのだった。
    「良い絵だった。私も魏公子に描いてもらいたいと思ってね」
    「はぁ……」
    「あぁ、懐桑とは交換をしたと聞いている。私の絵でよければ交換してもらいたい」
    「それは、いいんですけど」
    戸惑いしかない。
    聶懐桑は元々学友で、それなりに気心の知れた悪友でもある。なのであのような提案も出来たし、自由に描いた。
    だが、沢蕪君とあってはそうはいかない。藍湛の兄でもあるし、雲深不知処に身を寄せているので親しくはしているが気安いとまではいかない。
    弟である藍湛のことを大切に思っていることは知っているけれどそれ以外の個人的な好みについてはほとんど知らない。
    そんな相手に何を描けばいいのか、然しもの魏無羨も悩むというものだ。
    「気が乗らないかね?」
    「えっと、沢蕪君を描いたらいいんですか?」
    「あぁ」
    「まぁ、それなら」
    頷いてから、はたと気付く。画材を持っていない。
    この間は時間を区切り互いに墨で書いただけである。今回もそれでいいのだろうか?
    「画材なら私が持っているものを好きに使ってくれて構わない」
    そう言って笑う沢蕪君に心を読まれたのかと肩を震わせる。
    この人自身、絵を嗜み。前仙督の部屋にも飾られていたほどの腕前だ。
    「あぁ、忘機のことが気になるのなら二人で寒室においで」
    そう言って去って行った沢蕪君を見送りながら鼻の頭を掻く。
    「なんだったんだ?」

    夜、静室に戻ってきた藍湛に沢蕪君からの提案を話すと少しだけ眉間に皺が寄った。
    「聶宗主とも交換を?」
    「したよ?」
    乾坤袋から一枚の絵を渡す。
    それを見た藍湛は嬉しそうな悔しそうな何とも言えない顔をした。
    「藍湛が嫌なら断ってくるけど」
    「………構わない」
    「そうか?」
    全然そんな雰囲気じゃないけど?と思いながら膝に乗り上げるとすぐに腰に腕が回され、服を乱された。
    「んっ……あんまり、激しくするなよ」
    「………魏嬰次第」
    「そっ……んああっ!」
    肩口を噛まれて尻を鷲掴まれる。それだけで躾けられた身体は簡単に熱を上げていく。
    そんな己が嫌いではない。
    藍湛の抹額を解きながらそっと笑った。

    翌日、藍湛に抱きかかえられながら寒室に向かったらすっかり準備を整えた沢蕪君に出迎えられた。
    「魏公子はこちらの机を使ってくれ」
    「ありがとうございます」
    白い料紙に筆に墨、顔料まで整えられている。
    至れり尽くせりと言った様子だが隣にはしっかりと藍湛が座り、向かいには沢蕪君が座している。にこりとこちらを見てくる沢蕪君に逆らうことも出来ない。
    藍湛の視線も感じながら筆を執る。折角なので顔料も使わせてもらう。
    これだけの準備をされたのだから丁寧に筆を滑らせる。何度も筆を変えながら紙の上に描きたいものを描いていく。
    こうして描いてみると藍湛と似たところもそうじゃないところもよくわかる。
    鼻の形はよく似ている。目元はよく笑うからか少し笑い皺がある。
    あぁ、でも耳の形はちょっと違う。
    似合う色も少しだけ違う。沢蕪君は藍湛よりも濃い色が合う。
    でも、二人とも花がよく似あう。
    「……いん……ぇい……魏嬰っ!」
    「っ!?……藍湛?」
    呼ばれて顔を上げると心配そうな顔をした藍湛が居て、またやってしまったのかと筆を置く。伸びをすれば肩や腰がパキパキと音を立てた。
    「食事はして」
    「分かってるよ、藍湛」
    誰かが持ってきてくれたのか食事の準備が整えられていて、沢蕪君はすでに席についている。
    急いで立ち上がろうとして立ち眩みにふらつくと藍湛に抱き上げられた。
    「おい、藍湛。大丈夫だ」
    「貴方の大丈夫は信用しない。少しだから暴れないで」
    「まったく、心配性な夫だなぁ」
    諦めて身体を預ける。本当にすぐの距離だというのに、と呆れもするがそれだけ思われているということを嬉しくも感じている。
    「魏公子の集中力はさすがだね」
    「よく藍湛には怒られてるけどね」
    「魏嬰」
    窘めるように名前を呼ばれる。
    藍湛の居ない時を狙ってやっているのがバレているようだ。
    「さぁ、食べようか」
    食事を始めれば藍湛も沢蕪君も喋らないので俺一人が喋っている。
    とはいえ、藍湛は元々そんなに喋らないし、沢蕪君も反応はしてくれるので特に寂しいことは無い。
    綺麗に皿を空にして、お茶を飲みながら一息つく。
    このまま集中して描けば夜までには良いところまで書き終えられるだろう。
    「そう言えば、忘機から表装したいと絵を預かっていてね」
    「藍湛が?」
    「あぁ。懐桑の描いた魏公子の絵だよ」
    茶を拭き出さなかったことを褒めて欲しい。
    「表装!?なんで?いや、確かに聶宗主の絵だからすっごい貴重な絵だけどさ。題材が俺だろう?表装の必要があるか?」
    「君の絵だから表装したいんだろう」
    穏やかな沢蕪君の言葉にそっと横を見るとわずかに耳を赤く染めて、瞼を伏せる夫の姿。何か葛藤していた様子だったのに結局飾ることにしたらしい。
    「魏嬰が貰ったものなのに勝手をしてすまない」
    「藍湛がいいならいいんだけどさぁ」
    「うん」
    藍湛に喜んでもらえるのなら俺の絵にも価値があるというものだ。
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