出会いは魏無羨と変わらない。
同じ発表会の会場に居た、それだけ。
魏無羨が居なければ話すらしなかったろう。
そんな相手だった。
藍家の双璧と名高い兄弟がコンクールではなく発表会に出ていたことが意外なくらいだった。
姉と魏無羨と奏でることは好きだった。下手なままで居るのが嫌で練習もした。
人前での演奏に慣れることを目的とした部分もあったのだろう発表会は満足のいく結果だった。その後、藍兄弟の演奏があり、魏無羨は目を輝かせて藍忘機に突撃していった。
魏無羨の突飛な行動にほとほと呆れながらあの演奏を聴いて合奏をしようと考えられる魏無羨怖ろしく思った。
「オフになりましたので暫くお世話になりますね」
そう言ってニコニコと笑う男に仕方ないと思い、嬉しいと思うようになったのがいつからか、と脳裏を探る。
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