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    burukare

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    burukare

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    姑蘇楽団曦澄の馴初めとかなんかをぼんやり想定していた話を書こうとして目的に辿り着かなかったもの

    出会いは魏無羨と変わらない。
    同じ発表会の会場に居た、それだけ。
    魏無羨が居なければ話すらしなかったろう。
    そんな相手だった。
    藍家の双璧と名高い兄弟がコンクールではなく発表会に出ていたことが意外なくらいだった。
    姉と魏無羨と奏でることは好きだった。下手なままで居るのが嫌で練習もした。
    人前での演奏に慣れることを目的とした部分もあったのだろう発表会は満足のいく結果だった。その後、藍兄弟の演奏があり、魏無羨は目を輝かせて藍忘機に突撃していった。
    魏無羨の突飛な行動にほとほと呆れながらあの演奏を聴いて合奏をしようと考えられる魏無羨怖ろしく思った。
    「オフになりましたので暫くお世話になりますね」
    そう言ってニコニコと笑う男に仕方ないと思い、嬉しいと思うようになったのがいつからか、と脳裏を探る。
    「……あまり構ってやれないぞ」
    「大丈夫です。一人遊びは得意なので」
    客室も必要ない男を屋敷に招き入れる。
    数日前に調律師を呼んである。特に困ることはないだろう。
    「そうか、ならいい子にしててくれ」
    荷物も下ろしていない男を抱き締めて頬にキスをする。
    途端に頬を染める藍曦臣に笑い掛けた。
    公演だのなんだのあって忙しかったろうに藍曦臣は連弾用の楽譜を作ってきていた。
    それを渡されて開いた口が塞がらなかった。
    「約束ですから練習頑張りましょう」
    「……約束、だからな」
    手慣らしに、と懐かしい曲を何曲か練習してみたがやはり思うように動かなかった。
    あの頃はなかなか届かなかったオクターブの音も指は余裕があるのに思うように力が入らない。本格的に練習をし直さなければ、と歯噛みした。
    特に、この人と弾くのに足を引っ張るような演奏は自分が許せないので発表の場がいつになるかは知らないが少しでも先であることを願いたい。
    自室に用意されたクローゼットに持ってきた衣服を納める男の後ろ姿にふぅと息をついた。

    同じように名家の跡継ぎという立場だった藍曦臣を俺は少しばかり敬遠していた。
    家業から言えば求められる才が違うので比べるべくもないが、二物も三物も天から与えられたような人物にコンプレックスを抱いていたのだ。しかもその弟は無口、無表情の癖に義兄の関心を奪っていく。藍家というものが好きではなかった。
    そんな藍曦臣を身近に感じたのは新春の祝いの席だった。
    一足先に高等学校に進んだ藍曦臣は白の目立つスーツ姿だった。
    今年からはコンクールに出場すると聞いていて、あの人の演奏が聴けるのは随分先になるだろうと思っていた。
    魏無羨が藍忘機を構いに行き、姉も婚約者の所に居て、会場で一人壁の花になっていると藍曦臣が話し掛けて来た。
    「江晩吟は演奏会に出られるのかな?」
    「今年が最後になると思いますが一応」
    進学すれば音楽をしてる暇がなくなるし、姉も結婚に向けて忙しくなる。三人で揃うことは難しくなっていく。一人で出ることは出きるかもしれないが姉と義兄が居ない演奏を披露したいとは思わなかった。
    「そうなのか」
    少しばかり眉を下げた藍曦臣を意外に思う。
    「貴方もコンクールに出場されるとお伺いしました」
    「うん。うちの学校に入学するからね」
    有名な音楽学校だ。この先、音楽家として生きていくのだろう。
    「一度くらい一緒に演奏してみたかったな」
    「ご冗談を。私には荷が重すぎますよ」
    社交辞令だろうと笑って返す。
    魏無羨とは違って身の程は弁えている。
    「そんなことは」
    「藍家の後継である藍曦臣殿にそう言って頂けるなんて光栄の限りです」
    ふと視線を巡らすとまたフラれたのか頬を膨らませた魏無羨が見えた。
    そろそろ頃合いだろう。
    「それでは私はこれで」
    一礼をして魏無羨の元へ向かう。
    賑やかに折角誘ったのに断られた、と言い募る魏無羨をあしらいながら人形のように並んで立っている藍兄弟を見る。
    あの空気の中、割って入るのは心臓に毛が生えてないと無理だ、と改めて思う。
    「……なんで、そんなに一緒に演奏したがるんだ?」
    「ん?あの綺麗なだけの音が俺の音で色付いたら面白いだろ?」
    そう言って笑う魏無羨に心底呆れると同時に羨ましく思う。自分が影響を与えられると思えるその心境が。

    年に数回のパーティーで会う以外は特になにごともなく過ごして数年。大学に入れば家業の手伝いを許されるようになり、長期休暇には各地に連れて行って貰うようになった。魏無羨はその手伝いの一環が原因で面倒事に巻き込まれてしまったがその才が飛び抜けたものである証しでもあった。
    まさか、関係ないと参加しなかった学祭の日に藍曦臣から連絡がくるとは思いもしなかった。
    着信を伝えたのは夕刻のこと。家に帰る途中で、家の車の中だった。
    付き合いで交換しただけの連絡先から着信があるとは思わず、目を見開いた。
    同乗していた父も「どうした?」と聞くほどだった。
    何事か、と通話を押すと耳元で少し躊躇うような間を置いて、藍曦臣の声が聞こえた。
    『江晩吟?』
    「ああ、何事だろうか?」
    『その、魏無羨のことだけど……』
    「魏無羨だと!?」
    弟の藍忘機ならともかく、藍曦臣にあの義兄がなにかやらかしたというのだろうか、と焦りにも似た思いを抱く」
    『いや、忘機が連れて帰ってきてね。今日はうちに泊めると言うものだから連絡しようと思って』
    「泊まる?」
    藍家に?あの魏無羨が?何故??
    そんな疑問符だらけの脳内に藍曦臣が尚も言葉を募る。
    『久し振りに会えたと積もる話もあるのでしょう。明日、忘機が家まで送り届ける予定です。魏無羨の安全には配慮いたしますのでお許しいただけるとありがたい』
    「阿澄、問題ない。子供ではないし、藍家は信頼できる家だ」
    横で様子を見ていた父に言われては頷かないわけにはいかない。
    「こちらの事情にまで配慮頂き感謝する。藍忘機にもよろしく伝えてくれ」
    『ありがとうございます。また、連絡します』
    そう言って切れたが連絡は魏無羨がすれば良かったのでは?と疑問が残った。
    まさか、その答え合わせをいまかいまかと待っていた翌日昼間にされるとは思いもよらなかったが。

    「藍曦臣、何故、こんな譜面なんだ?」
    練習を、と言われて食後にピアノに向かった。
    譜面台に譜面を置き、並んで座る、までは良かった。譜面が分からないことには意味がない、と譜面を読むと何かと手が重なったり、交差することが多い気がした。
    「……私も古の作曲家の気持ちが分かりました」
    笑みを深めて言う藍曦臣にやはり分かっていて書いたのだと分かる。呆れてしまうが自分で編曲出来るわけもなく、これで練習するしかないと肩を落とす。
    ただでさえ、久し振りの演奏だというのにハードルは上げないで欲しい。
    「ほら、やるぞ」
    メトロノームをセットして、譜面をなぞっていく。指が触れ、手が重なる度に肩が跳ねるのは許して欲しい。そうして、練習していると藍曦臣の手が指を撫で、最後には鍵盤に押し付けるように捕まれてしまった。
    「今日のところは終わりにしましょう」
    なんとか譜面を覚えた、というところ。初めてから二時間は経っていた。
    そのまま離して貰えるのかと思えば指の間を擽られ、唇を塞がれた。
    唇を舐められ、開いた隙間に捩じ込まれる。ピアノがあって逃げることも儘ならない。気付けば腰を抱き寄せられていた。
    「阿澄、我慢できません」
    目を細め、頬を上気させる姿は完全に欲情している。何故、と思う間に膝に抱えられた。ごりっと当たるものがナニかなんて言うまでもなく。
    「な、んで、勃たせてるっ!」
    「阿澄と一緒に演奏出来て、嬉しくて」
    後ろから耳元に囁くように吹き込まれる。腹を押さえられ、突き上げるようにされれば身体が勝手に期待してしまう。
    「っ……ぁ、ら、ふぁんっ」
    「ね、阿澄……ここで」
    ズボンの上から手の平が太股を撫でる。そのまま、股間に滑ったその手が形をなぞるのだから逃がす気もない。
    そのまま押し流されるように暴かれてしまった。
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